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カエルウォッチング

田んぼに水が入り、夕方になるとカエルの鳴いている声が聞こえます。

今日は友達と、田んぼ沿いに車を停めて、カエル探しをしました。懐中電灯で畔を照らしながら、ゆっくり歩きます。鳴き声はものすごく聞こえるのですが、中々見つかりません…。


「あっ、いた!」と友達とが指差して方を見ると、アマガエルが頰を大きく膨らませて鳴いていました。友達はグッと近づき、「アホなカエルがまだ鳴いてた笑」とか言って、ライトで照らしています。カエルは全然逃げる様子もなく、真っ暗な水田に向かって、ゲコゲコと声を響かせています。 


帰り道、車を運転しながら、ふっと、去年も、その一昨年も、カエル探しをしたことを思い出しました。ここではなく、場所は高知県の小さな田んぼ。お世辞にも都会とは言えない町の線路のすぐ近くに、その田んぼはありました。



一人でアパート暮らしをしていたあの頃。思い立ったらライトだけを持って玄関から飛び出し、暗い小道を歩いて近くの水田に行っていました。畔に屈んで、そっとライトで照らすと、沢山のアマガエルが鳴いていました。

田んぼの対岸には、ピアノ教室をやっている古いお家がありました。子どもが練習しているのか、部屋からは、ピアノの音色が聞こえてきます。その部屋のカーテンからは、ほんのりの明かりが溢れています。

周りに街灯はないので、真っ暗です。空には月がボンヤリと浮かんでいます。

聞こえるのは、ピアノとカエルの声だけ。そんな中で、じっと座って、田んぼの様子を眺めていました。



何回も通ったあの場所。最近までいたあの場所。周りの風景や道の様子、その時の土の匂いまで鮮明に思い出せるのに、もうあそこにはいけないんだなあと思うと、不思議な気持ちがします。


いまは鮮明なこの記憶も段々と色褪せて、遠い記憶になっていくのかも知れません。

でも、この時期にカエルの声を聴くと、思い出すことができるような気もします。高知県で過ごした大学時代のある初夏の夜、とりとめもなく、カエルを見て過ごした夜のことを。

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