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タマちゃんとわたし。①~生涯に一度きり。~

獣医さんによると、タマちゃんは去年の8月くらいに産まれたらしい。

最近少しづつ毛色が変わってきた。

後頭部に2つのほくろみたいな斑点。

これがまた、愛らしい。


アラフォーの私にとって人生初

タマちゃんは、私にとって初めてのペット。

すでに小1、年中の子の母であり、四十路となった私。これまで生きものを飼うという機会がなかった。


とはいっても、私がまだ幼いころ。

当然、ペットを飼いたいと両親におねだりしたことはあった。当時少女向けのマンガを見ていると、ハムスターや可愛らしい子犬などが主人公とともに登場。そんなペットとの暮らしにほのかな憧れを抱いたものだ。

けれど、同居している祖母から

「動物は飼わないでほしい。飼うのなら、おばあちゃんが死んでからにしてくれ」

と言われた。だから、しぶしぶペットを飼うことは諦めた私。それから中学1年になった年の秋、祖母は亡くなった。その後は部活動が忙しくなり、ペットを飼ってお世話する余裕もなく、その流れで今に至っている。


必死におねだりするも、ペットを飼う願いは叶わなかった

当時の私(小1~3年頃)は

「なんでペット飼っちゃいけないの?」

「飼ってみたら可愛くなるかもよ!」

なんて、一生けん命説得したものだ。しかし、祖母の意思は岩のごとく固い。

「お世話も大変だから。絶対お世話しなくなるよ」と、お世話関係のことを言っては固辞していた。


「ふん!なにさ!」なんて、いじける私。それを繰り返すうち、ペットに対する私の「熱」も冷め、別のことに気が向くようにもなっていった。そして、次第に「ペット」というキーワードも記憶から遠ざかっていった。


祖母が動物を飼いたくなかったわけ

祖母が亡くなった後だっただろうか。

なぜ祖母がペットを飼うことをあれほど嫌がったのか、そのわけを母が教えてくれた。

「おばあちゃんは昔、猫を飼っていたのよ。でも、病気になったらしく、すごく苦しんで死んでいったらしいの。その姿を思い出すととてもつらいから、ペットは二度と飼いたくなかったみたいなの。お世話がしんどいとか、それだけが理由じゃなかったと思うよ」

祖母の気持ちにようやく寄り添えた気がした。命を扱うことはとても責任がいることだと、ようやく私は理解した。

祖母に対し、申し訳ない気持ちになった。


タマちゃんとの「生涯に一度の出会い」を大切に

祖母は明治42年生まれだった。平成3年に亡くなったから、明治・大正・昭和・平成を生き抜いたわけだ。

猫を飼っていた時期は明確にはわからないが、恐らく戦後~昭和40年代前半頃だろうと思われる。

祖母は戦争で実の兄と弟を亡くした。戦時中には幼い妹も4歳で病死したそうだ。そして嫁ぎ先で夫に先立たれ、実家を継ぐ人がいなくなって出戻ってきたという苦労人。

あまたの大切な生命との別れを経験し、そして飼い猫が苦しみながら息絶える姿も見届けた。私が祖母の立場であったとしても、再びペットを飼い、またかけがえのない生命との別れを経験することは避けるだろう。


今回、次男が欲しがったことから縁あって我が家にやってきたタマちゃん。タマちゃんを見ていたら、祖母の心に、再び触れる機会に恵まれた。

タマちゃんは、私にとって「生涯に一度きり」のペットになるような、そんな気がしている。

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