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こつり、と動いた心の動きをちゃんと伝えること

最近起こった、とっても嬉しいことを大発表する。

私の好きな人に、幡野広志さんがいる。その幡野さんからTwitterで私がした感想にメッセージをもらえたのだ。

幡野さんはもともと狩猟家で、今は写真家をしている。37歳、東京都在住。ご結婚しており、優くんという息子さんのお父さんでもある。幡野さんをご存じの人も多いかもしれないけど、幡野さんは34歳のときに血液性のがんが見つかり、余命を宣告されている写真家さんだ。

幡野さんを「私の好きなカメラマン」ではなく、「私の好きな人」といったのは、写真に限らず幡野さんが生み出すものが好きだから。好きな人も多いかもしれないけど、私は幡野さんが書き出す言葉がとても好きだ。

バトンズの学校でも、幡野さんが書いた「僕たちが選べなかったことを、選びなおすために。」を課題図書とした書評の課題があった。

この課題が出る前から、私はこの本を読んでいたし、幡野さんの他の著書も読んでいた。

さらには、ほぼ日が主催していた幡野さんの写真展「幡野広志のことばと写真展」を見に、京都に行くまでしていた。

ただ、いっこ誤解しないでほしいのが、私は幡野さんが好きだけど追っかけではないということ。幡野さんが出版した本や、出演しているインタビューを全部見ているわけではないし、幡野さんの本業でもある写真家の本、写真集は残念ながらもっていない……。

でも、写真展に行ったときに買った「雪の上を走る優くん」缶バッジなら持っている。

とても可愛い。この後ろの手が愛くるしい。


で、冒頭の本題。嬉しかったことは、これだ。

16日の月曜日、幡野さんがご家族で熱海に行ったときのショート動画をあげていた。

ゲームセンターでマリオカートをする後ろ姿、「一緒に行くぞー!」とお父さんである幡野さんの手を引いて、波に足をとられそうになる優くん。射的をする優くんが的を倒す、すると「すごいじゃん!」と声をあげる幡野さん。

そしてラスト20秒から花火の動画が始まる。

ただその花火の動画は2秒ぐらいで、すぐにホテルのベランダから花火を見る人々に切り替わる。ラスト、ぱらぱらと拍手の音と、花火が終わって暗くなったベランダに出ている宿泊客が映る。

私はこの動画に、こう感想を送った。

もし、私であったらきっとラスト20秒は全部花火の動画にすると思う。だって、花火を見に行ったからだし、動画を見る人にも花火を見てほしいと思うから。恐らく、花火を見に行った多くの人がそうすると私は思う。

だけど、幡野さんは違う。

花火を撮る人を撮っていた。感想は私のツイートのままなんだけれど、その映像に私は泣きそうになった。花火を見れた嬉しさが、花火よりもじわじわと伝わってくる。花火に照らされる人々。花火が照らす人々。

等しく嬉しそうで、楽しそうで、どどーんと花火が照らされると、彼らの顔がぱっと光づく。携帯片手に、同じ方向を見る宿泊客たち。それを見る幡野さん。きっとそばにいる優くんは花火に夢中なのだと思う。

ぱっと浮かんだその感想を、私は思わずツイートしていた。ふだん、あんまりTwitterはしないんだけど、こつり、と動いた心の動きを残しておきたいと思ったし、この動画を他の人にも見て欲しいと思った。

すると、そのあとすぐに幡野さんがこう返してくれた。それが私が嬉しかった出来事だ。

何が嬉しかったのかといえば、まずはやっぱり、こうして私の感想に幡野さん返してくれたこと。だって、好きな人だよ! そりゃあ、嬉しかった。

そして何より「気づいてくださってありがとうございます」のひと言が嬉しかった。

私もこうして文章を書いていて、(ほんとうはあんまり良くないかもしれないけど)伝わる人にだけ伝わってほしいな、と思う書き方をしてしまうことがある。誰もがわかるわけじゃない。でも、もし。私と似たような感覚を持ってくれる人がいたら、「あ~わかるなあ」となってほしい、というような願いを込めた書き方。言葉の選び方。

幡野さんが届けようと思った映像の、もしかしかしたら見過ごしてしまうような道端の花に気づけたことが嬉しかった。あ、ここに花が咲いてるな、って気づけたことが嬉しかった(気づこうと思って気づいたわけじゃなくて、自然発生的な受け取り方だったけど)。

自分の心が動いた感想を、思いつきだったけどツイートしてよかった。


幡野さん、こちらこそありがとうございます。

私は今、幡野さんの帯がきっかけでこの本を通勤中に読んでいます。


”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。