賢い笑顔の作り方

一つ、絵を描くたび気づくことがある。

私ってこんなまともな顔して笑えたんだな、ということ。いつもの作り込んだ笑顔じゃなくて、誰かをさっと手を伸ばして救いとれるかもしれないということ…、

もちろん仕事中の私は”誰かを救っている”状態を”至極まとも”としていられているんだけれど、それを次やその次にやっていこうとするとどうしてか”調子に乗った風船”のように宇宙に浮かぼうとするせいで、その目論見は外れて割れてしまうようなんだ。…これは昔々に読んだ絵本の内容なんだけれど‥。

…どうしたものか、いつも悩む。例えば、これは突拍子もない話だけれど。

好きな人を一人と定めたくないんだ。

物語に登場する、セカンドマザーに憧れた。私にとって好きだなと思う魂で生きようとする子供を2人ほど、保護して育てることに憧れた。

私も兄のような子供を救えると思いたかったんだ。幼少時代の兄は一人で(いや、友人に相談くらいはしていたかもしれないけれど)いつも悩んでいるように見えた。私は兄がとても好きで、そして喧嘩ばかりしていてとても嫌いで、そして3年前彼はやっと結婚したのだけれど。

話を短くして聴かせるのであれば、つまり、私の感情を負のものとするなら
私は兄の存在を殺さなければいけない(?)らしい。
誰かが私の話を聞く時、面白さを持って、あるいは反応しやすくわかりやすくするなら。けれど私は兄をとても救いたかったので(彼に似ている誰かを自分の子供にしたいな)と思うことになるのである。この時点で、自分の情緒を救っているために読める本がかなり減る。例えば取り違え子のホラーな話とか。

‥こういうふうにロジックは飛躍しやすい。だから、どうにかして羽ばたくのをやめたい。感情的にならないために必要なのは、絵を描き上げることや、一万歩歩き切ることや、仕事に没頭して帰宅すること。そのあたりのどれかで、
しかしそれは大体疲れ切っていて、脳死状態で、
愛情に飢えきっていて、いわゆる”誰でもいい”状態になり、

…私はあの状況で愛していた人を拒絶した。優しくされることに耐えられなくなったのだ、なぜか?相手を馬鹿にしている自分にまず気付かされるからだ。目まぐるしく変わる風景に嫌気がした。(私は誰だ、一体誰に仕えているんだろう?)そんな叫び声が上がる。それに蓋をするために、

寝た。


突拍子もない言葉が、どう見えるのかを私は一時期、相手の目に依存して話をし続けていた時期がある。彼は受け取り上手だったから私はそれにずっと依存していた。私はそこに存在しなかった。それでいて存在していた。今それをしようとしても他の誰かにとっては(何言ってんだろう、こいつ)でしかないとわかっていて、私は彼を探さざるを得ないまま走り出した。耐えられるか、自分を試すことにしていたから。私は(自分が彼を救える)と思いたいんだろうなと思う。
ずっと前、彼が死ぬ物語を見てしまってから、ずっと。

その物語は無理やり私を善性の強い人間にしてしまう。
それは悲しい自分自身の叫び(強い人が好きでいるのは単純だけど、相手の単純じゃないと思っている気持ちに沿うことができうるのか???)に反していて、悩みに落ちた。私は一体誰で、誰を助けたくて生きていて、誰のためにここにいたのか。

悩んでいて、答えになってくれる人がいた時も仕事をしていて、ひどいものがたりの氾濫に嬲られて、まともな話ができない人間になっていても許してくれるような、そんな、そんな、そんな人、もう他にいないんじゃないかと言いたくて、けれど鎖で縛るようなことはしたくなくて、バラバラに壊してしまえなんて思っていなかったから「なおせるよ、何言ってるの?」とムキになって噛み付いたら
「信用した」とか「やっぱり信用しない」とか、‥ケンカってそんなものだよな。

なぜ私は彼にとっての救いにはなれないんだろう。
そこに落ち着くのが嫌だから他の恋を探したいけど、それこそおかしい話じゃなかろうか。
やっと大学時代に長いこと混迷を極めていた混乱から脱したと思ったのに、別の迷いに導かれて(それがむしろ普通の状態)という場所に入り込んでしまった。

なんだろう、これは自伝小説というやつなんだろうか。‥馬鹿だなあ。そんなもの、書いて何になるというんだろう‥。
本当に届けたい人には、もう届かないのに。彼女、この混乱を「味わいたいものだ」と言ったんだ。一体どうやって共有すれば、彼女は味わうことができるんだろう。

苦くなく、美味しい形で。その機会はもう二度とないのに。
彼女の好むフォーマットは、私があまりにも大嫌いな枠組みだから、つまり、
ゲーム化させる方法がわからない。

彼女曰く 私は私が終わらせてきた仕事を、今度はゲームの形に落とし込まないといけないのだ、おそらく。どうやって?なぜ?君はやりたいと思うか?あんなに楽しい思いをしているが辛いと思わされなくてはならないよくわからない、SNS投稿を禁じられた世界を。複雑すぎて、疲れるよ…。

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