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プログレ メロトロンに酔わされ 沼に落ちた話し

もうすっかり春だな
こうも気持ちがいいとRushでも聴きたくなる
昔配達の仕事してたとき、こっそり音楽流してたんだけど朝方の田舎道
Hold Your FireのTai Shanを聞いた時、丁度朝日が木漏れ日の隙間から溢れて物凄く幻想的だった
音楽の力ってすげぇー!!って改めて思った日だったな

僕は基本メタラーなので
昔っからメタルを聞いていたのはこのブログでよく話してるんだけど
実はメタルと同じくらいプログレも大好きなのだ
僕は一つの音楽にハマるとトコトンそれにハマり
追求しまくるタイプなので
メタルでも王道メタルから始まり、メタルコア、ニューメタル、インダストリアルまでどちらかといえばメタルファンからしたらそれは邪道でしょ?って部分にまで手を出していたんだけど
遂には同じような展開のバンドばかりに飽きてしまい、結局メタルを聴くことが少なくなった
毎晩の楽しみであったネットサーフィン件バンド探しの旅も一先ず終焉を迎えたその日
なんか刺激を与えてくれる音楽って無いのだろうか?とYoutubeを適当に探ってると
超巨大なセットに加えて凄まじい量の照明がぐわんぐわんと光ってるバンドのライブ映像に出会った

そうPink FloydのComfortably Numbだ

当時のライブ映像ではなくロジャー脱退後のデヴィッド・ギルモアがイニシアティブを取ってた頃のライブを映像だったのだが
これがまた僕の今までの音楽の概念を一気に崩し
どん底に落とされるようなそんな音であった
何よりも先ず2つ目のヴァース部分に鳴っている
怪しげなメロトロンのメロディー
何だか懐かしい様な聞き覚えのあるような
ただ聴いたことがない新鮮な音
そしてギルモアの魂を開放するかのような凄まじくメロディックなギターソロ
僕は趣味でギターを弾く人間なのだが
今日の今までストラト狂になったのも全てギルモアのせいだったのだ

見終わった頃には完全放心ノックアウト状態で
何だったんだ今の曲..…と暫く天井を見上げていたのだが、一気に腰を上げて直ぐ様老舗のレコード屋へ走った

そこのレコード屋は家の親父位の年齢の店主が居て、僕のと同じくらいの息子がいる店で
息子はラッパー、親父さんはロック好きで
一生話が合わないまま終わりそうな程ジャンルが間逆な親子
店に入るといつもの通り客なんて一人もいない
そうなると頻繁に親父さん目が合うのだが
僕は一目散に親父さんの元へ行き

ピンクフロイドのアルバムありますか!?と興奮気味に話す僕を見て目を丸くしていた
若干20歳も半ば位の若者が熱心にプログレのCDを探す熱意に負けたのか
親父さんはニコリと笑いアルバムを持って来てくれた

Comfortably Numbが入ったアルバムは...…

ああ、じゃあこれだねと手渡された
The Wall

何だこれ.…
変なジャケ

これが僕の第一印象
それとライブ映像をちょこちょこ見たので「鬱」のアルバムもついでに買った

会計を済ませて店を出ようとしたとき
またしても衝撃を与えられるものが

キングクリムゾンの宮殿
こいつが無情にも僕の顔を眺めていたのだ
しかも恐ろしくでっかい顔で

このリアルな魔人ブウみたいなジャケに呆気に取られてると
親父さんが、フロイド聴くならコイツも聴いてみたら?持ってないんだろ?と
僕のアルバムを持ってきた

おいおい今会計済ましたばかりなのにまた買わすのか?商売上手だなと思ってると
半額以下で売ってくれたのだ

まぁこいつは怖いもの満たさで聴いてやるか程度で袋に入れて
車に戻るとすぐさまステレオに入れてみる

メタルでもモダンな音を聴いてた僕には
少々物足りないそんな印象だった
当時の音質のままであるから間違いないのだが
それが逆に新鮮味があり僕のクラシックロック及びプログレCD漁りの第一歩になったのだった

家に帰宅しパソコンに取り込む
その間にふと帰り際に奨められたCDを手に取り
まじまじとジャケを見つめると改めてこの奇妙な顔が不気味に思えてくる
一体何故こんな絵をCDに載せようと思ったのか
バンドの趣味の悪さに呆れ
こんなジャケのバンドが言い訳がないだろうと思ったのだが"怖いもの見たさ"で僕はパソコンに入れ流してみる
実はこの"怖いもの満たさ"で初めて聴く音楽程ワクワクする瞬間はないのだ!

