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(連載小説)秘密の女子化社員養成所⑧ ~強制プチ整形と強制脱毛で女顔に~

朝のひと仕事を終え、やっと朝ごはんを済ませた悠子たち新人研修生は息つくひまもなく部屋に戻って女子社員の制服に着替えてメイクを直し、始業時間に間に合うよう女子化研修のメイン会場になっている多目的室に向かった。

出向くとどこの会社でもあるようにこの研修所でも朝礼があり、ここで一日の予定確認や上司からの訓示が行われる。

「ほら、女の子らしくちゃんと膝を揃えて座らないと。」
「スカートの上に手を重ねて女らしい座り方をしないとダメじゃない。」

などと遥香をはじめとした指導役の女子社員に細かい注意をされているうちに教育研修部の課長で悠子たちの女子化研修の主任担当でもある星野 渚(ほしの なぎさ)がやってきて朝礼が始まった。

「一同起立!、礼!」の掛け声で全員が起立し、手を前にお腹のやや下あたりで重ね合わせた女性的なお辞儀をしながら「おはようございます・・・・・。」と挨拶をすると続けて各個人毎に名前が呼ばれた。

「菊川悠子さん、おはようございます。」
「は、はい・・・・・おはようございます・・・・・。」

悠子はいきなり自分の名前が呼ばれた事もあって少しびっくりしてしまい、こんな風にオドオドしながら先程同様手を前で重ね合わせながら深々とお辞儀をして朝の挨拶をした。

「菊川さん、今日も一日女子化研修頑張ってください。ところで菊川さんは女ですか?、それとも男ですか?。」

そう渚に聞かれて「は、はい・・・・・わたしはお、女です・・・・・。」と恥ずかしそうに悠子は答えた。

当たり前だけどやっぱり今日も女性扱いされながら女子化研修を受けるんだと思っている悠子と同じように他の研修生たちも「私は女です」と言わされている。

だけど何度となく「私は女です」と昨日から言わされているとなんとなく自分の中での性自認が男ではなくて女と云う感覚になってくるし、同じように強制的に女子化研修を受けさせられている同期の研修生を見ていると自分だけが女子化させられているのではないと安堵感を感じていた。

一通り点呼と挨拶が終わると今日のスケジュールが発表され、まずは午前中は各部署に所内の紹介も兼ねて挨拶周りに行くとの事で5人は渚や他の指導役の社員に連れられて多目的室を出た。

純子をはじめ今のところ皆5人ともおとなしくしているのでリードや手枷・足枷は付けられていないが、それでも研修生の証でもある首輪はされたままで足早に所内を挨拶に回るのだった。

まずは所長室を訪ね、改めて今日も着物姿の三浦所長に挨拶を済ませると続けて総務部と教育研修部を訪ね、その後は食堂横の厨房で昼食の準備前で少し休憩していた料飲部の部長兼司厨長で通称「シェフ」と呼ばれている青山涼花(あおやま すずか)に挨拶を済ませ、一旦建物を出た。

出てみると昨日は気が付かなかったが研修棟の隣にたくさんの柑橘類や花を植えてある畑や温室があり、隣には別の建物も併設されているのだがここが商品開発部が入居している研究棟で、ここで採れた様々な素材を使って実験や新商品の研究開発が行われていた。

一見すると手入れの行き届いているきれいなハーブ園や果樹園、花畑が広がっており、色とりどりの木々や花々が植えてあるのどかな風景に癒される。でもこれが本来の研修・研究施設の姿なのだろうけど実際はそれプラス別の研修・研究施設でもあるこの島の実態と現実を感じずにはいられなかった。

そのまま5人は研究棟から渡り廊下と中庭を通って今度は隣の保養所棟に連れて行かれた。

聞くところによるとこの研修施設と保養所は元々この島にあった学校だったところにその建物と敷地を再利用する形で作られたとの事だった。

保養所は中庭を挟んで保養所棟と研修棟が向かい合う様に建っているのだが、デザインも保養所はまるで南欧のリゾートホテルを思わせるような造りになっているのは当然としても研修棟も元あった学校の校舎を改築して保養所棟と調和するようなシンプルでおしゃれな造りにしてあり、また校庭だったところを二つの建物の間の中庭として整備しなおし、施設全体でリゾート地になるような設計・施工がされているのがよく分かった。

