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Don't Drink Me 制作背景インタビュー

Whatever Taipeiが自社で企画・制作した、台湾の代表的なドリンク「タピオカミルクティー」「マンゴースムージー」「タロイモミルク」をバスボムにした「Don't Drink Me(ドント ドリンク ミー)」の開発エピソードをTaipeiチームにインタビューをさせてもらいました!

Whatever Taipeiはどのような会社ですか?また、なぜこの製品を開発したいと思ったんですか?

Shiny:Whatever Taipeiは、クリエイティブスタジオやデザインスタジオ、広告代理店など色々な言葉で表現されることもありますが、基本はクリエイティビティに関する領域を網羅して活動しています。

最近の作品でいうと、Uber Eats Taiwanの「今夜、私が頂くのは...」のCMシリーズ、台北101のカウントダウンアニメーション、台湾歌手の吳青峰さんのMV、人気バンド・草東沒有派對の公式ウェブサイトとグッズ制作、世界でも人気のあるらくがきARなどがあります。また、クライアントにサービスを提供するだけでなく、社内で面白いアイデアがあれば実際に企画・開発し、プロダクトやサービスに落とし込んで消費者に提供することもあります。

Whatever Taipeiでは、毎週金曜日の午後に台北のWhatever Juice Barでお茶を飲みながらメンバー同士でアイデアを共有しているのですが、そこで「これ面白いね、実際にプロダクト化してみよう」と話が進んだのが「Don't Drink Me」でした。

2019年に台北101で開催されたカウントダウンアニメーション①
2019年に台北101で開催されたカウントダウンアニメーション②
自分で描いた作品に命が宿るアプリ「らくがきAR」

「Don't Drink Me」のアイデアはどこから思いつきましたか?

Rachel:最初は台湾をもっと知ってもらうための新しいアプローチやマーケティング方法を考えていました。そんな中、世界的に見て台湾で有名なものと考えたときに最初に浮かんだのが「タピオカミルクティー」。しかし、台湾の代表的な飲み物は実はタピオカミルクティーだけではなく、種類の豊富な「台湾式手作りドリンク」なのです。私たちはこの台湾ならではの"手作りドリンク文化”に着目しました。

台湾のドリンクは、ただ美味しいだけではなく、日々台湾人の心の癒し、幸せや悲しみ、祝福を感じさせたり、優雅に過ごす時間のお供にしたりと、さまざまなシチュエーションで愛されています。そこで「台湾式手作りドリンク」を異なる形でアップデートするような、斬新なアイデアを考えるようになり、結果「飲み物の中に浸る」という奇想天外なアイデアが生まれたのです! 

「Don’t Drink Me」の特徴を教えてください。

Elly:商品のパッケージは、実際に飲食店で使用されているドリンクと全く同じものを選びました。入浴剤は水に入れるとくるくると回転しながらカラフルな泡を生み出し、水面に鮮やかマーブル模様が現れます。それにプラスして、それぞれの飲み物の香りもふわっと香ります。例えば、タピオカミルクティーは淡いお茶とミルクの香りがしたり。

Don’t Drink Meは「地産地消」と「オーガニック成分」に最もこだわっていて、防腐剤や香料などの不要な化学添加物は含まれていないため、よりリラックスしてお風呂時間を楽しめます。

Shiny:それが「Don't Drink Me」(訳:飲んじゃダメ)と名付けた理由でもあります。リアルなデザインで"飲み物 "と感じるような印象を持たせて、他のバスボム商品との差別化を図りたいと思ったんです。

一般的な市販の入浴剤は200グラム前後で、シンプルな丸い形状のものが多い。そこで、市販の試作品を使うのではなく、まずは型を作り、ゼロから製品を作り上げるところから始めました。

本物のようなデザインと香りを3つのフレーバーで展開

製作プロセスで何か印象的な出来事はありますか?

Shiny:一番印象に残っているのは、最初のサンプルテストをしたとき。チーム全員が浴槽の周りに集まって、溶ける過程を観察したことですね。最初はみんな大喜びで写真やビデオを撮っていたんですが、どんどん溶けていくにつれて歓声が小さくなり、最後には静寂の中、泥水のような水だけが浴槽に残っていました(笑)。その瞬間、このプロジェクトは成功しないかも…と絶望しました!

