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場面23 郊外のショッピングセンター 日曜昼
1998年11月、日曜13時。
都市郊外にあるローカルショッピングセンター内。店内は混みあっている。
「おれここで待ってるわ」
「じゃあ、ともこのコート買ったら戻ってくるから」
男、妻と娘を見送ってタバコ自動販売機の横にある喫煙スペースに向かう。
ジャンパーのポケットからタバコを取り出し、ライターで火をつける。
喫煙スペースの前はベンチが並んだ広場になっていて、買ったばかりらしい雑誌を広げる
存在しない観光ホテルに関する伝聞
ある種のマンデラ効果、とは思うのだけれども。
M県の海沿いにある○○市、その市内中心部から車で30分ほど行った先に○○岬がある。この小さな岬は景観は良いのだが土地の高低差が激しく、大きな重機の搬入出がむずかしいため、今まで複数の観光開発計画が持ち上がったもののいずれも頓挫した、そんな場所である。
ところが○○市周辺に住む人々の中には、ときたま「○○岬には昔は大きい観光ホテルがあった」という記憶が