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#23 Vienna

2019年9月25日

朝起きると同じ部屋の人はほとんど外出してしまっていた(つまり起きるの遅い)。昨日買ったMannerのお菓子を早速ひとつ開け、甘い朝ごはんをしながら計画を軽く立てた。

まず、すぐ近くにあるシェーンブルン宮殿へ向かう。ハプスブルク家の人々が夏の離宮として使っていたそう。黄色い宮殿はマリア・テレジアにより提案された色で『テレジア・イエロー』と呼ばれている。金色ではないが豪華絢爛すぎてまぶしい。ちょっとこの壮大さを受け止めきれない気がするし、あいにくチケット売り場も結構混んでいたので、宮殿内は見ずに大きな庭園を散歩がてらぐるりと回ることにした。チケット売り場に併設してあるスーベニアショップをちらっと覗いてみると、マリア・テレジアをモチーフにしたお土産物がたくさんあって「テレジア〜!」「これもテレジア〜!」と独り言を言ってしまうくらい。

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テレジア・イエローの宮殿の向こうには中央ヨーロッパの都らしく赤茶屋根の家々が一望できた。ひとり旅の外国人の写真を撮ってあげると、お返しにわたしの写真も撮ってくれたが、ひとり旅の自分の写真が今までなかったので見返すとかなり恥ずかしい(ただでさえ普段の写真でも自分が映るのは恥ずかしい)。自分が映ることで今この目に映っている空間を邪魔したくない、という気持ちが先に出てしまう。でも、数枚くらい自分がこの場所に立っていた、という記録が残っていてもいいじゃないか、と思うことにする。

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敷地内には温室や動物園まである。関西のおばちゃんグループを見かけて「このまぁるいカットされた葉っぱ何に見える?」「私には綺麗に盛られたチャーハンにしか見えへんわ〜」「ほんまや、見える見える〜」…いや、どう見てもチャーハンには見えへん。久しぶりにがっつりした関西弁を聞くと少しきつく感じ、帰国するのが怖くなった(笑)。

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ようやく庭園散歩を終え、中心部の方へ。ウィーンの街にはLGBT使用の信号機がいくつかあった。ヨーロッパで生活をするとたくさんの愛の形があるな、と考えさせられる。最近では映画やドラマなどを通して取り上げられることも多く、どんどん理解者が増えていっていると思う。全世界の人が気持ち良く生きられるこれからであってほしい。

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バス・トラム乗り場の看板。格好可愛い。

ちなみにオーストリアの通貨はユーロ。いちいち換金したりする必要もないし、計算も楽なのでユーロ圏の国に着くとほっとするのである。でも独自の通貨はそれぞれかなり可愛いのでそれを見れないのは結構惜しい。余談ではありますが私のベスト・オブ・通貨はアイスランド・クローナ。激かわで持って帰りたかったけれどお札はしっかり使い切ってしまった。

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カメラ屋さんでフィルムを買ったり、街をふらふら歩いた後は〈Naschmarkt〉という市場へやってきた。野菜やスパイスなどがずらりと並んでおり、見ているだけでわくわくする。途中に大好きなバクラヴァという中東あたり発祥のスイーツがいろんなショップで量り売りしていたのでゲット。バクラヴァは薄〜い生地と様々なナッツをどんどんミルフィーユのように重ねていき、こってり甘いシロップに漬けられた甘々のおやつ。

そのあと一本ずれた筋にはレストランが軒を連ねていて、どこかで食べることにしたが、全然決められないし探すのも面倒臭いのでもう客寄せしているところへふらっと入ることにした。ウィーンでは昨夜の演奏会といい、客寄せにまんまと寄せられている。オーダーしたのは"シュニッツェル"と呼ばれるカツレツ。ポーランドでは”コトレット”と呼ばれたカツレツがまた言葉を変えて現れ、そしてまた頼んでしまう。

そして『ラドラー』と呼ばれるフレーバービールはもちろんオーダー。お酒弱々の私でも、アルコール度数は約2%なので500ミリリットル瓶だけれど飲めきれる。ありがとうこんなお酒を作ってくれて。日本でももっと広まって欲しいもののひとつ(大げさ)。

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そしてどでかカツレツをまたひたすら口に放り込む。ランチタイムは過ぎているのはわかっているけどなんだか客足が滞って寂しいな、と思ってGoogle mapでこのお店を調べてみると星1.8という低い評価。ご飯屋さんに行く前にはよくネットで評価や口コミについて調べてしまうのに、今日は調べなかったことを後悔してしまう。確かに観光客向けの価格だったし、貴重な旅の一食を失敗してしまった気分でかなり沈んでしまった(ご飯で感情左右されがち)。今はSNSですぐ情報をチェックできるし、写真やコメントもたくさんあるので調べておけば自分が求めていたお店にちゃんといけたかもしれないのに。でも、私は評価だけで左右される女でありたくはないし、ラドラーも飲むことができたし、シュニッツェルだってまずいわけではない。ていうか、私は大体ほとんどのものは美味しいと感じるし(それもどうなのか)調べなかったら幸せなまま食べ終えることができたかもしれない。片隅にはまだ悲しみを隠しきれてはいないが、食べ終わる頃には自分の機嫌を取り戻して店を出た。

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お腹もいっぱいになったのでまた街をひたすらに歩く。

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いかにもヨーロッパ、となる風景ばかりでハプスブルク家の強さを感じる。街にこんな歴史的建物があるって、日本に置き換えるとどういう感じになるんだろうか、とか考えながら歩いていると急にネオンの看板がどんどん増えてきたりする。

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ちょこちょこお店を覗いたりしてずっと散策していたらあたりが暗くなってきた。ウィーン国立歌劇場の前を帰り際に通ると、ちょうど夜の部のオペラが始まるところだった。チケットがない人でも鑑賞できるように外に大きなスクリーンがあり、30分前くらいからぞろぞろ人が集まってくる。なんて優しいシステムなのだ。私も立ち止まってみたが、突然の立ち見で自分の中に見るスイッチが入ってなかったのか気が散ってしまい、言葉もわからなかったので20分ほどで諦めた。

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夜の街に吸い込まれてゆく、格好いい夫婦。

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帰り道には系列の違うスーパーマーケットをいくつか徘徊する。それぞれ品揃えが違うので楽しいので最後のお店には閉店近くまで居てしまった。今宵もMannerの大缶を買ってうきうきして宿に帰る。

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