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米津玄師と藤井風、真逆の魅力を徹底比較

米津玄師のデビュー時、Rockin'onJapan編集長は”10年に1人の天才”だと驚愕し、次々とヒット記録を塗り変える凄まじい才能にその評価は”20年に1人の天才”と更新された。

そんな”米津玄師に比肩する唯一の存在”、”数十年に1人の天才!”と、関ジャム完全燃show「2020年プロが選ぶ年間ベスト10」特集で絶賛されたのが藤井風だ。

J-POP界では数多の素晴らしいアーティストが活躍しているが、個人的にこの2人が生み出す音楽や世界観が特に好きだ。さらにそれぞれの特異なキャラクターにも大いに興味がある。

だから、noteでも彼らの記事をたくさん書いているわけだが、よくよく考えてみると2人にはほとんど共通点がない。なんなら真逆だ。そこで様々な項目別に2人を徹底比較してみた。

言うまでもないが、優劣や勝敗をジャッジするものではない。どちらかのファン、あるいはどっちも好きという方にニヤニヤしながら読んでいただけたら幸甚であるw

数少ない共通点

両者とも途轍もない才能に恵まれていることは前述の通りだが、それ以外の数少ない共通点は、、、

米津玄師はニコニコ動画、藤井風はYouTubeとどちらも出自がインターネットであること、出身が西日本の田舎町であること、指が長く手がキレイなこと、ファン層が幅広いこと…..他に思いつかないので、とっとと相違点に移ろう。

以下、米津玄師は【米】、藤井風は【風】とする

音楽制作/ライブについて

デジタルの米津、アナログの風

【米】
ギターやキーボードも使用するが、基本的にDTMで作曲・編曲を行っている。1日の大半をパソコン前に座っていると言い「妖怪イス座り」と自称するボカロP世代の先駆者。使用ソフトはAppleのLogic pro。

【風】
3歳からピアノを習っておりクラシックの素養と絶対音感がある。曲作りはすべてピアノかと思いきや、最新曲「花」は五線紙もボイスレコーダーも使わず、飛行機の中で手書きカタカナで作曲。

藤井風 インスタグラムより


バイリンガルの風、日本語にこだわる米津

【風】
3歳から父に教えてもらいながら独学で英語を習得した日英バイリンガル。26曲中7曲の歌詞に一部英語を使用。The Sun & The Moonは全編英語詞だ。歌詞の英訳も自らが手がけ、曲の解説ムービーも英語で行っている。

【米】
「I love you」などのごく簡単な英文でさえ「アイラービュー」と記載。本人曰く「頑なにカタカナ」と日本語への思い入れが強く、”日本語じゃないと神通力が宿らないと”と語っている。当然、英語詞の曲はひとつもない。


曲が降ってくる風、這いずりまわって探す米津

【風】
”曲が降ってくる/降りてくる”とか”生まれてきてくれた”と言い、自身が創作するというより自分はただの媒介だと語る。大ヒット曲「きらり」も「死ぬのがいいわ」もドンキで野菜を買ってる時に降ってきたそうだ。

【米】
まず頭に浮かんだ映像を元にイメージを広げていくことが多い。1曲に対し様々なアプローチでいくつもの方法を試してはひとつずつ潰していき、最後の最後まで試行錯誤し最適解を這いずり回って探し続けるという。


音源に忠実な米津、フェイク・アレンジ満載の風

【米】
音源作りが何よりも好きだと公言しているように、ライブでも完成度の高さを崩すことなくそのまま披露することがほとんど。イントロ や歌の旋律を少々変えることはあっても基本は音源通り。歌唱力はまさに口からCD。

【風】
ピアノ1台の弾き語りだけでツアーが成立してしまうほどの演奏力とアレンジ力。通常のライブでもほとんどの曲を大幅にアレンジ。また、歌唱においてもスキャットやハミングを交え多彩なフェイクを使いこなす。


ノリノリで踊る風、妖艶に舞う米津

【風】
MVでもライブでも比較的きっちりと振付けされたダンスをバックダンサーたちと楽しそうに踊っている。振り付けがわかっている曲、例えば「Grace」や「さよならベイベ」などは観客も一緒に踊れる楽しさがある。

2022年アリーナツアーより

【米】
世界的ダンサーの辻本知彦が率いるチームがライブを華やかに引き立てている。米津自身も辻本にダンスを習っており、時々しなやかな舞いを見せる。ある程度の段取りはあるものの決まった振り付けでは踊らない。

2023アリーナツアーより


コツコツとキャパ を増やした米津、いきなり武道館の風

【米】
初のワンマンはキャパ 550人。そこから1,000人→1,300人→3,000人と少しずつ箱を大きくし武道館に辿り着くまで3年半を要した。以前も今も大規模なアリーナツアーでさえ熾烈なチケット争奪戦となるほどの人気にもかかわらず、現在もそのスタンスを崩していない。

【風】
デビュー年にいきなり武道館ライブを決行。無観客スタジアムライブは世界中に生配信され同時視聴18万人を記録。当然のようにホール/アリーナツアーを成功させ2022年のスタジアムライブでは2日で7万人を動員とスケールがデカい。しかし、デビュー前には地元での下積みライブを地道に重ねていた。


