066球体ビルフロア創造✳円環屋上と螺旋階段スロープ転移クリスタル天文台プラネタリウム設置
仮想世界では引き続きセッション創造が行われている。
(「吹き抜けは上階に行く程、幅を狭くした方がいいわね」)
アプルが球体ホログラムでそう皆と同期し、それに続いてシェリーが同期した。
(「上階程フロア面積が少なくなるものね」)
現在アプルはギターに戻り、シェリーは円環シンセサイザーを鳴らしている。
(「吹き抜けに螺旋階段つくったらどう?」)
くるくる廻っている私はルンルンの螺旋の動きを観てインスピレーションが湧いた。
(「プラネタリウムと天文台もつくりたい」)
私にあわせてクリスタ/シカナティアがそう皆と同期した。
(「「「「「いいねぇ」」」」」「「「「「わー素敵」」」」」)
大盛況が生じたその後も、セッションは続いたのだが、ある瞬間に『存在永遠豊』にこれまで以上に『Sync/同期』できた気がした……嗚呼――なんて最高なの――。
そうして幕は閉じた――。
――セッション創造により構築された球体ビルを上空から観てみよう。
環状型の屋上が吹き抜けの天窓の周囲につくられていて、一階から通じる螺旋階段で上がれる模様。私たちクランメンバー以外も環状屋上で展望できるのだ。
何ということでしょう。オーマイ、天窓の階下を覗くと、吹き抜けの空中に浮いている球体フリースペースが観えてきます。
この2nd球体フリースペースは、クラン専用のプライベートルーム。目覚めてからふらっとセッションが可能なのです――。
七階から上の吹き抜けは超重力スペースになっていて、2ndは内部が直径九メートルで八階を中心に浮かんでいる。
階下から吹き抜けを観ても、七階から上の2nd球体フリースペースと私たちは観えないようにテクノロジーでなっている。
九、八、七階は私たちクランの居住スペース。気の合う者同士が近くになり、部屋の形は円形で広さも内装も各人の好みに合わせて最適化されている。吹き抜けから侵入しようとする者へのセキュリティも万全だ。
六階は私たちクランの空きフリースペースにしといて、拡張できるようにしてある。屋内自然公園もあり、天文台とプラネタリウムもこのフロア。
駐車場、正確には駐機場となるが、自動運転ドローンに乗ってここから発着可能。私たちの仮想世界では個人利用も許可した。概ね他の仮想世界でも同様だ。
AIヒューマノイドもこのフロアで暮らしている。概ね彼女らはクランメンバーの気に入りそうな選りすぐりの品物をこのフロアに運び、各人が好むそれらをピックアップしユニークスキル『収納』に補完される。
AIガーディアンロボの本部もあり、三階から下は各階支部に滞在する。
九階から六階は、私たちクランのプライベートフロアということになる。
五階は主に気の合うギルドメンバーの居住スペースとギルド仮想世界本部。
四階は主に気の合うギルドネットワークスメンバーの居住スペースと仮想世界支部。
三階はリゾートホテル/ゲストハウス。
二階も一階と同様八つのエリアがあり、オープンフレンドリーエリアを始めとして、アート文化エリア。ウェルビーイングエリア。フューチャーテクノロジーエリア。順に自由交流、文化藝術、快適生活、未来技術となる。
残りは魔法スキルラボエリア。ポテンシャルラボエリア。そしてセッションラボエリアに、さらっととりあえず決まった。ひとつは空けておいて、アップデートされてゆく。
ポテンシャルラボエリアは、ポテンシャル/潜在力の浸透は元より、『存在永遠豊』も研究される。
二階からは外側にある円モール改め、七階建て円環モール屋上に出入りしやすい。
一階は食品、飲食店と各専門店。ショッピングセンターのようになっている。
スタッフはAIヒューマノイドかロボ。時おり人間も楽しく接客や作業をしている。それらをするのが好きな者たちなのだ。
ちなみに食糧と工業生産、加工は地下と円モールで予定されている。スポーツ施設も同じく。屋内でスノボもできたりする。
このビルにあるものはすべてSかSSSで、本当にいいものか選りすぐりのもの、サービスのみが存在する。基本シンプルでナチュラルなものが多い。
さて、球体ビルの直径は壁分は除いて一七六メートル。球体フリースペースは直径六六メートル。
吹き抜けの環状通路は幅七メートル。中心の球体フリースペースと環状通路へ繋がる✳の八つの主要通路はすべて七メートル。
球体ビルの壁分を除いた外周は約五五二メートル。環状通路の外周は約二五一メートル。
✳の通路で区画されたショートケーキ型のエリアは全部で八つ。こちらはテナントが入りながら決めていこう。テナントは半球型か円柱の建物で、天井の高さは四メートル。移動しやすい。
今はこんな感じでいいかしら。仮想世界だからと言えど、勢いで規模が大きくなった。円環モールは格納しておこう。
球体ビルは地上九階建て、地下九階。今後、拡張する場合は、円環モールが七階建て。球体ビルの上に、円柱または円環タワーが増設可。なぜならここは仮想世界。とはいえ現実世界でも創造マシンや異能スキルとテクノロジーでなんとかなりそうな気もする。
現実世界での有効なシミュレーションになることを望む。
――あ、格納してある円環テーブルと超重力睡眠スペースはどうしよう……。
円環テーブルと丸テーブルは一階の環状通路に置いておこう。ついでに七階の吹き抜けの周りにも設置しよう。そうしよう。
超重力睡眠スペースとふわんふわんベッドは六階の天文台とプラネタリウムの近くに設置しよう。
エレベーターの代わりに『転移クリスタル』を設置。球体フリースペース内にも転移可能。螺旋階段にはエスカレーターの代わりに、『超伝導磁気浮上』やら、なんやらかのテクノロジーを活用。
自力で登りたい人向けに階段も残してある。螺旋階段の下部に囲まれているスライダー、スロープみたいな円管で、屋上から超伝導で浮き滑り落ちられるようにもなった。これはハピ、モア、アミン、マイル、ミーナ、ナナンの要望だった。
高さ八八メートルから螺旋状に浮きながら滑り落ちるのって、目が回らないのかしら。着地点は超重力を設置し無重力にして、ふわっとさせよう。
建物素材は自動修復機能に加え、色彩も変えられるようにしてある。
私たちはクランメン居住スペースにできた、好みが繁栄された最適化仕様で、カスタムされた各々の部屋に入った。その後皆でそれぞれの部屋を内覧することになった。
転移クリスタルで私は九階に移動した。
私の部屋は九階。壁と窓側だ。すぐ隣は私を挟んでソファとシェリーの部屋。ソファ部屋のその隣はクラスタ/クラリスタ/シカナティア。シェリー部屋の隣部屋は空き部屋のようだ。
部屋の形は円形。ドアはアーチ型をしている。
センサーが私のポテンシャルクオリアを認識した途端、ドアは上にスライドした。
私の部屋の景色が目の前に広がり、瞳に映りこんできたのだった――。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「こーどくなー……きーみ……こ……」
「人……間……らしい……」
むにゃむにゃ。
「ひーーかりがーー……」
「ゆーめのよ……」
ぐぅぐぅ。
すぴーすぴー。
その頃、現実世界の私たちは輪になってなかよく眠ってましたとさ。
Quotia 配分 割当 遵守