見出し画像

432時間後にお届けします。

あれは、忘れもしない6月3日。

私は、難関大学の合格通知を受け取るような気分で一通のメールを受信した。某通販サイトからの注文完了メールである。

いよいよ、我が家にNintendo Switchがやって来る!!!私は、完全に浮かれていた。

なんせ、欲しいものが翌日には手元に届く。そんな時代になって久しい。

田舎で生まれ育ったがゆえに、「そもそも売っているお店がないから買えない」のが普通だったあの頃を忘れてしまいそうになる。いや、半分くらいは忘れていたな。

だから、配達予定日の夜になって「トラブルがあり、8月末までにお届けします」と急転直下のメールが舞い込んだ時にはショックを隠せなかった。

「今日届けるって言ったくせに!!!うそつき!!!」と、半ば裏切られたような気持ちでハンカチを噛んだ。(いや、噛んでないけど。笑。)

それから二週間。

ついに昨日、我が家にNintendo Switchがやって来た!さも今日が待ち合わせのその日だったよね、と言わんばかりの平然とした顔をして。

これまで玄関先で当たり前のように受け取っていた段ボールを恭しく受け取り、「こんなに軽くて大丈夫?」とビクビクしながら封を開ける。(今どきのゲーム機って軽いのね…!)

その瞬間、ほしかったものを手に入れるって、こういう感覚だったよな、と思い出した。

いつから私は、こんなにも「余白」の時間を持て余すようになったんだろう。「明日届く」が当たり前になりすぎて、いつの間にか自分がなんでもコントロールできるような気になっていたのかもしれない。そんなはずはないのに。ほしいけど、手に入らない、届かない、そんな「間」を楽しむ余裕すらないなんて、我ながら情けない。

Switchが届くまでの432時間は、長くて長くて長かったけれど、忘れてはならない大切なことを思い出させてくれたような気がする。ホント、いい勉強になりました。反省。

そんなヒリヒリした感情を胸に、今夜私は、無人島に移住します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?