サンライズ_ガンダム40_ハローキティ45

ガンダム40周年と失格ファン(上)

テレビアニメ「機動戦士ガンダム」は今年、放送開始以来40周年だ。先日、NHKに出演するガンダムシリーズの生みの親、アニメ監督・富野由悠季の姿を見て、それをあらためて思い出した。懐かしさが込み上げ、劇場アニメ「機動戦士ガンダムIII(めぐりあい宇宙編)」の主題歌「めぐりあい」をユーチューブ動画で探す。これをBGMにしつつ、ガンダムに関するアレコレを調べると、キャッチアップできていなかった情報が幾つもある。"非リアルタイム組"とはいえ、"ファン失格"の烙印を押されそうだ。ただ、それはそれ。ガンダムファンが多そうな40代が一緒のときは、必ず話のネタにしたい。

多才ぶり

富野由悠季002

BGMに流している「#めぐりあい」。井上大輔が作曲して歌ったヒット曲だ。作詞したのは井荻麟。この人が何を隠そう監督の富野だ。これまで井荻麟の名義で、富野が作詞した楽曲は80曲以上にもなるという。劇場アニメ「機動戦士ガンダムII(哀戦士編)」の主題歌「哀戦士」、「機動戦士ガンダムIII(めぐりあい宇宙編)」の挿入歌「ビギニング」といったヒット曲も含まれる。いやはや、多才な人物だ。

もちろん、ヒットにつながった理由は、井上の歌唱力なども大きい。現在までに青山テルマ、GACKT、デーモン小暮ら、さまざまなアーティストがカバーし、いろんなアレンジで挑戦しているが、個人的にオリジナルの井上版が一番好きだ。実際に映画を観て、映像と楽曲が組み合わさったところを体験しているからかもしれないが、それでも映像の雰囲気、詞の内容に最もマッチしているのは井上の声だと感じる。

こだわり

劇場版のガンダムシリーズの主題歌として、井上が起用されたのは偶然だったようだ。ただ、その偶然を引き寄せたのは富野のこだわりだったと言える。当時、アニメ音楽をめぐっては"子ども向け"という認識を受けており、富野はその状況を打ち破らないといけないと感じていたという。オリコン・ニュース(ORICON NEWS)のインタビューで、こう答えている:

「ガンダムに関しては、レコード会社から推薦される作詞家、作曲家を使うのをやめようと思ったんです。では、やめた時にどうするか。作詞家や作曲家に『こんな楽曲、こんな歌詞にしてください』と妥協せず、正面切って言える作品がガンダムだったんです」

そうした中、レコード会社が連れてきたのが井上だったという。富野と井上はともに日本大学芸術学部の同級生で、気さくにやり取りできる間柄ではあったようだ。富野は井上に「いま仕事で多いのはCMソング。自分の曲を付けると商品が売れてビジネスとして楽しい」と言われ、グループサウンズ(GS)という限られたジャンルに閉じこもっているわけではないと知り、曲づくりをお願いしたそうだ。

とはいえ、井上は学生時代にGSでスターになった人物。そのため、妥協を許さないつもりの富野にも戸惑いがあったらしい:

「僕から見たら3段階くらいステップが上の人。だから、正直なところ、彼に詞を出すのが辛かったんです。当時、彼の仕事のアベレージはとても高く、このまま続けられたら(嬉しい)と思うと同時に、『いつ嫌われるんだろうか』という恐怖はありました」(オリコン・ニュース)

職人気質の印象がある富野。一方で、可愛らしい面もうかがえる。ガンダムに興味がない奥さんも、このエピソードに表情が緩んだ。(敬称略、続く)

(写真〈上から順に〉:ガンダム40周年×ハローキティ45周年のイメージ画像。ちょっと受ける=サンライズ、ガンダムシリーズの生みの親・富野由悠季=AV Watch)

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