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「AIによる風俗排除」の壁を乗り越えたい ~私が「夜の世界で孤立している女性・1万人に支援を届けるプロジェクト」を始めた理由③~(坂爪真吾)

2020年7月より、新型コロナウイルス感染症の影響で生活に困っている性風俗の世界で働く女性を支援するために、GAPと風テラス、二つの支援団体が共同して、一万人の女性に支援を届けることを目指すクラウドファンディングへの挑戦を開始しました。

10月5日までに、600万円のご支援を集めることを目標にしております。

⇒詳細はこちら https://readyfor.jp/projects/38162

なぜ今、性風俗の世界で働く女性への支援が必要になっているのか。

そして、なぜ二つの支援団体が一緒にクラウドファンディングを行うのか。

その理由は、プロジェクトのページに記載しております。「フレフレ風俗!コロナに負けるなプロジェクト」のインタビュー記事でも、GAP広報の柳田さんが答えてくださっていますので、ぜひご覧ください。

このnote記事では、上記のプロジェクトのページには書き切れなかった個人的な思いを、つらつらと書きたいと思います。

ウェブ広告を出せない!

今回のプロジェクト、FacebookやGoogleに広告を出そうと思って申請しているのですが、(予想通りではありますが・・・)ことごとく「不承認」になっております。

広告のリンク先のページに「風俗」というワードが入っているだけで、「成人向けのアダルトコンテンツ」「センシティブな内容」と判定されてしまい、掲載前の審査で落とされてしまう、という状況です。

悪質な違法店の広告も、優良店の広告も、我々のような支援団体のクラウドファンディングも、「とにかく風俗だから全部ダメ」となってしまう。理不尽な話です。

「風俗に関連するサービスやイベントは、内容のいかんを問わず、公の場に広告を出せない」

これは昔から延々と続いている古典的な問題ですが、最近は人力ではなくAIによって自動的に審査で落とされてしまうので、交渉の余地すら無くなってしまっている感があります。古くて新しい問題ですね。

持続化給付金の排除のように、相手が国の場合は集団訴訟を起こすなどの方法はありますが、民間企業の内部基準(+AIによる判定)で弾かれてしまう場合は、手の打ちようがないことが多いです。

風俗店の関係者の皆様も、いきなりYouTubeやLINE公式、ツイッターなどのアカウントが説明もなく凍結されてしまった、という経験をお持ちの方は少なくないと思います。

こうした「AIによる風俗排除」、ツイッターの一部で話題の「性産業撲滅論」を唱えている人たちなどよりも、はるかに厄介で、深刻な問題だと思います。

「AIによる風俗排除」とどう向き合うか

「とにかく風俗だから全部ダメ」という理由でアカウントが削除されたり広告の審査で落とされた場合、正攻法としては、その都度運営元の企業に異議申し立てをしていくという形になります。ただ、一度下された判定を覆すことはなかなか難しいでしょう。

「AIによる風俗排除」に対する現実的な解決策としては、「特定のプラットフォームに依存しない」ことに尽きると思います。

例えば、ツイッターしかやっていない場合、仮にそこでのフォロワーが1万人いたとしても、アカウントを凍結された瞬間に、その1万人とのつながりは一瞬で失われてしまいます。

そのため、「AIによる風俗排除」がいつか必ずやってくるという前提で、事前に様々なルートやチャンネルを開拓し、人とのつながりの流れを複数化しておく、ということが重要になります。

支援団体の資金調達に関しても、特定の大口寄付先や財源に依存するのではなく、なるべく多くのルートやチャンネルから広く・浅くご支援を頂けるような仕組みをつくることが大切になってくると思います。

今回のクラウドファンディングは、そのための第一歩としても考えています。

風俗に関する事業や活動は、広告規制ゆえに、どうしても特定のプラットフォームや財源に依存しがちです。しかし、その壁を乗り越えることで、次のステップに行くことができるのではないでしょうか。

つらつらと私見を書きましたが、簡潔にまとめると、600万円を集める上で、「100万円を支援してくださる方を6名集める」よりも、「1000円を支援してくださる方を6000人集めたいな」という話です。

「100万円の支援は不要」という話では全くございませんが(むしろ大歓迎です笑)、一人でも多くの方に、無理のない範囲で、今回のプロジェクトに関わって頂けると嬉しいなと考えております。

次回に続きます。

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