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 ごく。


「さーーよならーーメーモリーーズ」


 ごくごく。


「「唄うかお白湯飲むかどっちかになさぁい」」


 ソファとシェリーに突っ込まれた……。



 お白湯は今日も美味しいわ。


 ぐびぐびと飲みながら三人でしあわせな一時――。




♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪


「ビルは円柱で上に行く程半径が小さくなるわ」


「「「「「おーー」」」」」


 歓声が上がるが、実はこれまで皆で象徴的にイメージが共有されてきた結果なのだ。


 それが今、具体化されている。


 ここにいないメンバーには球体ホログラムでシェアリングされている。


「くり返すとまず地面に球体の中心を配置。その周りを大きな円で取り囲むの。円はモール部分。そして球体の上にビルよ。拡張できるわ。地下も概ね似た感じだわ」


 そうシェリーがまとめてくれた。


 球体ホログラムにて、皆の脳内で立体的に投影されている。


 本来こういう活動、プロジェクトは小さく始めるのが鉄則、常套でもあるのたけれど、ここは仮想世界だし、現実世界でも進捗されつつあるので、そろそろハコも欲しいなと。そう感じつつあるのだ。


 あ、先に土地や風土、地形、インフラから創られた方がいいのかしら、とはいえ仮想空間だから土地や地域ポテンシャルの影響はほとんどないし、すでに創られていた球体フリースペース、円環テーブル、超重力睡眠スペースで、素地やポテンシャルが出始めている。建物と同時に周辺も最適化されるようだ。


「ビルは球体や半球をアイスみたいに(じゅるり)何回も重ねてもよかったけれど、ややこしくなりそう。またもしかしたら挑戦するかもね」


 ソファがそう言った。


「すごごごく大事な球体フリースペースの位置はきっとみんなわかってるかしらね」



 そう…………ここよッ。


 球体ホログラムの立体ホログラムに球体フリースペースが配置された。


 最初、地面に配置した球体の中心に球体フリースペースの中心をピッタリ重なっている。


「ここなら外から来た人も来やすいわね」


 ダンサーのブルーがそう言い、続いて一旦帰ってまた今しがた戻ってきた主に演出役のアプル/フィオナ。


「そうすると居住区にも、もうひとつ球体フリースペースをつくるってこと?」


「「「「「それがいい」」」」」


「「「じゃあそうしましょ」」」


 私たち三人はそう応えた。


 これで目が覚めてすぐにでもふらっとセッションできる。うふふ。


「基本、自動的に最適化されるわ」


 まずは外に置いてある円環テーブルと椅子、超重力睡眠スペースのまぁるいふわんふわんベッドをユニークスキル『格納』が発動して格納される。


 そして私とソファとシェリーは『Sync/同期』されて、中心となる位置が最適に決定されて、宙に浮いている球体フリースペースがそこに転移配置された。


 そうして今、メインコアが決まった――。



「ではセッションしながら、球体ホログラムで言語化してシェアしながら最適に決まりつつ、創造されていきましょ」


 私たちは球体フリースペースに入る。無重力状態。私たちは中心部分に集まる。


 ぷかぷか。


「『ライフバリュ』のあんしん、ゆたか、よろこび……ここちよさ、こころよさ――『存在永遠豊』もメインになるから、感覚(クオリア)を感じてね。


《クオリア『Sync/同期』されます》


ここちよい あんしん しあわせ よろこび うれしい たのしい うるおい ゆたか よゆう ゆとり わらい あそび


安寧 快適 快眠 充足 活力

共生 円満 大団縁 一体感 共有感 感無量

感銘 信頼 真摯 恩寵 祝福 余録 超豪運


健康長寿 不練周天 塞翁が馬

ヒュッゲ めぐり逢わせ わらしべ長者

創意工夫 臨機応変 最適代替案 全体最適解 蒸留 アップデート 

インサイト ニューオーシャーン

ミニマル シンギュラリティ クォンタムリープ

コーピング マインドフルネス ポテンシャル ハイライト


超言語 共通コード 共有回路 シンクロニシティ


自動化 最適化 快適化 持続化 共有化 永遠化


Sync(同期共有)Links/Connects/Nets(繋がり縁)

Presence(存在永遠豊)



《これらクオリアがメインとなる中心法則システム運用中。現実世界でも適用》


《メタ現実 ポテンシャルワールド プリンセスエンプレスメイン/プリンスエンペラー 選りすぐり 本当にいいこと》



「……準備はいい?」


『格納』により空中にそれぞれの楽器が現れる。


 深呼吸。


「ではポテンシャルセッション……」


 ここからは超言語となり、私、ソファ、シェリー、アプルが動くと同時に、同じく演出のきこみこさんをはじめクランメンバーは動いて音が共振、魂が共鳴した。


(「半球部分の一階は天井高が30メートルはあるといいな」)


(「それはすごごごーい!」)


私とソファはそれぞれ動き/踊りと円環シンセでメロディ、シェリーはドラムでテンポが決まりリズムする。


(「したら33メートルくらいにしときましょ」)


 ソファが高さ感じる音を奏でた。浮遊しているような音も。


 するとシェリーは正確なリズムを叩き始める。


(「一階が33メートルだとして、残り八階分でかける高さ4メートルくらいかしら??」)


 私はそれに反応し、高さと広さを感じる大きな動きをして、手と腕で天と地を繋げるような動きをした。


(「二階、三階も天井高くしたいな。他も天井高が四メートルで階高五メートルの天井と床厚は合わせて一メートル」)


(「「「ぜいたくぅ」」」)


 ソファがきらびやかな音、シェリーリムショットを織りまぜたドラムフィルをした。他メンバーの伴奏も聴こえる。


(「天井が高い程クリエイティビティが増えるみたいだものね」)


