見出し画像

大学院留学#2:奨学金制度の基礎知識・受給までのプロセス

こんにちは!ここでは、大学(院)留学を目指す際の、奨学金制度について書きたいと思います。

留学において、費用の確保は大きな問題の一つです。「無料で留学する方法」なんてものを検索しても、「費用ゼロ留学」はかなり難しいと思います。たとえ学費タダの大学であっても、教材費、住居費用、渡航費、海外健康保険費用、ビザ取得費用等々、どうしても費用は嵩んでしまいます。

しかし、資金の問題で留学を諦めてしまうのは、あまりにももったいないです!国だけでなく、地方自治体、外国政府、民間団体が、十分チャレンジする価値のある、十分な数のチャンスを提供してくれています。返済不要で、留学費用を給付してくれる奨学金制度がいくつもあります。私自身、幸い全額給付型の奨学金をいただけたため、2年間のヨーロッパ留学を奨学金だけで完遂することができました(私的な旅行費用は除いてですが笑)

少しでも多くの方々に、留学を支援する奨学金制度について知ってもらい、留学をより現実的に思い描いて欲しいと願っています!

1. 奨学金の基礎知識

はじめに、奨学金制度を探す上で、必ず知っておくべき用語と基礎知識を紹介します。

・奨学金の種類
貸与型(借りる)と給付型(もらう)
の二種類があります。一部の「貸与型奨学金」を除き、多くの海外留学奨学金は給付型です。
・留学の仕方
大きく「学位取得型」と「協定派遣」があります。前者は、学位(学士号・修士号・博士号)の取得を目的とした留学になります。正規留学やダブルディグリー留学がこれに当たります。後者は、日本の大学(院)に所属しながら、所属大学の協定校に留学するものを対象としています。
・奨学金制度の選考形式
多くの場合、書類選考1〜3回の面接選考になります。詳しくは、後ほど記します。
・併給と併願
同時に二つ以上の奨学金制度を利用することを、「併給」と呼びます。単独で、留学が可能になるような多額の奨学金が支給される制度の場合、「併給不可」と規定されていることが多いです。
しかし、「併給」は難しい場合でも、「併願」は多くの場合で可能です。もし、2つ以上の奨学金制度から認められた場合は、より良い条件のものを選び、片方はお断りすれば大丈夫です。応募資格があるものは、支給額の大きさに関わらず、積極的に応募していきましょう!
・入学許可書はいる/いらない
財団や組織によります。
入学許可書がないと申請できない奨学金制度もありますが、そうでないものもあります。応募締め切りが早い奨学金では、入学許可書が必須ではない場合が多いです(後で提出を求められます)。とはいえ、相手に「留学先で何を学び、なぜそれが必要なのか」を説明していくので、応募時点での留学先の決定は前提です。
・応募資格に所得制限はほとんどない
教育ローンや奨学金(貸与型)を利用する場合は、両親や本人の所得で、申請できる奨学金の種類が変わってきます。しかし、留学の場合、ほとんどの奨学金制度は所得制限を設けていません。「公平」ではないかもしれませんが、「平等」です。
・留学中の成績まではあまり考慮されない
ほとんどの奨学金制度は、留学中の成績の良し悪しまでは考慮していません。「留学先で成績トップでいないといけない」という訳ではありません。なぜなら奨学生に支給するかどうかは、留学前や進級時に判断されるからです。そのため、奨学金を受給するために、志望先を下げるのは間違いだと思います(ただし、留学先の大学から、成績優秀者に対して支給されるものは例外です)。

画像1

2. 奨学金の応募時期・スケジュール

一律の窓口や応募締切日はなく、組織や財団によってそれぞれ異なります。多くは留学開始前年度の夏7月〜春3月にかけて、応募締め切りがあります。例えば、2021年9月からの留学・渡航であれば、2020年7月〜2021年3月頃に応募をし、それぞれ選考を受けていくことになります。

以下は、あくまで最も遅いものですが、渡航までのスケジュールの一例です(ビザ申請時期は欧州を参考にしています)。奨学金もビザも、応募書類は数日で準備できるものばかりではありません。最低でも数週間は見込んで、計画的に準備を進めましょう

3月〜:奨学金制度について問い合わせる
3月〜4月:応募(書類選考)
4月〜5月:1〜3回の面接選考
5月〜6月:奨学金の受給が決定
6〜7月:ビザ申請
7〜8月:ビザ取得
9月:渡航・正規留学開始

3. どうやって奨学金を探すのか?

日本学生支援機構 (JASSO)『海外留学奨学金パンフレット』を公開しています。郵送での取り寄せも可能ですが、オンラインで無料で公開されており、PDFファイルをダウンロードすることもできます以下が、2019-2020年版のリンクです。兎にも角にも、これを徹底的にチェックしましょう!!

海外留学支援サイト 『海外留学奨学金パンフレット』
https://ryugaku.jasso.go.jp/publication/pamphlet/

パンフレットには、日本学生支援機構(独立行政法人)の奨学金だけでなく、地方自治体、外国政府、民間団体など、全ての奨学金制度が掲載されています。そして、表形式で「奨学金名」「 問い合わせ先」「 応募資格」「支給内容」「募集内容」「選考方法」がまとめられています

パンフレットを入手したら、一つ一つ、応募資格を確認していきましょう。その際に、上で挙げた基礎知識も参考にしてください。財団や組織によって、留学先、留学目的、専攻分野等々で、条件があるものもありますので、注意してください。

最後までチェックが済んだら、出願書類などの詳細情報や、締切日などの最新情報を得るため、各奨学金の「問い合わせ先」に必ず確認してください。

画像2

4. どんな選考なのか?

・書類選考
一般的に、以下のような書類が求められます。準備は計画的に進めましょう。

申請書、履歴書、志望動機書、推薦状(教授や上司からの)、語学能力証明書、大学成績証明書、卒業(見込み)証明書、入学許可書

・面接選考
財団や組織によって異なりますが、最低でも1回、多いと3回ほど面接選考があります。いきなり、役員クラスの方々の面接を受けることも多いです。大学生であれば、学生の就活を支援する「キャリアセンター 」などに相談することをオススメします。自分は就活しないからと侮っていてはいけません。アドバイスや模擬面接などをお願いしてみましょう。

・選考に向けて注意するべきこと
志望動機書の作成や面接選考に共通して、「留学先の魅力よりも、自分の魅力を伝える」ことを意識してみてください。もちろん「なぜその留学先を選んだのか?」を説明することは大事ですが、審査側は「本当にこの候補者は留学を完遂できるのか?」をより重視されると思います。前者は最悪インターネットでも客観的な情報が調べられます。しかし、後者は本人の動機書や発言からしか読み取ることができないからです。

また、基本的ではありますが、その財団や組織の活動理念・ビジネス領域についても、忘れずに確認しておきましょう。直接、留学後の縛りがなかったとしても、「お金を受け取って終わり」ではありません。奨学金をわざわざ支給するからには、将来いつか役に立つ、理念を共有している候補者を選びたいはずです。そこにも応えましょう。


読者さんの、留学に向けた奨学金取得に、少しでも役に立てたら幸いです。
ここまでご精読いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?