人物像について

食に無頓着な米津、ストイックな食生活の風

【米】
食事はほとんど外食かUberEats。寿司と蕎麦が好きらしいが基本的に食に無頓着。大の酒好き、コーヒー好き。30歳を過ぎて健康のため食べるようになった野菜を「義務野菜」と言っている。一番好きなのは大根。

【風】
本当は肉好きなのに動物が可愛いからと言う理由で高校生からベジタリアンに。ビーガンかどうかは不明。野菜の種をグッズにしたりライブ会場でもベジタリアン弁当しか食べないなど徹底している。酒もコーヒーも飲まない。


漫画家になりたかった米津、独特すぎるセンスの風

【米】
公式プロフィールに”イラストレーター”とあるように、自身のジャケットをはじめグッズ、CD特典イラスト集などにその精緻で想像力豊かな絵を多数描いている。元々漫画家になりたかったと言うだけあるさすがの画力だ。

米津玄師が描いたジャケット類

【風】
配信ライブで即興で描いた「桃太郎」を見れば一目瞭然だが、そのユニークすぎる絵心は若干狂気を感じるほどw。自信たっぷりに「ちょっと上手すぎた」と披露したスヌーピー だが、念のため米津が描いたスヌーピー も貼っておくので各自見比べて欲しい。

藤井風が描いた衝撃の「桃太郎」YouTubeねそべり配信より
上手すぎてごめん!と言いながら描いたスヌーピー 
米津玄師が描いたスヌーピー  公式HPより


ハイブランドが日常着の米津、ほぼ裸の風

【米】
服に詳しくないと言いながらも靴を集めていたことがあったり、好きなブランドはマーティン・ローズと語るなど結構オシャレ。とはいえトレンドを追うより、撮影で着たハイブランドを普段着にして長く愛用しているようだ。

定価61万円のJIL SANDERカシミア ジャケットは
「君たちはどう生きるか」の打上パーティでも着用し樽酒を盛大に浴びた

【風】
仕事ではかなり奇抜な衣装でもカッコよく着こなしているが、私服は民族調のダボっとした服を着ていることが多い。いつもお気に入りのタオルを頭にかぶったり首に巻いたりしている。夏はしばしば半裸でインスタに登場。

お気に入りのタオル


飲み歩きが趣味の米津、多趣味なマネジャー に連れ回される風

【米】
お酒を飲むことが唯一の趣味だと言う米津。その楽しげな様子を飲み仲間たちがよくSNSにアップしている。彼にとっては膨大な量の読書や映画鑑賞、ゲームプレイは趣味というより制作のためのインプットなのかもしれない。

【風】
マネジャーにSUP、スキー、海水浴、スーパー銭湯などあちこちに連れて行かれているようだ。お酒を飲まない彼には健康的なアクティビティが合うのだろうが、無理やり連れて行かれたスキーは寒すぎて不評だったらしい。


なんでも見せてくれる風、何にも見せない米津

【風】
家族、親戚、学友まで登場するSNS。最近もお正月の帰省時の画像がたっぷりアップされたばかりだ。プライベートだけでなく曲やMVのBTSも惜しげなく披露。また、2人のマネジャーにもファンがつく程、裏方スタッフたちも名前や顔が知られている。

【米】
インスタライブの画面は常に真っ暗。プライベート空間を1mmも見せない鉄壁の守り。実家や家族に関しては名前も顔も非公開。著名人ならこれが普通だろうが…。BTSを語ることはあっても映像を見せるのはごく稀。それも「パプリカ」や「灰色と青」「カイト」などのコラボ作品に限られる。


ファンとのワンネスを目指す風、はっきり線引きする米津

【風】
ライブMCで「ワシら兄弟やし」とか「ワンネス」と発言し、「みんな同じ、みんなひとつ」を信条に自身とファンとの垣根を取っ払おうとしている。それは依存とか癒着ではなく生きとし生けるも同士に通底する心の交流を促す彼なりの愛だ。

【米】
「私は私、あなたはあなたで好きにすればいい」と言う米津。「あなたたちとは友達にも恋人にもなれない」と言い、”適度な距離感”について何度も言及している。一見冷たいようだが、だからこそ成り立つ”美しい関係性”を大切にしたいと言う思いが籠っている。

恋愛についてチラリと語る米津、一切口にしない風

【米】
ほったらかしにしてたら別れを告げられたと言う元カノとのエピソードや、「これは事実」とはっきり語っているラブソングの歌詞があったりと、ほんの少しだが恋人についてインタビューで言及したことがある。

【風】
「結婚願望ないって言ったら嘘になりますけど、ワシはいつでも結婚できるし」とふんぞり返って椅子から落ちる高校時代の笑えるネタ以外、恋愛・結婚がらみの発言はない。なんでも開けっ広げだがこの点だけは秘密主義のようだ。

いかがだったでしょうか?

各項目とも表面をサラっと撫でただけの比較だが、どのエピソードもスタンスも本当に真逆ながら両者とも実に興味深く魅力的ではないか?それぞれについてもっと深掘りしたくなるが、文字数が多すぎてもダルいのでこの辺でやめておく。

どちらか片方のファンが、もう一方にも興味を持って音楽を聴いてみようとか、より深い魅力を探ってみようとか、そうやって楽しみがどんどん広がっていったら素敵だなと思う。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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