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【イスラエル・パレスチナ】歴史は巡る

ユダヤ教の聖典『旧約聖書』の中に、
「ダビデとゴリアテ」が登場する有名なお話がある。

ダビデといえば、ミケランジェロの制作した像が有名だ。

〔ダビデ像:ミケランジェロ作〕

「ダビデとゴリアテ」のお話を、極々簡単に説明させてもらう。

イスラエル軍とペリシテ軍が共に勇者を出して一騎討ちをすることになった。

ペリシテ軍からは巨人・ゴリアテが一騎討ちに出るという。

その巨体に恐れをなして、イスラエル軍から一騎討ちに出ようとする者はいなかった。

その時、たまたまイスラエル軍に参加している兄に食料を届けに来ていた羊飼いの青年・ダビデが一騎討ちの話を聞いた。

彼は「自分がゴリアテと戦う」と言い、羊飼いの武器である杖と、投石機と、五つの石を持って巨人・ゴリアテと対峙した。

戦いは大方の予想を裏切り、ダビデが勝利した。

ダビデの放った石がゴリアテの額に見事命中し、ゴリアテは昏倒。

ゴリアテはダビデによって首をはねられた。

まさしく、「ジァイアント・キリング」である。

〔投石機を構えるダビデと巨人・ゴリアテ〕

この戦いをきっかけに、羊飼いの青年・ダビデは後に王となった。

王となったダビデ、その子ソロモンの治世において、国は繁栄を極めた。

しかし、その後長らくイスラエルの民、即ちユダヤ人は苦難の歴史を歩むこととなる。

ヨーロッパにおいてユダヤ人は長らく迫害されてきた。

有名なもので言えば、19世紀以降ロシアで盛んとなったポグロム(ユダヤ人に対する集団暴行・虐殺を意味するロシア語)、そして20世紀ナチスによって行われたホロコースト

ユダヤ人は自らの国を持てなかった。
故に、ヨーロッパ各国にユダヤ人は居を構えていたが、その各国で差別や迫害に苦しむこととなる。

自らの国を持つこと、これはユダヤ人にとって悲願であった。

それが叶ったのは、第二次世界大戦後の1948年。
パレスチナの地にイスラエルを建国した。

しかし、イスラエルの建国は、現在まで続くパレスチナ問題を激化させることとなった。

イスラエルの建国以前、パレスチナにはアラブ人が住んでいた。

それがイスラエルの建国によって、土地を追い出されてしまったのだ。

パレスチナ問題とは、土地を追い出されてしまったアラブ人とユダヤ人の対立である。

西側諸国から軍事援助を受け装備を近代化させたイスラエル軍の前に、土地を追い出されたアラブ人はなす術もない。

しかし、現状を良しとすることも出来ない。

故に、力を持たぬ者が非力な武器で抵抗運動を続けた。
その抵抗運動をインティファーダという。

銃を持たぬ市民が投石などによってイスラエルに抗議をする運動である。

〔イスラエル軍の戦車に石を投げる子ども〕

インティファーダで石を投げる姿は、かつて存在した何処かの王の姿と重なる。

何とも皮肉な話ではないか。

(終わり)

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