ただ先程の農園もそうだし、この中庭でもメイドたちが顎でこき使われていた。

額に汗しながらメイド服のまま農作業や庭の手入れをさせられている彼女たちは当たり前のように怒鳴られたりキツい事を言われながら時には力仕事を含めた作業をさせられていて、これに限らずメイドたちがこの島の施設の雑用全般を担わされている事も段々と分かってきた。

保養所棟に入ると1階のエントランス部分にはホテルのようなフロントとロビーがあり、2階と3階が客室とダイニングルーム、そして色々な用途に対応できる会議室スタイルの小部屋が何室かあり、客室は全て海向きのオーシャンビューとなっている。

また保養所棟に併設する形でおしゃれな外観のコテージが3棟ほどあり、ここも1戸建ての別荘感覚で泊まれる客室として、また他にも色々と隠れ家的な用途としても使える建物になっている。

そして1階にはエントランス以外にもまるでホテル内で何でも完結できるオールインクルーシブのリゾートホテルのように様々な施設や設備が完備されていた。

例えば大きな窓から海を眺める事ができ、カウンターとテーブル席が併設されている「バーラウンジ シトラス」や飲食ができてお酒も飲めるカジュアルなスタイルのカフェバーに焼き立てパンや島で採れる柑橘類をふんだんにつかったスィーツなどいかにも女子が好みそうなものを売っている本格的なパティスリーがあり、その隣にはスパを併設したエステサロンに美容室やネイルサロンまである。

そして更にちょっとしたブティック風のアパレルショップがあり、そこにはよそ行きの上品なスタイルのものから下着類やカジュアル衣料に小物類まで一通りの女性用の品々が置いてあるし、それ以外にも店頭にウエディングドレスが飾られているフォーマル衣装のお店もあればそれだけでなくなんと呉服店まである。

呉服店は三浦所長が着物好きなのと会社としても機会があれば社員の和装を推奨している事もあり、品ぞろえは新品・リサイクル品だけでなく反物まで置いてあるので着物を新たにここで誂える事だってできる。

興味深かったのは洋服の品ぞろえが少しよそ行き風のものが多いのとここに置いてあるものは洋服でも和服でもドレスでも全て保養所の宿泊客はもちろんこの島の研修所・合宿所所属の社員なら誰でもレンタルでき、もし気に入ったのがあれば買う事もできるのだった。

これは保養所の利用客が荷物を少なくするために普段着を着て手ぶらでやってきた場合でもディナーの時だけはおめかししたい等のニーズに応える意味もあるし、何よりこの島にいる社員の「たんす」を兼ねているからだった。

それはどう云う事かと言えば大半の社員はこの島からは自由に出る事ができないし、元々離島なので頻繁に本土に行って買い物と云うのも難しい中で予め会社でこのようにショップでの在庫として大量の洋服や着物を用意しておいてそこから自分の好みの衣類を選ぶ事ができ、しかもそれが月単位でのサブスクになっているのだった。

悠子は着るものについてどうせ女物しか着せてもらえないのは分かっていたが、昨日女になったばかりなのでもちろん自前では女物は1枚も持っていないし、買いに行くにしても島から一歩も出られないのにどうすればいいのだろうかと思っていた矢先にこの事を聞かされてホッとした。

おまけに研修生は枚数に制限はあるもののその範疇であればサブスクの代金は無料だと言うし、下着や靴にバッグ等の小物やアクセサリーは買い足す事もできるが今自分の部屋のクローゼットにあるものは会社からの「支給品」なのだそうで、つまり会社の命令で悠子たちは女として扱われる訳だから女物の衣類や身だしなみに必要なものは会社の費用で用意しようと云うロジックだった。

なお遥香たち一般社員も衣類はサブスクで利用できるのだが無料ではなく毎月定額料金が給料から引かれている。

ただ元々この島に居る社員には「離島手当」なるものが支給されているので懐にはさほど影響が無かったし、どうやら大手通販サイトやアパレルショップ、それにリサイクルチェーンからも新作、セール品織り交ぜて商品が提供されているらしいのと、新人の服飾デザイナーたちが作った試作品も文字通り試着目的で送られてきてはここに並べられていて、定番品だけでなく最新の流行を取り入れたものもあるのでほとんどの社員が好んで利用していた。