(「それにここちいいもの」)


(「えと、球体部分は九階建てだから階高はそれぞれ一階が三十四メートル。二階が十四。三階が十。四階から九階が計三十メートルで合計八十八メートルてところかしら?」)


(「うん、それでいいと想う。ありがと」)


 球体フリースペースの外側で大きな球体が一瞬で創造、構築された。つまり九階建ての建物と地下。自動修復される素材が適用されている。ガラス部と壁部は自由にカスタマイズできる模様。


(「何かこれだけでも充分な規模の建物な気がする」)


(「そうかも。幅も地下もあるものね」)


(「ビル部分から住居スペースと想ってたけれど球体の上階からでも良さそうね。広い数階建てのモール部分もあるもの」)


 アプルとシフォンはギターで、きこみこさん、オジュは踊り、マナをはじめ他のメンバーも伴奏している。


(「そしたら住居スペースの2nd球体フリースペースの位置がどうなる?」)


(「そうね」)


(「ビルがないなら球体部分の上の方になるわね」)


 サリュン/タオンはベースてリズムを支える。


(「あ、もしビルができたとして、球体フリースペースがあるから中央エレベーターが設置できないよ」)


(「たしかに」)


(「かにかに」)


(「「「「どこかに」」」」)


 迷探偵である……。シーフードさん。


(「さておき九階建てならすぐに1st球体フリースペースに行けるわ。球体フリースペースの半径どのくらいだっけ?」)


 アプルがそうメロディを奏でた。一音一音丁寧なアルペジオだ。


(《33メートル程です》)


 ガイダンスは脳内でほんのりメロディとリズムをつけてそう答えた。


(「「「あら」」」)


(「丁度一階の天井高と同じね」)


(「「ほんとね」」)


(「OKね」)


(「あとフリースペース幾つくらい必要かしら?」)


(「うーんとりあえず建物球体部分の地上部の上の方にひとつ。地下部の下の方にひとつで、合わせてまず二つ。あとは他との兼ね合いもあるし大きなデザインにもよる」)


(「一階部分は✳みたいな通路をつくるのはどう?玄関は八つね」)


(「「「「いいよー」」」」)


(「螺旋はどう?」)


(「できたら他の階でやりましょ。」)


(「居住スペースの他は店舗や事務所、施設とかが増えるのね。美味しい飲食関連とここちいいサービスはマストとして、あとみんな何つくる?」)


(「「「楽器工房!」」」)


 メインギタリストのシフォン/ハロを始め多くが各々の楽器を鳴らした。


(「「「ふらっといって集まる場」」」)


 すごごく重要。


(「「映画館!」」)


 映画はみんなで観る場合、広いスペースがあれば球体ホログラムで観られるが、雰囲気重視だろう。

 

(「「「温泉!」」」)


 役者のマリーとミーナたち。ゆったりのーんびり。ここちよし。


(「コジコジ館!」)


 うっ……。そうしたいけれど大丈夫なのかしら。とこまでOKか見極めなくちゃ。


(「アニメ店」)


 うんうん。


「レモン屋さん」


 ミオンがそう声に出して歌ったけれど理由は秘密ね。


(「百合部屋」)


 おいっ。……いいじゃないか。


(「遊園地」)


 別に屋外でもいいから屋内でメリットあれば。プレイランドかしらね。


(「魔法工房!」)


 魔法少女ペキノ。


(「図書館」)


 作家でもあるミーカ。


 球体ホログラムでほとんどの本は観られるが、紙本フェチの為に。しずかな読書スペースということか。


(「デザイン店」)


 ファッションコンシェルジュのみゅん。


 私たちクランだけなら、メタスキル『物質解放』でデザインがあれば洋服、靴、雑貨、アクセが創れる。『創造ナノ-ヨクトマシン』で素材はほぼ創れるが、現物素材が必要なものもある。


 となると私たちクラン向けのお店は居住スペース寄りに基本なるのかしら。


(「ホテル」)


 来客用。


 店舗も含めて、私たちクラン、そして紐付いているギルドはメタスキル『存在豊』そして『∞BANKs』の物質的側面で資金は潤沢。無限の為、無料で提供できる。シェアリングエコノミーは勿論、ギフトエコノミーも実現可能なのだ。それについてはあとで検討しよう。それによってはゲストルームも必要。


(「スポーツ場」)


(「武道場」)


(「プール」)


 大事ね。


 あとはシェアリングルームや多目的フリースペースをいくつかこしらえておけばよさそうかしら。


 屋内自然や公園ルームもあるといいかも。


(「神社」)


 ダンスの他に神職系なココ。お寺、教会、神殿みたいなのも必要かしら。


 医療施設も必要ね。

 

 福祉施設も。そして共育施設。もちろん文化施設。相談所。食糧生産施設。工業生産施設。ガーディアン。他……。


 新しい呼び方は決まっていないが、ブロックチェーンの深化発展の影響もあり、銀行、証券などの金融系は消滅あるいは形態がシフトした。


 そして近い未来、そう遠くない未来に、お金という概念は忘れさられるだろう。


 何か大きくなってきたね。


 運営AI室は最上階あたりになるか。それともメタ次元領域でも大丈夫なのか。今までどおり後者。『最適化アルゴリズム』。『グランドデザイン』の『シェアルゴリズム』はクラン、ギルドネットワークスのシェアルゴリズムにも紐づいている。


(「とりあえずまずは私たちのみ。でも仮想世界で実現、運営が継続できそうなら、現実世界でもスムーズに創造され、希望する他の家族そして『エクスファミリア』も含めて快適に生活ができるようにしましょうね」)


 セッションはこうして続くのでした――。


Quotia 配分 割当 遵守