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追憶の生クリーム

もうすっかり年の暮れ。少し前のできごとを書き留めておこうと思う。

(もう年越し…紅白…初詣…なんて時期なのに、ちょっと時期が過ぎたネタで申し訳ありません…💦)


慌ただしく日々が過ぎていくなか、先日のクリスマスで久々に1ホールのケーキを購入した。ちなみに我が家は家族4人、子どもは小1・年中になる男の子。いよいよ食べ盛りに突入するころだ。

去年までは、まだまだそこまで食べられないだろう…ということで、ひとり1カットずつ、好きなケーキを購入していた。それぞれ好きなケーキを食べられるから、それもまたよき思い出。

夫から「今年はせっかくだから、生クリームのホールケーキを買おう!」との声がけがあり、4人で5号、直径15センチのイチゴのケーキを購入。みずからケーキ屋に行って1ホールケーキを購入したのは、おそらくウン十年前、私が小学生以来のことかもしれない。それくらい、久しぶりのことだった。

購入したお店は、私の住む町にあるそれこそ50年以上前からあるであろう、古き良きケーキ屋。まさしく私が小学生の頃、母が購入してくれたケーキ屋だ。

当時、私にとってケーキ屋といえばそのお店しか記憶にない。今のようにコンビニやショッピングモールなどでスイーツが売られている時代ではなかった。私の町にはケーキが購入できる洋菓子店は3店舗くらいしかなったように思う。

予約日は過ぎていたが…

慌ただしく過ごしていたものだから、予約に訪れたのは22日のこと。その非、店頭に入ろうとしたところ、ドアに貼られていたポスターに「ご予約は20日まで」との文言を発見。もう無理かな…。

きれいな店員のお姉さんに声をかける。

「あの…クリスマスケーキって、もう予約できないですよね…?」

お姉さん、忙しそうだけど、嫌な顔もせず答えてくれた。

「予約終了してしまった種類もありますが、まだご予約できるものもありますよ」


よかった…何とか間に合ったようだ。

私はこのお店の生クリームが大好き。市販のものとはちょっと違う、手作りの、なんとも優しい甘さが他には変えがたいのだ。

ふだんはホールケーキもかなりの種類を扱っているが、クリスマスの24日は数多く販売する必要から、4~5種類ほど限定されていた。幸運なことに、私が狙っていたイチゴの生クリームのホールケーキはまだ残数あり。5号をお願いし、24日の夕方に取りに行くよう伝えた。


子どもと食べる「あの頃の味」

24日はすでにリクエストのあったグラタンとチキン、サラダを用意。チキンというものの、手羽元の唐揚げだ。子どもたちのリクエストは普段の味がお好みのようだ。それで十分嬉しいらしいから、それでいいか。


そして、食事の後に待っているのは、私が一番楽しみにしているケーキ。部屋を真っ暗にしてクラッカーを鳴らす。そしてケーキの登場だ。子どもたちは人生初のホールケーキ。目を輝かせる、その姿を見ているだけで「料理・ケーキ、準備してよかったな…」とほっとする。

普段もこのお店のカットケーキは食べたことがあるのだが、テーブルの真ん中に「どん!!」と置かれたホールケーキにはドキドキするものだ。夫がそっとナイフを入れ、切り分ける。


子どもたちとウキウキしながら、私も一口食べてみた。

「ああ、あの頃と同じ、変わらない味だ」

一瞬にしてブワッと、当時の頃がよみがえってきた。

食べている相手は違うけれど…ほんの一瞬出会った、小さな女の子


ケーキのろうそくを立てて火をつけ、部屋を真っ暗にする。

「電気消すよー!」

真っ暗にしたあと、姉とわたしがろうそくの灯を消す。おたんじょうびのときのようだと、誰かの声が聞こえる。

電気をつけると、父・母、そして今は亡き祖母の姿。弟の姿は見えないから、きっと私が小1か2のころだろうか。姉と「こっちのケーキのが大きいから私こっち!」なんて言い合いながら、イチゴののった生クリームのケーキをほおばる。

ケーキを一口食べるごとに、生クリームのあまさが体いっぱいにしみわたる。「あまいものは別腹」をはよくいったものだ。小さい体ながら、大きくカットされたケーキをぺろりと平らげた。

・・・・・・・・・・・・・・・

ふと気づくと、子どもたちとケーキを食べる私がいた。

ほんの一瞬、小さな女の子に会ったような…、戻ったような。

そんな気がした。


リアルタイムでは見ていないけれど、私は、メルモちゃんに出てくる「赤いキャンデー」をいくつか食べてしまったのだろうか…。

不思議なひとときだった。

そのあと、ちょっとだけ涙が出た。


懐かしさからなのか、嬉しさからなのか。

それとも、寂しさからなのだろうか…。

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