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CGを大好きなプロダクトデザイナーの話

プロダクトデザインをしているのですが、同じくらいCGが好きです。

3Dとの出会い。

インダストリアルデザインの事務所で働いているときに、事務所にAlias Studioという3D CADが導入されました

Alias StudioはCADなのですが、PIXARで使われていたAlias Power Animaterのデザイン特化型みたいなもので、後のMayaの元になったソフトの一つ。CADなんだけど、レンダリングがきれいで、アニメーションも得意な3D CGっぽいツールでした。

初めて触ったときにデジタルデザインの可能性を感じて、とても感動したのを覚えてます。もう手描きレンダリングも、図面も、試作もいらないんじゃないかと、本気で思いました。

当時はこのソフトの情報がまったくなかったから、30cmはある分厚い英語のテキスト集を適当に翻訳しながら覚えました。残業代も出ないのによくやりますよね(笑)。でも、楽しかったんで、時間を忘れていじってました。

そのうち本格的にCGがやりたくなって、会社を辞めて6ヶ月間のデジハリ土日コースへ通いました。貯金はだいぶ減ったけど、悩みなく創作に集中できた濃密で楽しい日々でした。こんな時間は、もうないかもしれませんね。

デジハリの卒制が好評で何社からかオファーがあり、あまり深く考えずに家の近所の大手アニメーション会社へ通うことにしました。自転車で5分くらいだったのが決め手です。

アニメーション会社での挫折

はじめてのアニメ会社は何もかもが目新しく、今までいた製造業界と違い自由奔放な職場でした。

でも、自由過ぎつ雰囲気に乗り切れず、人見知りもあって、仕事場に馴染めないつらい日々でした。誰とも喋らず、休み方もわからないので数ヶ月連続で出勤してしまうような、自主的ブラック野郎でした。

たぶん仕事の評価は新人の割に、まずまずだったんじゃないかと思います。映画だったのですが、何カットも担当させてもらいましたし、次の映画作品のコンセプトモデルもやらせてもらいました。

でも、心が病んでいました。精神的に参って疑心暗鬼になり、周りが敵に見えて、心の扉が閉まってしまっていくようで孤独な毎日でした。

そんな中で仕事ぐらいはちゃんとやろうと、頑張りすぎたのかもしれないですね。よけいに自分を追い詰めた気がします。

結局、引き留めては頂いたのですが、挫折して逃げるように辞めてしまいました。

やっぱりCGが好きです

アニメーション会社を辞めて、プロダクトデザインを再開し、フリーランスのデザイナーでやっていくことにしました。

しばらくはCGソフトを触る気にませんでしたし、好きだったアニメも見るのが嫌になりました。ちょっとしたCG PTSDを患っていたんじゃないかな。挫折感に苛まされる、つらい日々が続きました。

それでも、プロダクトデザインと並行して、無理をしない程度にCGの仕事は続けてました。エンターテイメント系では実写系のVFXカットやモデリング、プロダクト系ではカメラや車のメーカーのデザインセンターとの仕事でした。

突出した能力はないものの、仕事を頂いた方からは一定の評価はいただけた気がします。周りの方にも良くしていただき、少数ですがCG業界にも気のおけない友人もでき、段々とCGに対してポジティブな気持ちが戻ってきました。

CGWORLDのライターとして、継続的に取材して記事を書かせていただいたことも大きいです。取材ではCGの持つ可能性や、魅力を再確認できました。

振り返ると、アニメ会社での挫折から立ち直るまで10年以上かかった気がします(笑)。辛い時間は、意外に長く続きました。でも、また好きなものをシンプルに好きと言える心境に戻れたのは嬉しいですね。結局、時間だけが解決法だったのかもしれない。

つらい状況にいる方には、時間が解決してくれることもあるってことを伝えたいです。立ち直るためには根性や才能もいらないし、その日、その日を、なんとか地道にしのいでいけば、時間が忘れさせてくれることもあります。時間は皆に平等に流れますし。…ちょっと、話がずれました

今後のCGとのつきあい方

ここ数年、プロダクトデザインでは仕事を依頼されて請けるというスタンスから、クライアントへアイデアを提案して仕事を作るというスタンスへ変えようと努力しています。

CGについても同じ。自分のフィールドに合ったCGやムービーを作って、提案していく方向にしたいと思っています。

他のデザインや仕事とシナジーを生み出しつつ、技術的なことよりも、伝えたいコンセプトのある作品を目指します。たぶん、それが自分の持つオリジナリティに繋がることなんじゃないかな。

何よりも、せっかくCGに対してポジティブな気持ちになれたので、それを忘れずに向き合いたいでね。

大体、最近のCGの進歩についていけない感じがしているし、カットをブラッシュアップして作り上げていくCGアーティストは向いていないとも思っていたのもあって、変わるにはいい時期かと。ちなみにHoudiniは速攻で挫折しました笑。

まとめ

すごく長かったのをまとめて、なんとか2200字ぐらいしました。自分なりに、考えていることがまとまってきた気がします。

CG業界で主流な考え方ではないですが、今後、結果を出せたら嬉しいです。

がんばります。


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