幸い、メーカーと相談しながらバスボムの作り方を変えたり、水の色を表面の泡の色でカバーできるようにしたりと、何度も調整とテストを繰り返して、ようやく今の製品のようなカラフルな水面を作り出すことに成功しました。 

初期サンプルの試験時
最終的な商品の水面

Rachel:私が一番印象深かったのは、チームがユーザーエクスペリエンスをより深く理解するため、一緒にホテルに宿泊したことです!各自好きなバスボムのフレーバーを選び、実際に交代でサンプルを使って泡風呂に入ったんですよ。それぞれのお風呂を待つ間は、たくさん出前を取ってテレビを見たりしてました(笑)約5時間くつろいだ後にチェックアウトして帰宅したんですが、勤務時間中にゆっくりお風呂に入れる(製品テストだけど)なんて、生まれて初めての経験でした!もちろんこの試験をしたからこそ、ユーザーごとにお風呂に浸かる時間やお湯の量、バスボールを入れるタイミングなど、それぞれに入浴習慣があるなど多くの気づきもありました。

ホテルでのテストの様子

制作過程で一番難しかったところはなんですか?

Rachel:デザインで一番難しかったのは、プロダクト外観のリアルさや美しさを担保しながら、水の中に入れた時のグラデーションが鮮やかであることを共存させることでした。各フレーバーにはそれぞれ課題があって、たとえば初期の設計ではタロイモ味を水に溶かした時の水面が単調過ぎたので、黄色いタロイモの丸いデザインを追加することで鮮やかなユニコーンカラーを出すことに成功しています。

あとは、黒色を入れる事にこだわったタピオカミルクティー。黒を入れることで水が薄黒くなってしまうことを懸念していましたが、何度もメーカーと相談し、微調整することでその問題も改善していきました。幾度となく親身に手伝ってくれた仲間や製造業者のパートナーの皆さんには本当に感謝しています。最終的には満足のいく製品を作ることができたので、苦労した甲斐がありました。

「Don’t Drink Me」は、企画から製造までに1年半かかったと聞きましたが、その中で最も達成感を感じたことは何ですか?

Shiny:去年の9月に六本木で開催された「六本木アートナイト 2022」の連携イベントに参加し、Don’t Drink Meを展示販売したことです。日本のお客さまに実際に商品を紹介することで、台湾への関心が高まるなどとても好評いただき、チームとしても大きな励みになりました。

こういった活動で台湾文化を海外に発信しているのですが、今年は台湾での販売も開始しました! 私たちのアイデアやクリエイティビティを通じて、皆さんの日常が少しでも楽しくなるように。それが私たちの一番の幸せかもしれません。 

ROPPONGI ART NIGHT での展示の様子
ROPPONGI ART NIGHT での展示の様子
TSUTAYA BOOKSTORE での販売ブース

他にも面白いエピソードはありますか?

Rachel:ある日Ellyと、サンプルテストで使った水をオフィスのトイレに片付けていたのですが、水をトイレにぶちまけてしまって。洋服ををびしょびしょに濡らしながらトイレ掃除残業をしました(笑)。他の人がトイレに入ってくるたびに「すみません、滑りやすいです・・!」と謝りながら。今でも思い返すと笑ってしまうエピソードです。

オフィスでは小さなバスタブを用意してサンプルをテスト

たくさんの面白いストーリーをありがとうございます!次に構想しているプロダクトはありますか? 

Shiny:すでに頭の中には、いろいろなアイデアが渦巻いています! 今回の開発を通じて、非常に貴重な経験や知見を得ることができました。次回は異なるタイプのプロダクトに挑戦して、これまでやったことのないものを作り続けていきたいと思っています。また、さまざまな業種の方と一緒に良い化学反応を起こしていきたいですね。


商品詳細
オンライン販売:Pinkoi
店舗販売:TSUTAYA 南港
公式Webサイト:

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Whatever 公式Webサイト:https://whatever.co/