自転車カスタム(折り畳み14インチ)Vol.10~キャンプを14インチ自転車と楽しむ~
Vol.10では多段化改造したFIAT AL-FDB140(DAHON DOVE , BYA412series)での自転車キャンプを取り上げます。失敗とまでは行かずとも”もっとこうできたらいいな”等の改善点や振り返りしつつ纏めます。繰り返しますが『自転車改造は自己責任』です。自転車は『軽車両』です。『公道や歩道を走行できる安全な整備』ができない場合、自分でやるべきではありません。
筆者はこの記事では折り畳み14インチ自転車+サイクリング+キャンプ、なので登山と似通った装備でキャンプをした例を取上げます。このやり方は結論、荷物を背負う点が欠点になります。取り回しが良いなどザックゆえの利点もあるのですが、サイクリングの観点から言うと疲労しやすいのでオススメしません。理由と詳細は後述。
鉄道輪行で1泊キャンプ
自転車を鉄道輪行して、キャンプ場最寄り駅に接近してサイクリング、1泊のテント泊をします。自転車に乗る距離はのべ40km程度と短い距離の想定です。筆者は登山やトレッキングの装備一式を持っていて、山中で景色の良い所でご飯を作ったり食べたり、寝泊まりしたりのんびりしたりするのが好きです。これらの装備は軽量さとコンパクトさが求められるので、自転車旅とも相性が良いです。
季節は初夏なので、軽くて薄い寝袋で大丈夫・ダウン上下等の防寒着が不要なので、荷物が軽く少なくなります。とはいえテント泊地の気温をチェックしたり自分は足元が冷える為に携行性があり保温性のあるウェアを持参したり、必要に応じて荷造りします。キャンプ場では、大きめのチェアに腰掛けてのんびり過ごしたかったので、重さの割に嵩張る装備になりますが、これを持参します。
自転車12kg(輪行袋入・工具等のツールボックス含)とザック(容量68L)一式12kgの荷物です。成人男性には鉄道輪行であれば何とかなるのですが、幾分嵩張る大荷物となるので、列車内で取り回しは少し大変です。
キャンプ場最寄り駅に到着したら、ザックの中身をサドルバックやフロントキャリアに移し替えます。可能な限り、荷物は自転車に積載させる作戦です。というのも、ザックの重さは両肩で支えている為、自転車を漕いでいると振動で肩が痛くなるのです。
ホテル泊が基本のツーリングならSPDシューズだけでも良いのですが、キャンプ場ではゆったりしたいので、足が楽なサンダルを持参してきましたので履き替えます。
キャンプ場での過ごし方はソロなり複数人なりでそれぞれあるので割愛しますが…私は自転車ソロキャンプのときは、キャンプ場に到着したらテントを張って、荷物を可能な限り置いて、身軽になってから、食材の買い出し・入浴・観光等に出発することが多いです。但し、くれぐれもセキュリティには気をつけましょう。
自転車キャンプのお気に入りな所は、自分であちこちカスタムした自転車と景色をツマミにお酒を飲んだり料理を楽しめたりする事。食べ物・飲み物・寝る道具・移動手段と、様々なことに自分のチカラや工夫がどこかに介在しているのがいいなぁと思います。バイクやクルマだと駐車場所とテントサイトが離れているケースがあったり、夜間は移動しようにも騒音防止のためエンジンをかけられないキャンプ場もありますが、この点は自転車の良い点かなと思います。
飛行機輪行とフェリーで2泊キャンプ
自転車を飛行機輪行して、ホテル宿泊と組み合わせつつキャンプ場を周遊してツーリングをします。一日の走行距離は多くても60km程度と短い距離の想定です。飛行機輪行では、自転車はもちろんキャンプ道具もカウンターで飛行機の貨物室への預け手荷物になります。航空会社の規定や自身のステータスによって預け手荷物の制限重量・サイズは異なりますので、よく確認します。また、機内持ち込みの手荷物の規定についても同様です。
FSCにカテゴライズされるANAやJALを利用し、一人旅で小径折り畳み自転車を飛行機輪行する時は、重量はさほど気にせずともよいのですが、キャンプとなると荷物が増えるので、荷造りやパッキングを考えないといけません。
