家庭の味
大人になるまで、餃子が好きではなかった、というより我が家では、食卓にそもそもあまり並ぶことがなかった。
なぜなら、点心の類は父が好きではない、それだけの理由だった。
大人になり、お酒を飲むようになると唐揚げや、焼き鳥と並んで餃子は定番のつまみ。
いや、違うらしい。
餃子は家族で囲む「家庭の味」らしかった。多分、TV番組かなんかで見た映像では、お母さんやお姉ちゃんたちが100個なんて単位で、大量に黙々と慣れた手つきでどんどん餃子のひだを美しく畳んでいく。
「わが家はニンニク、ニラ多めでねぇ~」とか「肉は豚肉多めでいいのよ~」とか「うちのはショウガ効かせるのがコツなの」とか。
なんだって?餃子は買ってくるものではなく、お父さんのビールのつまみだけじゃなくって、子供たちにとっても「母の味、家庭の味」らしかった。
食いしん坊の私は、そんな映像をみたら急に(こんばんは餃子だ!)とメニューを決め、やってみたこともない餃子を造り始めたのだった。恐らく、7,8年くらい前からだったと思う。
その焼立て熱々の餃子を、「旨いなぁ」と父が我先にと、食べていたのだ。ビールと一緒に。うまい、ならいいか。
と、いう訳で私が始めた我が家の餃子が今日は登板。
ヒョエ~、ビールないじゃん。
一人の時間にぼんやり考えたことや、クスっと思い出し笑いしたこと、こそっと誰かに話したい事をここで紹介しています。いつか「読むクスリ」みたいな本になったらなぁと野望を抱いております。その時のために、それはそれは有難くお受けすることにしたいと思います!どうも有難う!