感心しながら5人はアパレルショップを後にすると隣に何やら怪しげな店構えの小さなコーナーがあって中に入るとそこはいわば「アダルトショップ」でセクシーランジェリーやSMグッズをはじめバイブやローター、ローションと云ったアダルト系のグッズやレズもののAVが所せましと置いてある。

悠子も昨夜はここに置いてあるようなセクシーランジェリーを着せられて麗子や遥香に可愛がられたのでそれ用の需要はあるのだろうし、第一この島のどこでこんなセクシーランジェリーを売っているのだろうと思っていたのだがこれで謎が解けたのと、これから夜な夜な自分はもちろん他の研修生や社員もここにあるようなグッズを使って淫らな事をされるのだろうと察した。

そしてその隣にはドラッグストアとコスメコーナーを併設したミニスーパーがあってちょっとした飲食物や日用品だけでなく、ここに居るのは一応全員「女性」なので化粧品やスキンケア用品、生理用品は必需品でその為のお店なのだがコスメコーナーを覗いてみるとデパートの化粧品売り場みたいになっていた。

ビューティービーナスでもここ数年ほど柑橘類を使った化粧品やスキンケア用品、アロマ用品を自社で製造・販売しているのだが、この島の研究施設で作られた試作品をいち早くこのコスメショップに並べて社員たちにモニターをしてもらういわばアンテナショップもここは兼ねているようだった。

それ以外にも名の通った大手メーカーや海外からの輸入品もあれば韓国コスメのようなプチプラ製品も置いてあるが、なんと自社製品であればこの島にいる社員は研修生やメイドも含めて無料で貰えると言われた。

世間では結構上々な評判で人気も高いビューティービーナス製の無香料・無添加自然派化粧品や柑橘系のアロマ用品が使い放題とはこれまた太っ腹だと思ったが、服と同じく化粧品を何一つ持っていない悠子にとってはありがたい話でもあった。

またショップには美容部員まで居てちょうどメイクをしながら接客をしていたのだがよく見るとなんとその美容部員は麗子だった。

「あら悠子ちゃんじゃない、どうしたの?。」
「はい、今日は各部署にご挨拶に回らせてもらっています・・・・・。」

麗子がメイクの達人でこの島でも1,2を争う腕前の持ち主だとは聞いていたけどそれはそれとしてっきり麗子は研修生の指導役の社員だとばかり思っていたので驚きつつ、そう言えば同じく指導役の遥香は今日も朝から自分と一緒に研修を受けているけど麗子だけが何故だか今日は居ないのを不思議に感じた事を思い出した。

「そうなの。じゃあしっかりご挨拶して今後のためにも皆さんに顔と名前を覚えてもらわなくっちゃね。うふふ。」

「あの・・・・・麗子お姉様は今日は私のご指導はお休みなんでしょうか?。」

「いやそんな事はなくて、ここのコスメコーナーでのお仕事もあたしの大事なお仕事よ。」

つまりどう云う事かと言えば麗子に限らずここに居る大半の社員は役割を2つ以上掛け持ちしていて、こうする事で会社としても人件費を節約して且つ業務を効率化する狙いがあるのだった。

例えば麗子の場合は元美容部員と云う経験を活かしてメイク関係のアドバイザーやコスメコーナーの店員をしつつ、持ち前のS女の性分やメイクや美容の知識も活かして研修生たちの女子化の指導役も兼ねていた。

またこの他にも昼間は総務部や教育研修部で一般事務をしながら夜になるとバーラウンジでホステス役やキャバ嬢と云った「キャスト」をしている社員や、合宿所に滞在している体育会系の大半の部員たちは練習時間以外は保安警備課に所属して施設の見回りやパトロールをする「警備員」を担っているのだった。

ここまで一通り島内の施設を見学しているとちょうどお昼時になり、今日のランチは天気もいいので中庭にレジャーシートを敷いてそこで食べる事となり、メイドたちが場所をセッティングしてランチボックスと飲み物を運んできた。

ランチボックスの中身を見るとこの島で採れたと思われる柑橘類を使ったマーマレードの載っているデニッシュパンと同じくこの島産の柑橘類やキウイフルーツをふんだんに使ったフルーツサンドと搾りたての新鮮なフレッシュジュースが入っている。