覚悟を決めどんな感情になろうともそれを全て受け入れ評価しなければいけない使命感
この得体の知れないものからは一体何が飛び出して来るのかわからない恐怖
視聴後に軽いトラウマになろうとも
僕はこの瞬間が何よりも好きなのだ

CDを入れてから数秒たつが何も聴こえない
ん?パソコンが壊れたか?と音量を上げると
耳をつんざく様な爆音で僕は悲鳴を上げた

21世紀の精神異常者

凄まじいギターのディストーション
ぐしゃぐしゃに潰れたサウンド、街頭演説の様な叫び
狂ったように変調するフレーズ
サックスとギターのユニゾン、手数の多いジャズライクなドラ厶

この一曲だけで僕はガッツポーズをしてしまった
メタルにはないラウドさ
この粗削りながらヘヴィーなサウンド
そして現在では絶対に再現できないテープレコーディングされたチープなサウンド
どれを取っても僕のツボを強烈に刺激した

凄まじい一曲が終わ次はどんな音を聴かせてくれるのだろうと楽しみにすると
綺麗なフルートが流れる
僕は高校時代の頃のバンドクラスを思い出した
バンドクラスがあると入学当時ロック野郎だった僕と同じ匂いのする友人は興奮気味に話した
思う存分ロック出来るぜ!!とお互いルンルンしながら教室に向かうと
トロンボーンにトランペット、クラリネットにフルート
バンドはバンドでもロックではなく
僕と友人は戦意を完全に喪失したのだが
部屋の済に置いてあるドラムセットを見るやいなや二人の決意は固まった
と同時に僕等の目には火花が散ったのだ

初日僕らは担当パートを決めなくてはいけない
友人の名前はウイリー(中国人)
彼はギタリストだ
お互いドラム等一切触った事がないが
ここに並んでいるもの比べたら全然カッコいいパートだった、僕等二人はバンド経験があると主張しお互いが好きなバンド名をつらつら並べアピールをすると簡単なオーディション受けさせられた
シングルストロークの簡単なテストだった
ただ言われたとおりに叩ければ合格だという馬鹿げたものだった

僕等二人に加えどうみてもコイツはないなという様な非力な生徒
コイツにさえ負けなければイケるぞと意気込み
僕はノーミスでこなした
友人は少しテンポが遅れたものだから僕は意気揚々としていた
なんせもうひとりの男はスティックすら持てなかったのだ

結果を告げられ僕らは落胆した
スティックの持ち方すら知らない
ましてやドラムの名称すら知らないあの男が
ドラムセットに囲まれていたのだ..…

結局残り物のフルートを選ばされ
いかにもロックな野郎二人組は部屋の隅の方で
音すら出すことの出来ない笛を吹かされていた
その間中聞こえる馬鹿みたいなノイズのドラム
何度この笛で頭を割ってやろうか考えたかわからない
でも僕は今になって非常に後悔している
何故真面目に練習してこなかったのか
2つもフルートを壊しクラスを追い出されたりしなければ今ではあのフレーズ吹けていたかも知れない

"風に語りて"

この幻想的な音に魅了されてしまった
美しいメロトロンの音に綺麗なクリーンギタ優しく歌い上げる歌声
この世にこんなに美しい曲があるのだろうかと僕は目を閉じる
美しい景色が目の前に広がり、音が形になって見え改めてこのアルバムを買って良かったと心から思った
あっと言う間に曲が終わり怪しげなイントロから始まる

"ムーンチャイルド"

童話を聞かされているような
それが第一印象だった
静かに鳴り響く音
アルペジオの美しさに魅了されながらやはり耳に残るメロトロン
当時この楽器がなんだかわからなかったが直ぐにお気に入りになったのだ
曲が終わると暫く無音に戻る
経験上また爆音がなるんではないかと踏んで音を小さくするが終わらない無音
結局曲を飛ばした後.…僕は最大の感動を覚えた

"Epitaph"

