物が多い家でよく見るもの 1
物が多いお宅におじゃまして
リフォームや収納の相談を受けている時、
よく見かけるのが
「透明プラスチックの蓋付き収納ケース」です。
みなさんもお持ちでしょうか?
これが山積みされたお宅はなかなか手強いのです。
あるお客様のお宅で、
たくさんの透明ケースを前に
「収納が足らないの、これをどこにいれようか」
と、相談された時のことです。
私が「これを全部、リフォーム後も収納されるのですか?」と問いかけると、お客様は驚いた様子で
「え?そりゃ〜これお姉ちゃん(娘さん)のだし、あっちは私の洋服で…」
と詳しく解説してくださるのですが、
透明なケースから見えているのは、
黄ばんだスカートや押しつぶされて変形しているトートバッグなど、そこから出しても使用可能かあやしいものたちばかり...
さっき入れ違いに、大学へ出かけたオシャレな女の子が、もう一度それらを使うとは考えにくかったのですが、お洋服が大好きな娘さんの服を「処分する」などという考えは、優しいお母さんであるお客様の中にはなかったようです。
同様に、お客様の昔の洋服たちも、
決して保管状態が良いとは言えず、
その中にまた日の目を見るものは少なそうでした。
私は娘さんと一緒に、ケースの中身を点検して整理することを、おすすめましましたが
「これを開けて全部確認するのは、ちょっと無理だから、とりあえずこのままにして、リフォーム後にぼちぼちやります」
とのお返事でした。
このケースは一度積み重ねると、
取り出すのは大変です。
きっとこのまま、ずっとしまわれていくのだろう….
そしてこのケースたちは
ただでさえ少ない、マンションのスペースの一部分を占領し、住人のスペースを容赦なく奪うのです。
その後も、何度かさりげなく整理をすすめてみたものの、結局最後まで聞き入れてはもらえず
広くないウォークインクローゼットの一番使いやすいはずのスペースの半分以上がケースで埋まりました。
「もったいない」
もっと使いやすい収納スペースが作れたはずなのに…と残念に思う私の横で、
「ああ、綺麗に入った!」と満足そうなお客様。
使い勝手だけでなく「思い出」を大切に収納したい、というお客様の気持ちには応えられた。
誰もがスッキリ暮らしたいと思うわけではないのだ、ということにも気付かせて頂き、その時はこれで良かったのだと思いました。
みなさんはどうでしょう。
透明蓋つき収納ケースお持ちですか?
透明ケースは中身が見えるため、
取り出す際には便利なように感じます。
しかし、そのふたがあることで、
いざ使用したい時には一手間かかるのです。
物を取り出すためにはふたを外し、
再び戻す際にはその手間が発生します。
この煩わしさは、日常生活の中でのストレスに繋がり、結局は物の存在を忘れてしまう原因にもなります。
私たちは、
使わない物や必要のない物をしまい込むことで、
心の中に「いつか使うかもしれない」という
幻想を抱いてしまいます。
結果として、本当に大切な物や必要な物にアクセスできず、無駄な時間を費やしたり、大事な場所を奪われたりすることに繋がったりしてしまいます。
もしもそのケースがなかったら?
押入れやクローゼットが格段に使いやすくなるかもしれません。
部屋に置いているなら、ケースがないだけで、見た目にもスッキリしますし、置きたかった家具や照明器具が置けるかも。
「思い出」を保管する代わりに手に入る素敵な未来
にも目を向けてみると、新しい暮らしが手に入るかもしれません。
私も部屋に「いつか使うかも…」が潜んでいないか、パトロールしてみようと思います。