ひと息つく感じでレジャーシートの上に腰を下ろした研修生だったが「こら!あなたたち女の子のくせになんて座り方してるの!。」と渚からダメ出しされて横座りにて座るように言われ、仕方なくスカートから足をのぞかせるように出して横座りで座ってみたが、この体勢に慣れないせいか体も足も痛い事もあって案外難しい。

そして「森野さん!女の子のくせになんて恰好で座ってるの!。」と純子が怒鳴られている。見るとやはりこの横座りが慣れないようでもあり、つい気を許してだらしない体勢で座ってしまっているのを渚に見つかってしまっていたのだった。

「す、すいません・・・・・。」
「あなたね、女子としての自覚が足りないんじゃないの?。森野さんは男ですか?、それとも女ですか?。」
「は、はい・・・・・わたしはお、女です・・・・・。」

そうバツが悪そうに答えている純子に渚は「だったらなんで女らしく横座りで座らないの!。森野さんはお仕置きね!。いい?あなただけ正座してお昼ご飯をいただきなさい!。」と厳しく言いつけると純子も「はい・・・・・申し訳ございません・・・・・。」と言うと正座の体勢に座りなおし、うつむきながらランチを食べるのだった。

「あらまたお仕置きされちゃって・・・・・。ほんとに純子ちゃんは”おてんば娘”ね・・・・・。」
「まったく”おてんば娘”の純子ちゃんには手を焼きますよね。でもその分指導のやりがいもありますけどね。」

こう話しているのが純子の指導役の富永 美里(とみなが みさと)と波多野 康子(はたの やすこ)で、美里は純女だが康子は元は「康平(こうへい)」と云う名前の男性で、女子化研修でこの島に連れて来られた純子や悠子たちの2期先輩にあたる。

美里は「バーラウンジ シトラス」のチーママを兼ねていて、それ以外にもこの島に来る前にはSMクラブで女王様の経験もあると云うSっ気たっぷりの女性で、康子の方は同期の中だけでなくこれまでで最も優秀な女子化研修生と云う評判で、研修終了後もその女子化のノウハウを新研修生たちに受け継がせて立派な女子社員に仕立て上げて欲しいとの会社からの希望でそのまま指導役としてこの島に留まっているのだった。

またどちらもSっぽい雰囲気が漂うとても気の強そうな「女性」で、それもあって今期の新研修生の中では一番強烈な女子化研修が必要と思われる純子に指導役としてあてがわれていた。

それにしても「おてんば娘」と揶揄する言い方ひとつとっても研修生は徹底して女性扱いされているのが分かるし、ついこの前まで男だったので「やんちゃ」とか言われてもよさそうなのだがそれさえも無く、とにもかくにも研修生たちが女子化される事は揺るぎない方針なのだった。

ランチが済んだところで午後の予定を発表すると言うので聞いていると、信じられない事を渚が言いはじめた。

「えーそれでは午後から研修生の皆さんは”女の顔”になってもらいます。」

えっ「女の顔」ってなに?、今でもメイクしてウィッグ被って「女の顔」になってるじゃない?。これ以上「女の顔」になるっていったい・・・・・。

と悠子たち研修生たちは思っていたが、渚は事もなげに続けてこう言った。

「これからより女らしい顔になる為にあなたたちには整形をしてもらいますから。」

ええ?!わたしたちこれから「整形」されちゃうの?。そんな・・・・・と悠子のみならず研修生たちはさすがに驚き、お互い顔を見合わせていた。

渚が言うのには女らしい顔になると云う事でまず手はじめに

・眉を女らしい形に整える
・目がぱっちりするように二重まぶたにする
・更にまつエクもしてよりぱっちりお目目にする
・唇にヒアルロン酸を注入し、ぷるんとした女性らしい唇にする
・耳たぶにピアスの穴を開ける
・顔の髭を脱毛して今後一切生えてこないようにする 

などのプチ整形をこれからするのだと言う。

「もちろん費用は会社持ちだからお金の心配はしないでいいのよ。でもよかったわねー。これだけの事を自費でやろうと思うと結構金額掛かっちゃうのに皆さんは無料でやってもらえるだなんて。」

