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離婚と再婚が増えているのであって、初婚数は最盛期の半分に激減している。

厚労省が最近5/23に発表した「2015年人口動態統計月報年計(概数)」によると、婚姻件数は63万5096組と、前年より8653組減少(前年比98.6%)でついに戦後最小となったらしい。

結婚しない男たちや女たちの話題が連日世間を賑わせている中で、「それもそうだよね」という感じもするが、それもまだまだ年間63万組も結婚しているという安心感があるのではないか。戦後最小といっても、グラフを見る限り、平成以降婚姻件数は下降しているもののなだらかに見える。下げ止まり感もある。

ところが、そんなことはないんですよ!

ご存知の通り、婚姻数は減少しているが、離婚件数は年々増加している。2015年も22万6198組も離婚しているのだ。婚姻数に対する比率で言えば、36%。婚姻するカップルの3組に1組は離婚している計算だ。

離婚数の増加に伴って、実は再婚数が増えている。これはあまりニュースにならない。婚姻数とは、初婚数+再婚数の合計です。つまり、再婚が増えているにも関わらず、全体の婚姻数が減っているのは、初婚数が激減しているということなのだ。

婚姻件数の内訳をグラフ化してみた。

一目瞭然。

初婚者同士の婚姻が最大だった1972年と2014年を比べても、半減しているのがわかる。9掛けとかのレベルじゃなく、もはや初婚同士の結婚は半分になっているってことなんです。初婚が増えない=未婚の増加です。

逆に言うと、離婚して再婚する人たちががんばって婚姻数を稼いでいる

では、その再婚者の内訳はどうなっているのか。

再婚者というと、なんとなく「離婚した男性が初婚の若い女性と再婚する」というイメージが強いのではないだろうか。僕もそう思っていた。

戦後間もなく~70年代までは、確かにその通りだが、最近では「再婚同士」のカップルが増加しており、「再婚男性×初婚女性」とほぼ変わらない。さらに、「初婚男性×再婚女性」の比率も徐々に上昇している。ホント、この離婚して再婚した人たちがいなかったらもっと悲惨な婚姻数になっていたわけです。

ただ、それでも再婚する数は圧倒的にまだまだ男>女。一度その差分は接近したものの、最近また開いて来ている。シングルマザーの数が増えているのもそのためです。

「貞女二夫に見えず」なんて価値観はとっくにないとは思うが、女性にとって再婚はまだハードルが高いものなんだろうか。

面白いのは、再婚男女差異を見ると、差異が最小になったのは1987年。このnoteでも繰り返し指摘してきたが、「生涯未婚率が急激にあがったきっかけの年」であり、「男女雇用機会均等法が施行された年」であり、拙著の中では「結婚しない男たちが増えたきっかけ」としてあげている年だ。ちなみに、今50歳前半の人たち(生涯未婚算定対象者)が大学を出て社会に出た年でもある。当時、彼らは新人類と呼ばれた。さらに言うと、離婚件数がはじめて15万件を超え、離婚率(離婚/婚姻)が20%を超えたのも1985年である。

1980年代後半はバブル絶頂期。ワンレンボディコンが大流行し、好景気に日本中が舞い上がっていた頃だ。誰もが成長し続ける未来を信じて疑わなかった時代。結婚による幸せよりも金儲けによる幸せを得られた時代。

生涯未婚時代のきっかけがバブル時代だったというのは何の因果だろうか。

ちなみに、どうでもいいことだが、「胸の谷間」という言葉は、80年代後半からのボディコンブームに合わせる形で生まれたらしいっす。まさに皆婚時代から未婚時代の谷間に合わせたかのように…。


とにかく、離婚も再婚も今後増えて行くだろう。結婚する人たちは何度も結婚するし、しない人は一生しないという棲み分けがより明確になってくる。婚姻数時代は横ばいなのに、生涯未婚者が増え続けているのはそのためである。


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