世界で一番美しい曲は聞かれたら僕は間違いなくこの曲をあげるだろう
メロトロンを存分に感じれる曲はこの曲に勝るものはないと思っている
悲しく希望の欠片もない歌詞
美しいギターのメロディ
むせび泣く様に歌い上げるボーカル

混乱こそ我が墓碑銘となるだろう

となんて何でそんな悲しい事を歌うの〜w
って思うくらい歌詞が深い
中盤の盛り上がりに何度鳥肌が立った事か
未だに聴いても当時の様に感動してしまうのだ
一体この曲は過去に何人もの人間に涙を流させたのだろう?
I fear tomorrow I'll be cryingが永遠とリフレインされCryingと叫び歌う
頭がクラクラしもうやめてーwと思いながらも
最後まで聴くと決めた以上逃れられない
徐々にフェードアウトし曲が終わる頃には
とんでもない..…この変なジャケのアルバムが
とんでもない代物だった
今まで怖いもの満たさで聞いてきた中で一番衝撃を受けた灰野敬二のCDとはまた種類が違う
感動で前が見えなくなるほどの衝撃
ただ薄気味悪く吐き気が止まらなくなるあのCDとは訳の違う代物僕は放心状態になっていると
ドラムのタム回しが始まり

"クリムゾンキングの宮殿"

が始まった
僕はもうどうにでもなれと半ばほうしんじょうたいの身体、椅子にもたれかかりながらも僕はただ流すように聴いていた
のだが、どうにもこの曲はとても耳障りが良い
凄まじい曲の後に口直しに優しい音を入れてくる
そんな印象を持った当アルバムだが
本当に曲順だけでも良くできている
これが21世紀精神異常者の後にEpitaphなら僕は完全に破壊されただろう
だがしかし、この耳障り良いメロトロンがとても心地が良いかった
アルバム通して実はこの曲が一番好きだ
一番メロトロンを感じる事が出来るし、何よりも中盤のソロが心地よいのだ
まるでジャズの様にも聞こえる楽器隊のさりげないプレイもこのバンドの只者ではない感がプンプンしてくる
アルバム通して一番長いこの曲だったが
その長さを感じられないくらい僕は聴き入ってしまった

アルバムを聴き終えた後
僕はこの世の中にはこんなに素晴らしい音楽があったとは.…と改めて音楽の深さを知ることが出来た

それからというもの僕はクリムゾンの魅力にハマり全てのアルバム所有するようになったのだが
メロトロンが影を潜め始めたここ最近のアルバムよりも
宮殿、ポセイドンの目覚め辺り
グレッグ・レイクがいた頃のアルバムが一番好きなのである

僕はクリムゾンを皮切りにし
過去に沢山のプログレ作品を聞き始める事になった
とはいってもそこまで深くまで入らず、取り敢えず有名所から入り少しその周辺らへんのバンドをちょこちょこ聴いてた身なので世間一般からすればニワカであるのだが
その経験のお陰で割りと色んなジャンルロックを好き嫌いせずに先ずは聴いてみる力が備わった思っている

怖いもの満たさで聞く音楽
時に強烈なトラウマ以外何も産み出さなかった産物は数多くあり
ジャケすらもまともに見れない作品もある
もし宮殿がそっち側なら
僕はあの奇妙なジャケを見るたびに所構わず嘔吐して回っただろう
違う意味で強烈なトラウマ植え付けたプログレいう音楽

フロイドから始まったこの終わりなき追求
今ではプログレ聞き疲れた部分がありお休み中だが、ふとまた聴き始めればいつでも沼に落ちれる覚悟は出来ている
まるでもう麻薬と同じである
あれだけ酷い後遺症に悩まされた後でさえ
一度口にしただけで今までの長いリハビリ期間が水の泡になるように
また長い旅行(トリップ)に出かける日々を送る羽目になるのだ

単純なスリーコードのアメリカのパンクロックを聴いてた少年が将来プログレなんてものに手を出す日が来るなんて.…
音楽も知れば知るほどやばい側面もあったものではないなしかし。

今度はどんな怖いもの満たさで音楽を聴いてみようか?
そういえば最近ダークジャズなるものをみかけた

いやいやw
あれはどうみても灰野敬二臭がプンプンするからw

あれは完全にバッドトリップの方だから
卜はやめておこう


夢に出てこられたらたまったもんじゃないからね



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