とまるで羨ましそうに渚は言うのだが当の研修生たちにとっては只々驚くほか無かったし、もちろん遠慮したり拒否したりできる雰囲気でもない。

びっくりして戸惑い、そして声も出ない悠子に遥香が「あら?悠子ちゃんどうしたの?。なんだかうれしくないみたいだけど・・・・・。」と声を掛けてくる。

「ええ・・・・・ちょっとびっくりしちゃって・・・・・。」

「まあそうかもねー。でも心配ないわよ。整形って言ってもここの先生やスタッフの方はすばらしい技術の持ち主ばかりだからまず失敗しないし、第一あたしも半年前にやっていただいてこのお顔になったのよ。整形していただいてとってもよかったわー。」

そう嬉しそうに言う遥香を見て、悠子はだから言われるまで遥香が以前のセールス研修で一緒の班の「遥人」だったと云う事に気づかなかったのだと思った。

その時の遥人は目は一重だったし、剃り残した無精ひげもあったりするどことなく自信なさげな感じの地味な男性だったけど、今は二重のぱっちりお目目でツルツル・スベスベの美白のお肌だし、確か昨日キスされた時も元は男とは思えない位に唇もぷるんとしていたがそれも全てここに来て整形されていたからだと思うと合点がいく。

そしてよく見ると遥香や康子だけでなく、他の指導役の女子社員も全員二重でまつ毛が長く、唇がぷるんとしているではないか・・・・・。

ここに連れてこられた研修生はこうやってみんな強制的に整形されて女らしい顔にされるのだと云う事を察した悠子はさすがに怖くなっていたが、隣にいる紗絵や涼子も見ると困惑した表情で口には出さないものの「整形されるだなんてイヤ」と顔に書いてあるし、純子に至っては整形される事そのものへの嫌そうな気持ちがあからさまに表情や態度から伝わってくる。

「ささ、じゃあ皆さん参りましょうか。」といくら嫌そうな表情をしたところで渚や他の指導役の女子社員に知らないふりをされたまま悠子たちは隣の医療棟へ連れて行かれた。

行ってみるとこの小さな島の施設内でもあるし、医療棟と言ってもてっきり簡単な設備と造りなのだろうと思っていたが、見ると結構本格的でまるでちょっとした病院のような施設だった。

医療棟では昨日の入所式で社員代表として挨拶をした美容・医療部長の三上弥生と一緒に副部長の村上瀬奈(むらかみ せな)が出迎えてくれ、まずは施術の前に研修生たちは施設内を見学して回った。

弥生は主に内科を担当する医師で、その他にも精神科の心得もあるし他にもコンタクトレンズの処方箋を書いたり、花粉症対策の注射をしたりと簡単な事なら眼科や耳鼻科の領域もこなしている。

また瀬奈は主に外科や整形外科の領域を担当しており、それ以外にも時には弥生と協力してインフルエンザの予防接種をすることもある。

この島の研修所に医師が二人もいるとは驚きだったが、二人とも研修所に併設されている格闘技系の運動部のチームドクターを兼ねていた。

確かに格闘技系の競技だとケガをしたり故障する事もあるだろうし日頃からのケアも大事だろうから瀬奈のような整形外科医はいてくれた方がいいに決まっているし、一般社員にしてもこの離島と云う特殊なシチュエーションでしかも自由に島外に出られない中で普段の健康管理を含めて弥生のような一通り診てくれる事のできる医師の存在は安心だしありがたい。

この他にも看護師や理学療法士、薬剤師などが微笑みを浮かべながらズラリと並んでいて、その姿はまるで悠子たち研修生を整形するべく待ち構えているかのようだった。

研修生たちは既に二重だったり、ピアスの穴を開けている人がいたりするのでそれぞれの状態に応じて必要な箇所を手分けして整形される事となった。

そしていつの間にか例の警備員を兼ねている格闘技系の部員がジャージ姿で研修生が整形されるのを嫌がったり逃げ出したりするのに備えてそばで睨みをきかせている。

「じゃあ、はじめましょうか。」

渚がそう言うと悠子はまず眉を女らしく整えるために麗子と遥香に美容室に連れて行かれ、他の研修生たちもそれぞれ施術の行われる部屋に連れて行かれたのだった。

(つづく)









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