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宝塚花組 元禄バロックロック 感想

東京公演を観劇しました。一時期コロナで中止していましたが、再開できて何よりです。まだまだコロナに振り回される日々は続きそうですね。健康第一。
感想を書きますが、私は宝塚に関してはにわかなのでご了承ください。全然詳しくないです。
また、役者さんがどうこうというよりはシナリオへの言及が大半です。一回見ただけなので記憶違いもあるかもしれません。

以下、ネタバレあるので改行多め。












良かったところ①大団円

事前情報で、ハッピーエンドとは聞いていました。実際、短時間で全てが解決して非常に爽快感がありました。こういうの、「え、あのサブキャラはどうなったの?」みたいな消化不良が残る場合も結構あると思うんですが、それがなく。非常に前向きな気持ちになれました。
かなりエンタメに振り切れていて、芸術性みたいなものはあまり感じませんでしたが、エンタメとして非常に高いレベルにある作品と思います。

良かったところ②ヒロイン・キラ

クロノスケを弄ぶ賭場の悪女、秘密を抱えたミステリアスな女、閉じ込められた無邪気で可愛そうな娘、そして恋した男に一途な乙女。
場面が進むにつれ見え方がコロコロ変わるキャラクターでしたが、終始魅力的でした。場面ごとに切り取るといろんな側面があるものの、行動理念は「クロノスケが好き」で一貫しているというのも分かりやすい&好感度高くて良かったです。
この作品、キラへの思い入れ、共感が強まれば強まるほど、キラを助けるヒーロー・クロノスケの格好良さが強まる、という面があると思います。なので作品の出来はクロノスケよりキラにかかっているのでは、と個人的には思うわけですが、星風まどかさんの演技は本当に見事でした。

良かったところ③敵役・コウズケノスケ

国家転覆を目論むテロリスト、コウズケノスケですが、常に分かりやすく「悪い人感」が全面に出ていて良かったです。動機のひとつに奥さんを取り戻したい、という同情できる要素、好きになれる要素があったのも、作品のエンタメ感を強めていたと思います。
野心のために自分の女を差し出す、というとキングダムの呂不韋が浮かびますが、ああいう目的のためなら手段を選ばない男、正直とても好きなんですよね…。ルックスは呂不韋よりコウズケノスケの方が遥かにイケメンですし。

良かったところ④デウスエクスマキナ・ツナヨシ

機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)という中二病の極地みたいな言葉があります。混乱した場面に現れて、全てを収めてくれる神様のことです。
本作の将軍ツナヨシも、役割としてはこれにあたるわけですが。まだ幼く、善悪どちらにも傾きうる危うさ作品全体にほどよい緊張感を与えていました。敵役のコウズケノスケより遥かに怖さがあります。
デウスエクスマキナの役割を負ったキャラクターは、どうしても作り物っぽさ、作者にとっての都合の良さが透けて見えてしまいがちです。ツナヨシに全くそういう要素がないとまでは思いません。が、それよりも「善の方にいって良かったなあ」という安心感が勝りました。

ちなみに史実の徳川綱吉公は、生類憐みの令のインパクトが強すぎるせいでどうしても悪いイメージがありますが、再評価の流れもあるとか。

良かったところ⑤忠臣蔵部分の改変、クロノスケのキャラクター

※この部分は特に個人的な感覚に基づいて書いています。

忠臣蔵。有名でファンも多い物語ですが、私は現代の感覚と少し離れた場所にある物語だと思っています。「命懸けの仇打ち」って、理解はできても共感は難しいのではないか、と。
忠臣蔵という物語の肝は、自己犠牲精神だと思うんですが。個人主義的な現代人の私は思います。「自己犠牲ってそんなに素晴らしいものなのか?」と。
合理性や実利を無視する「男の意地」に対する憧れはありますし、男性の可愛げであり切なさだとも思うんですが。最適解はそれじゃないよね、という感覚もあり。

