#27 Prague
2019年9月29日
午前中は楽しみにしていた〈ポストミュージアム〉へ。中へ入っていく人を見かけず、おそるおそる扉を開ける。
突然の日本人の訪問に、来客を待ち続けている受付のスタッフはちょっとびっくりしていた模様。中には各国の歴史ある切手がずらりと引き出しに整理されている。ほんの数センチの四角の中に描かれたそれらは、拡大してポスターにして改めて飾りたいくらい素敵。そこらの美術館よりも作品数は膨大だ。
現在は「チェコ共和国」となっているが、これまでチェコは隣国スロバキアとくっついたり分列したりと国名がころころと変わってきた国なので(私も全然詳しくないのだが)、それに伴い切手の国名表記がその都度変わっているのが印象的だった。さぞかし面倒だっただろうな。母国の名前が数十年で勝手に変わったりすることに対し、国民はどう思っていたのだろう、とハッとする。
切手には、その国の当時人気だったもの、風景、イベント記念、著名人などあらゆるテーマが描かれているので、そこからその国を知るのもおもしろい。最初の方は引き出しをひとつずつ出しては眺め、出しては眺め、としていたのだが、とにかく量がありすぎて腕や目のだるさが勝ってきて途中からは飛ばしながらランダムで見ていた。
中心地から西方面へ、トラムを終点地まで乗り続けDivoká Šárkaという場所へ向かう。この旅では、簡単に出かけられる距離に自然に触れ合える場所があれば出来る限り向かおうと決めている。というかどうしても行きたくなる。日本よりも、電車やバスで気軽に向かえる場所が多い気がしてなんとも羨ましい。街と隣り合わせにリラックスできる場所があるのはかなり良い。
まずはてっぺんに登ってみる。思っていたより急な勾配が続き、ハードな道を登り切るとやっと頂上へ。そこには爆風かつ爽快な景色。自分の持っていたチェコのイメージにはなかった風景だったのでここに来れて良かった。
一寸先は闇とはこのことか。急に崖があり、転がってしまうと絶対に落ちると思う。ちょっと足がすくむ。
ハイキングのお供は、ここに来る前に小さいスーパーで買っておいた、ごりごり食べ応えのあるクラッカースティック。大量の岩塩がまぶされていてびっくりするほどしょっぱかったので塩分過多にびびり、塩を爪でガリガリ落としほどよい塩梅にしながら歩く。
あとはひらすら道を歩く。ただただ歩いていただけなんだけれど、天気も良くウェル・ビーイングなひと時であった。近所に住んでいるであろう若いカップルや友人が、ただおしゃべりをしながら歩く光景も微笑ましかった。
出口から少し駅まで歩き進める。このあたりには一軒家が多く、ファミリー層が多い感じ。静かで穏やかな住みやすそうなエリアだった。
地下鉄に乗り、中心地へ戻る。ティータイムはお目当ての〈Kavárna Šlágr〉という喫茶店的なカフェへ。メインのフロアは薄い黄色まとって明るめのテーブル席、数段ある階段を上がると、薄暗く落ち着いた暖かい雰囲気のソファ席が広がる。
ケーキはおっきくて見た目も素敵なものばかりだったので、ショーケースの前でうむうむと悩んでしまい選ぶのに時間がかかった。最終的にケシの実ムースのケーキをチョイス。たまらぬ。何がと言われるとよくわからないが、チェコらしい雰囲気が漂ってきて好き。ケーキも食器もお店の雰囲気も完璧。今時のティーンが通うカフェも洗練されたアイデアの宝庫って感じで好きだけれど、やっぱりこのお店のようなしっとりと街に馴染む喫茶店は最高だ。
帰りにはまたスーパーマーケット巡り。包帯のデザインが可愛すぎて買ってしまおうかと手にとって悩んでいたが、最終的にはパッケージを写真におさめるという形で満足した。ついつい買ってしまいそうになるチェコの雑貨たち、あざとい。
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