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#2000文字のドラマ

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#2000文字のドラマ   若者達の日常 登場人物3名 という縛りで書いたモノです
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#2000字のドラマ「奪われた日常」

#2000字のドラマ「奪われた日常」

タイトル「奪われた日常」

●登場人物
ハルト (25歳・男)バイトを掛け持ちしている 趣味はLIVE
ミサト (30歳・女)地方公務員、土日祝日は自由 趣味はLIVE
ユキ  (24歳・女)美容室勤務、平日ならどこへでも行く 趣味はLIVE

●シーン1 3人それぞれが働く様子  ①ハルト (昼)バイトの制服を着て引っ越し様子 
      (夜)居酒屋のホールの様子

 ②ミサト 市役所での業

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#2000字のドラマ 例えばCMのような朝

#2000字のドラマ 例えばCMのような朝

●登場人物

磯野克也
高校2年生 毎日なんとなく過ごす。やる気も覇気もない

遠野優香
高校2年生 克也のクラスメイト 学級委員 聡明

松木真司
高校2年生 克也のクラスメイト 

S1 克也の部屋(朝)
寝転がった克也の頭の横 スマホのアラームが鳴る
カレンダーは2月3日

克也 ベットの上で寝転がり手探りでスマホを持ちアラームを止める

克也(深いため息を吐く)はぁああ

(朝か)

(今

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お気に入りの...

お気に入りの...

 ボクの暮している町に、年老いたマスターがひとりで切り盛りしている小さな喫茶店がある。マスターはいつも白シャツに黒ベストと黒い蝶ネクタイ。少し寂しくなってしまった白髪を後ろで小さく一つ結びにしている。小洒落た人だ。

ここは少し変わっていて、店内に置かれているテーブルと椅子はデザインがばらばら。その全てに目立たないように値段が貼り付けてある。どうやら販売もしているらしい。通って観察していると時々売

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上書き希望

上書き希望

「近いね」恋人のルカがそう言ってベランダの方へ立ち上がった。ボクも隣に並んで稲光が光るのを待っていた。

 ルカはボクよりひとつ年上、大学時代のバイトの先輩で、背はボクとほぼ同じ。ルカの就職が決まり、卒業のお祝にバイト仲間で飲んだ時、女子の中でも背が高くそれがコンプレックスだと恥ずかしそうに言うルカにボクが落ちた。年下という抵抗を押しのけ、やっと受け入れてくれたのはボクが大学を卒業する頃だった。

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年賀状

年賀状

 「ねえ、そういえば年賀状が届いたんだけど」あたしはホテルのベットに横たわり羽毛布団にくるまったまま、ネクタイを整えている裕二の後姿に聞いた。
「あー。余ってたから。」答えはあっけなかった。

『余ってたから。』

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 世間から見れば、あたしたちは一般的に「不倫」と分類される。ただ、あたしにとっては遊びでもなく、かといって本気でもなく、結婚も望んでいない、時々時間があえばこう

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お悩み相談

 (もうすぐ25時。)
明日朝、正確には日付が変わってしまったから今日が期限の授業のレポートが遅々と進まずもうこんな時間になっていた。

わたしはラジコを聞きながら作業をすることにした。時間つぶしに見ていたツイッターでわたしの大好きな結城誠オフィシャルが「本日出演します。お時間ありましらご視聴よろしくお願いいたします」と、ある深夜放送の公式ツイートをRTしていたのだ。

結城誠はエッセイスト。

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小さな幸せを数えると

小さな幸せを数えると

「君はいつも悲観的な考えをするんだね」
裕二が電話の向こうでため息交じりに呟いた。

「では、問題です。目の前にガラスのコップがあります。お水が半分入っています。あなたはどう考えますか?」

まただ。と美里は思った。

「何度聞かれても同じ答えしか言えない。お水は半分しか入っていないです」美里は不貞腐れ気味に返事をした。

「ダメだな。そのイメージしたお水を半分も入ってるって思うようにするんだよ。

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