「元禄バロックロック」は、私のこの感覚に合致する物語でした。自己犠牲を超えた最適解を探す物語。

ただ、先にも書いた通り、忠臣蔵の肝はやっぱり自己犠牲精神であって。それを否定した本作は、忠臣蔵であり、忠臣蔵でないんだろうなと思います。
存在しない「クロノスケ」が主役なのも、その辺が理由なのではないでしょうか。本来の忠臣蔵には存在しない、時を超え、現代的な倫理観とそれに基づく新しい解決策を物語に持ち込む存在。

それはそうと、クロノスケ役の柚香光さんは良い男ですね。いや女性なんですが。どこで何をしていても顔が良い…。格好良いシーンはもちろん格好良いし、主役なのに三枚目的なコメディ場面も結構ありましたがそれすら格好良い…。


と、ここまで褒め続けてきましたが、ここからはややマイナスの感想を書いています。プラスの感想しか見たくない方はここまででお願いします。

以下改行多め。













気になったところ①時計の力の範囲と効果

見てる間はあんまり深く考えないようにしてたんですが。時計の力が及ぶ人物と及ばない人物がいるんですよね。純粋に距離制限とすると、序盤のスリのくだりはクロノスケとキラが離れすぎてて成立しない気がします。間に結構人もいるし。ということは、時計の力から外れる人物は発動者が任意に選択できる?と解釈するのがいいんですかね。
また、序盤、ルーレットの白が黒になる場面。どうして時を戻すとルーレットの結果が変わるのか、理屈がわかりませんでした。黒に賭けてたのを、時を戻して白に賭け直す、なら分かるんですが…。分かる方いたら教えてください。
別件ですが、あの場面はルーレットじゃなくて丁半が良かったです。オラオラ系の男役さんが「丁か半かァ」ってやったら格好いいと思うので。すみません、妄想です。

気になったところ②クロノスケの時計職人要素

能力バトル漫画好きとして、時計職人にしかできない活躍を期待していた部分があったので、時計職人要素があまり活きなかったのが残念でした。
例えば、本物の時計は本当に捨てていたけれど、設計書を読んだクロノスケが自分の時計を修理して使えるようにしていた…とかあったら良かったなあと。途中までずっと抱えていた時計、見てる方も多少愛着湧きますし、ただの偽物で終わってしまったのもやや物足りなかったです。

気になったところ③キラという名前を聞くとデスノート夜神月の顔が浮かぶ

誰のせいでもないんですけども。忠臣蔵の方の吉良さんから取ってる名前でしょうし。でもやっぱりキラって言われると、「計画通り」って笑ってる月くんの顔が浮かびました…。

気になったところ④劇場の暖房が暑い

最早演目関係ないんですが、外が寒いので厚着で行ったら、客席が暖かい超えて暑かったんですよね…。劇場内飲食禁止なのに喉が乾くという…。舞台上なんて照明あるし洒落にならないくらい暑そうですが、流石にそっちは冷房つけてるんでしょうか。

気になったところ⑤客席がうるさい

書こうか迷いましたが。会話を控えろと散々言われているのに、開演前も幕間も幕が降りてからも、客席がかなりざわざわしていて…。しかも隣の人の会話が聞こえたのでなんとなく聞いていると、緊急でも重要でもない、超どうでもいい日常の雑談…。「静かにしろ」なんて、小学生でもできることが何故できないのか。義務教育を受けてないのか?という暴言が脳裏をよぎりました。

タカラジェンヌでなくとも、清く正しく美しく、の精神をもちたいものです。


自分でこれ書いてみて気づきましたが、私は本作、結構気にいってるみたいですね。
ライブビューイングも見る予定ですので、見たら何か書き足すかもしれません。
ショーの方は…気が向いたら書くかもしれませんが、書かない可能性の方が高いです。歌も踊りも素養がないもので、あんまり書けることがないので。深く分からないなりに楽しんではいるんですけどね。

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