全装備重量は26.5kg(自転車13.2kg+秋キャンプ装備13.3kg)
ANAを利用します。このとき飛行機の無料預入荷物の範囲が20kgだったので、超過する荷物を、搭乗前に上手いこと荷物を仕分け機内持込にする対策を考えました。目的地は稚内・利尻島・礼文島。季節は9月ですが、キャンプの目的地は稚内エリアなので防寒装備が必要です。7日間の旅程を確保していますが、雨でないタイミングでキャンプとサイクリングをしたいので、天気予報と相談して旅程は組みます。
到着空港で輪行解除。天気が良好なので稚内空港から宗谷岬を目指します。キャンプ道具は、稚内空港ターミナル内のコインロッカーに預けます。旅客便が少ない空港は、基本的に出発・到着に合わせての営業時間なので、売店・ロッカー等の空港施設を利用する際は営業時間に注意を払いましょう。
道中アップダウンを想定していないのと、札幌市街のサイクリングと観光を念頭に置いていたので、歩くこと重視の靴。なのでフラットペダルです。
稚内市街で、燃料のガスボンベを調達します。飛行機に可燃物は持ち込めないので…。いわゆるカセットコンロのガスボンベなので、コンビニでも購入しやすいものです。この夜過ぎには天候が悪化し、雷雨と竜巻注意報が発令されたので、稚内でホテル泊します。
稚内から礼文島の香深港に到着したら、島北部、久種湖のキャンプ場を目指して20km弱を北上します。途中小高い丘への登りがあるだけで、大きなアップダウンは無いです。海風が強いですがビンディングでなくてフラットペダルでも特に問題なく走れます。
お昼頃にはキャンプ場に到着してテントの設営を完了。
設営をしたら、近くの船泊の街へ買い出しに出かけます。
礼文島最北端のストコン岬へサイクリング。
朝日とともに起きます。時間には余裕があるので、コーヒーを淹れたり、テントの夜露は日差しで乾燥させたりしつつ荷造りします。
キャンプ場をあとにし、香深港へ向けて南下します。天気が良いので、利尻島の山が良く見えます。サイクリングには素晴らしい景色です。
フェリー輪行ではよくあることですが、自転車は輪行袋に入れれば大型手荷物(自転車)として船内に持ち込む事が出来、車両甲板に載せるより安価に済みます。一方で荷造りした自転車をバラして輪行袋に入れるのは手間がかかります。ロードバイクのような折りたたみ自転車でなければホイールを外さなければならないので、さらに手間です。
自転車を車両甲板搭載なら目的地に到着して、すぐに出発できるのは大きな時間的メリットですから、フェリー出港まで残った時間と輪行作業の手間とを天秤に掛けて、どちらがベターか判断します。礼文島〜利尻島は距離が近くて乗船時間も短いです。それに比例して車両航送運賃も安いので、手っ取り早く自転車を積める、車両甲板のチケットを購入しました。
利尻島は一周およそ60kmの周回道路があって、鴛泊フェリーターミナルから15kmほどの沓形岬にキャンプ場があります。
自転車道の舗装はバッチリ整備されてるとは言えないですが、自転車道なのでクルマの心配はなく快適です。利尻島を一周する道道の一部である105号線沿いには、コンビニ、ドラッグストアがあるので、必要に応じてそちらの道を走ります。
途中、利尻名物であるミルピスを飲みに立ち寄ります。乳酸菌飲料で味はカルピスよりサッパリ、ヤクルト程甘くないです。美味。キャンプ場は沓形岬にあり、近所には食事処、日帰り温泉とコンビニがあって補給や休息には困りません。利尻島はコインランドリーも複数箇所ありますが、ここはロッジに洗濯機と乾燥機があったので利用しました。荷物は必要最低限を携行なので、キャンプ場で洗い物を済ませられるのは便利です。
夜が明けて、沓形岬から利尻空港に向かいます。総装備15kgのキャンプ道具を積載し、14インチ折り畳みチャリで40km程走りました。途中にコンビニがあるので補給しつつ、観光しつつ。
利尻島は専用自転車道が整備されていて、サイクリングイベントも行われており便利な道なのですが、車道沿道でないとコンビニや観光地へ行けないのでルートは考えて走ります。
