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#22 Budapest to Vienna

2019年9月24日

ブダペストのバスターミナルからお決まりFlixbusでウィーンへ向かう。荷物が多いので荷物用エキストラチケットを買っていたのだけれど、乗客の荷物が多すぎて全部乗り切らなかった。ひとつのせるだけでもいっぱいいっぱいで、近くにいた筋肉ムキムキな男の人に押し込んでもらった。残りは座席に持ち込み、座ってみると結構窮屈。数時間の我慢、せっかく追加でチケット買ったのにもったいないな。ま、全部で1200円くらいなんだけど。安!

ものの3時間でお隣の国の都市に着いてしまう。早すぎる。ウィーン中央駅は都会的。ハンガリーよりもぐんとモダン度がアップしている気がする。あと、ドイツ語圏なので他の言語より(わからないなりに)少しは雰囲気でなんとなく生きられそうでちょっとテンションが上がる。

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地下鉄に乗り、宿へ。扉を開けようとドアノブを回したその時「ボカーーーーーン!」とものすごい音がして、一瞬手が止まった。何かの爆発音かと思ってすぐ横を見ると、3メートルくらい離れたすぐ隣の建物に車が突っ込んでいた。さっきまで見ていた風景と違いすぎて、もう口はあんぐり、心はぽっかり。こういう時、とっさに動けずただ立ちつくしている自分にも少し衝撃を覚えた。幸い運転手の人は無事だったけれど、突っ込んだところの壁はもう穴がぼこんとあいてしまっている。ちょうど扉を開けようとした時だったので、宿のフロントスタッフの男の人が「君がドアを壊したのかと思ったよ、ハハハ、どうぞ入って」と笑いながら言ってくれて少しほっとした。自分がドアを開けた時にものすごい音がしたので、事故を見る前は「え、このドアノブ本当は回したらダメだったのか?フェイク?爆弾のスイッチ?何かやらかしてしまったのか?」と頭の回転遅いなりに瞬時にめちゃくちゃ焦っていたので、彼が笑かしてくれて落ち着くことが出来た。

今回の宿はシェアアパートメント式になっていて、ドミトリーの中に専用のキッチンやお風呂があるタイプ。ホステル内を移動しなくていいから楽だけど、これは泊まっている人にかなり左右されそう。とりあえず泊まってみてから考えよう。日中で部屋に誰もいなかったので、手洗い洗濯をする。結構時間がかかるので、出来るだけ人のいない時に済ましたい。

夕方、中心地の方へ繰り出す。ふらふらのんびり歩いていると「今夜演奏会があります。安くするので観に来ませんか?」といかにも営業やないか、みたいな貴族のコスチュームを着た人に声をかけられた。気軽に断ればいいもののどうかしていたのか「ここは音楽の都、演奏を聴かなくてどうする」と謎のもうひとりの自分が脳内に舞い降りてきていて、スッとクレジットカードを差し出していた。暗証番号を入力しながら「何をやってるんや、クーリング・オフとかあるんやろうか」とかいろんなことを思ったけれどもう払ってしまったものは仕方ない。どんなもんか見てやろう。

ウィーンに来たからには、おのぼりさんらしく是非ともザッハートルテを食べてみたい。〈ホテル・ザッハー〉と〈デメル〉の2店舗の間でどちらが『ザッハートルテ』の商標を名乗れることができるのかという争いが昔あったそう。どっちにするか悩んだけれど、場所的に〈ホテル・ザッハー〉の方が近かったのでそちらでいただくことにした。行列に並ぶことなんか久しぶりだな。

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ザッハートルテがやってきた。ホイップクリーム多すぎやしないか、と思っていたけれど想像以上にケーキは甘く、甘さのないこのクリームは感謝してしまうくらいナイスバランス。「クリームおかわり!」と言ってしまいたくなるような白米的役割。行列はさらに長くなっているようで、パッと食べてラーメン屋のようにさっさとお店を出る。

時間が来るまで中心地のあたりを散策。観光客がかなり多く、都会的な通りの中にどんとそびえ立つシュテファン大聖堂がとても目立っていた。その近くには個人的にお土産でもらうと嬉しい〈Manner〉というヘーゼルナッツチョコ入りウエハースのスーベニアショップがあった。何が嬉しいってデザインがめちゃくちゃ可愛いところ。ピンクのものって普段あまり手にはしないタイプだけれど、これは何とも言えないいい感じのピンク(少しオレンジ寄り、サーモンピンクと言ったらいいのか)でパッケージデザインも素敵。さらに個包装でサイズやバリエーションも様々あり、お土産にぴったりだと思う。ここはオリジナルグッズもたくさん置いていて、舞い上がった。お菓子はいくつか手に入れたけれど、グッズは買いたい気持ちをぐっと抑えてまだ1日目だから、と少し冷静になる。

ついに演奏会の時間。演奏会って個人的には小さなホールをイメージしていたのだけれどそれは全く違い、ただの部屋に50〜60名用の椅子がずらっと並べられたような感じ。これはカモにされたな…と落ち込んでいると、観光客はどんどんやってきて始まる前には席がほぼ埋まっていたので、ちょっと安心した。うまいかどうかも専門的なことも全くわからないが演奏会は有名な曲をたくさんやってくれたので、楽しんで聴くことができた。生で楽器の音色や歌声に触れることがこんなにも気持ちが良いものだったかと、吹奏楽部を退部してからは(もう10年以上経つ)こんな機会も滅多にないことだろうし、嘘くさいコスチューム男には少し感謝したいと思う。私服で行けるし写真や動画もオッケーの気軽な演奏会だったが、今度は大きなホールで迫力を感じてみたい。

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建物を出て地下鉄に乗るまでの間、気分が高まっているのか軽くステップを踏んでしまいそうな気持ちをそっと押さえ、早歩きでそそくさと帰る。

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