#2000字のドラマ 例えばCMのような朝
●登場人物
磯野克也
高校2年生 毎日なんとなく過ごす。やる気も覇気もない
遠野優香
高校2年生 克也のクラスメイト 学級委員 聡明
松木真司
高校2年生 克也のクラスメイト
S1 克也の部屋(朝)
寝転がった克也の頭の横 スマホのアラームが鳴る
カレンダーは2月3日
克也 ベットの上で寝転がり手探りでスマホを持ちアラームを止める
克也(深いため息を吐く)はぁああ
(朝か)
(今日こそ学校行かないと 出席日数やべーな)
(落第は避けたい)
(でも行きたくない)
はぁあああ(とゴロゴロ転がる)
克也のスマホが鳴る(音)スマホを観る克也
真司からのメッセージ「そろそろ来ないとやべーってばよ。どうする?俺の一個下でやり直す?」
克也スマホを足元に放り出し布団を頭からかぶる
スマホ画面には真司のメッセージの横に既読の文字
S2 バス停
髪はぼさぼさで、ぼんやりと立っている克也
克也(次のバスに乗らないと遅刻確定か)
バスが止まりドアが開く(音)
バスが走り出す
バス停に残っている克也
克也(遅刻確定)
克也(帰ろうかな)
ポケットの中のスマホがメッセージを知らせる(音)
克也画面を見る
真司からメッセージ「マジやべーぞ!」
克也(わかってるって)空を仰ぐ
バスが止まる
ドアが開き閉まる(音)
バスが走り出す
誰もいないバス停
学校前バス停にバスが止まる
克也バスから降りる
S3 学校へ続く上り坂の下
克也(なんで坂の上に学校造るんだよ。)と俯きがちに歩き出す
歩く克也の後ろから「やべー!」と優香自転車に乗って立ち漕ぎ克也を追い越し自転車を止める
優香「えー!磯野くん?久しぶりじゃん」
克也「ああ」
優香「おはよ!てれてれ歩いてたら遅刻するよー」
優香自転車を漕ぎ出す
克也 (急いでも遅刻確定でしょ)
優香自転車に乗り 足を放り出した格好で坂を下り戻ってくる
克也の前で急ブレーキ
優香「カバン貸して、ほら」
(克也のリュックを無理矢理奪い自分の背中に背負う)
優香「磯野克也ー走れー!」
優香自転車立ち漕ぎで力強く坂を登り出す
克也 (めんどくせー)ポケットに手を突っ込み歩き出す
優香「磯野克也ー!走れー!」
克也 (バカか)
優香「いそのーかつやーー!」
克也 (くっそー)
優香「いそのかつやあー!」
克也キッと顔を上げ走り出す
克也「フルネームで呼ぶなっつってんだろーがー」
優香 立ち漕ぎしながら笑う
背後から克也追い上げる
S4 学校正門
正門に背をもたれ待つ真司
優香の「いーそーのー!」の声が聞こえ
坂の下を見る
優香「いーそーのー!」
克也 正門手前で優香を追い越しゴール
真司 (驚いた顔で笑いながら)「お前ら 何やってんの?」
優香 そのまま校舎裏の自転車置場へ
克也 (知るか)と首を振り 膝に手を付き荒い息を整える
S5 校舎前
優香自転車置き場から走ってくる
並んで歩く克也と真司を追い越し優香が振り返る
優香「いそのー!」とリュックを投げる
優香「これも!」
空を背景にポカリスエットがスローモーションで宙を舞う
克也 慌てた様子で受け取る
真司「えー!オレのはー!」
克也 照れ笑い(クッソめんどくせー)
克也 汗をかいた顔でポカリスエットを飲む
◇実体験を元に書いてみました。
ずーっと昔の話です。
心が安定していないような。
どこにも自分の居場所がないような
そんな時期がありました。
なんとか自分のやる気スイッチ押しつつ学校へ向かっていた朝のことです
だらだらと遅刻覚悟でバス停から歩いていたら、自転車で追い越したクラスメートがわたしのカバンを無言で取って自転車のカゴに入れて「走れ!」って言ってくれて、思い切り走って学校へ向かいました
走って走って走りきって教室に入ると机の上にカバンと60円が置いてありました。(60円というのは、学校裏の今川焼き屋さんで1個買える金額)
あの時、60円ってすごく笑って、抱えていたもやもやが綺麗さっぱり消えたこと 大人になった今でも大切な思い出です。
気にかけてくれて きっかけをくれる友達は宝物です
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