利尻島から出るには、フェリーで稚内へ向かうか、飛行機で札幌丘珠または新千歳へ行く選択肢があり、この時は札幌丘珠へのフライトに間に合いそうだったのでチケットを予約します。
ところが飛行機に乗る為に預入れ手荷物重量を計算して仕分けている時間的余裕は無かったので、鴛泊の郵便局で段ボールを調達してキャンプ道具一式を詰めてゆうパックで自宅へ送る事にしました。札幌ではホテル泊&観光サイクリングなので、少し身軽になって札幌へフライトにつきます。
14インチ折り畳み自転車キャンプの利点・欠点
メリットを挙げます。Dove plus OEM 14インチ多段化ミニベロに長距離ツーリング用のバイクパッキングを施し、キャンプ装備は登山ザックに背負うお手軽スタイルですが、平坦基調で走行距離が長くなければ、十分楽しめます。
自転車が小型なので公共交通機関利用した輪行に便利
荷物をザックに格納して背負えるのでコンパクト
キャンプ地近傍まで輪行で接近できる
機材トラブルで自走不可の際、バス利用(運送可否は会社規定による)
テント・自転車サイズに次第では、荒天時、幕内に自転車を置ける
キャンプ場の立地によっては、ヒルクライムとは言わずとも斜度を登らなければならず、ギアの少ないクロスバイク程度の走行性能では苦戦をします。また14インチDoveOEM系のフレームは固く振動にヤラれるので疲れます。路面状況が悪いとなおさらです。
④について、自転車ツーリングとしてキャンプに限った事ではないですが、高速バスやリムジンバスで「折り畳み自転車に限りトランク持ち込み可」の会社があります。もちろん重量と寸法等の条件を満たす必要があります。バス輪行は路線バスではNGが多いので、規定を事前にバス会社のwebページで確認するようにしています。
⑤は、ウェット系のチェーンオイルでも一晩中雨に濡れればオイルは流されてしまうかもしれません。折り畳んでサドルを抜けば、幕内に避難させる事ができます。航空会社の規定は刻々と変化していますが、チェーンオイルにもよりますが飛行機の預け入れ手荷物NGのケースがあるので、荒天時にテントに納められるに越したことはありません。
このウェアと装備のデメリット
登山用ザックは荷室上面(後頭部の真後ろ)にモノを入れると、ヘルメットと干渉して首を前に向けない
上体を起こしたポジションでしか走行できない
ザックを背負ってのサイクリングは肩が痛くなる
ウェアは、昼間20℃~25℃を想定して、速乾性半袖Tシャツとトレイルベスト(トレイルランニング用のベストのように、小物が入るチャックが4箇所前面にあり、背面はメッシュ地)膝丈カーゴパンツに、日焼け防止のためのタイツ、レーパンを穿いています。速度を求めるサイクリングではないのと旅先やキャンプ上で過ごすのでウェアはこれで十分です。
①と②は自転車で走るうえでは困ります。折り畳み自転車ではシートポストもハンドルポストも上下できるのでなんとかなりますが、クロスバイクやロードバイクでは致命的です。だからこそ、フロントフォーク側面のダボ穴を利用する、荷物をサイドパニアに収納する、ランドナーのような長距離ツーリング用自転車があるわけですね。なので、ザックを背負ってサイクリングはオススメしません。背中に重い荷物を背負っているので速度も出ませんし、発汗で背中に熱がこもります。
「リアキャリアを設置してサイドパニアのようなバックを装着すれば?」となりますが、それも解決策の一つです。ホイールベースの短さゆえに荷物を後方にしないと踵が当たってしまう、シートポストに固定するタイプだと輪行の度に装着・解除が必要なので、筆者は試したことがありません。しかし、ここは工夫次第ではパニアバックのような大荷物も、マッチする荷台さえ準備できれば、これらの問題をクリアすれば14インチ車でも十分積載できると思っています。
自転車でカートを牽引するトレーラーは解決策の一つです。ただ、これを牽引すると自転車通行可の歩道を走れず、車道しか走れなくなるので、交通量の多い道路を走行する時は不便な思いをします。
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