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バブルの二の舞になる不動産投資なんて、もうやめませんか?-都会の空き室を活用する、ギルドハウス十日町《アルトバウ》を始めた理由。

2018年の新プロジェクト、その名も《アルトバウ》を始動させました。

田舎に多くのひとが集まっている「ギルドハウス十日町」と、都会の空き室。それらを併用することで互いの良いところを享受しながら、田舎と都会のバランスを取り戻すことが目的です。

そもそも「アルトバウ」は、ドイツの言葉で、第2次大戦前に建てられた古いアパートを意味するそうです。日本でいうところの「古民家」に近いですけど、どちらかというと都会に立地した集合住宅を指すようですね。

日本では新築に住もうとする傾向がいまだに根強いみたいですが、ドイツのひとは古いものを大事にするようで新居としてアルトバウを選ぶことが多いとか。「ギルド」もドイツあたりを語源とする言葉なので、アルトバウはまさに今回のプロジェクトにうってつけの名前だと思っています。


さて、どうしてアルトバウを始めようと思ったのか。

まず、これから都会の空き室の問題がどんどん顕著になっていくだろうから、じぶんなりに先手を打とうと考えました。「空き家問題」というと真っ先に一戸建てを思い浮かびますね。しかしもっと深刻なのは、どちらかというと人口や集合住宅の多い都会のほうではないかと指摘される場合があります。

つまり、都会の古いマンションやアパートに、空き家ではなく《空き室》が目立つようになっていくということ。そうなると住人たちが支払っていた建物の修繕積立金が先細りになるなどをきっかけに、さまざまな問題が浮き彫りになっていきます。中古マンションが新築を超えて活況を呈しているのはその終わりの始まりに過ぎないのではないでしょうか。

《参考記事》
9割以上のマンションが「修繕積立金破綻」の危機、回避の秘策は
http://diamond.jp/articles/-/145205

中古マンションの空き室が増えれば競争も激化します。だからたとえば年老いた両親が交通などの便を求めて都会のマンションに引っ越したものの、彼らが亡くなったあと、相続人である息子や娘たちがマンションの部屋を処分しようにも買い手や借り手が見つからず、かえって家計を圧迫して固定資産税などの維持費がまかなえなくなる、そんな状況も容易に予想できます。

しかも集合住宅ですから、同じ建物に何世帯も住んでいるわけで、何をしようにも管理組合や管理業者に連絡が必要とか、いろいろ面倒そう。

また、Airbnbをはじめとする民泊に活用しようにも、今年6月施行の民泊新法がハードルとなり多くの物件が脱退を余儀なくされれば、その行き場が別のシェアリングエコノミー系サービスに移っていくでしょう。そこにもアルトバウの活きる余地があると思っています。


空き家も問題ですが、空き室はもっとたいへんになるということです。

そんな空き室の持ち主たちが、ギルドハウス十日町のアルトバウに参加することによって、いまの都会の暮らしがもっと楽しくなったらうれしいです。

せっかくひとつ部屋が空いていれば、そこにギルドハウス十日町の住人たちがたまにやってきて交流することで、ふだん得られないような体験につながっていったり、建物の掃除といった地域活動にも貢献できたら。


つい最近

「みんな東京とかにセカンドハウスがあったら使いたい?」

とギルドハウス十日町の住人たちに聞いてみました。

「維持費をできるだけ既存の生活費から出す方向で考えているけど、場合によっては毎月みんなから少額を集めて積み立てるという手もあるね」

と言ったら案の定、以下のような返事が。

「東京に行く用事がない」
「たまに行くならおしゃれなゲストハウスに泊まりたい」
「田舎のほうが好き」

などなど。


やっぱり、と思いました。


こうした状況が《田舎と都会のバランスを取り戻したい》大きな理由です。

まるで近くに佐渡という魅力的な島があるのに一度も行ったことがない多くの新潟県民のような。

悪く言えば思考停止、現状維持、保守的。
じぶんたちの可能性を自ら限定させているような。

江戸時代のひとは一日に30~40キロも歩いて旅していたというのに。いまはスマホがあって現在地や交通手段もすぐ調べられるし、格安航空券を使えば片道1万円かからずに北海道や沖縄まで移動できるというのに。


東京の用事がなければ考えて作ればいい。ゲストハウスに泊まりたいなら数日そうして残りの日程はアルトバウに滞在することで宿代を抑えたり活動日数を延ばせるじゃないか。田舎が好きなのはじぶんも同じだけど、あまり土着しすぎるのは移住者としての長所を失いつつあるんじゃないか、などと考えちゃいます。


意識を拡張すること。
じぶんで考えてなんでもやっちゃうひとには不要でしょうが、経験値の足りない冒険者には意識を他へ向けさせる動機や拠点が必要です。

ギルドハウス十日町はそういう意味で一般家庭よりマシかもしれません。だって全国・海外から訪問者がやってくるから、ここにいるだけで都会の友だちだって出来るし、そのひとたちを訪ねてあちこちで活動を広げてみようという気持ちにもなりやすいはずですから。


でも、それだけでは足りない気がします。


最近、佐渡へ旅しましたけど、ふだん引きこもりがちな住人たちも連れて行きました。そして現地の知人にご足労を願って交流してもらいました。

そうしたら

「佐渡って思っていたより広いし楽しいですね!また来たいです」

新潟県民にもかかわらず一度も行ったことのなかった住人の言葉です。


今年は長野県の飯田市にある遠山郷という地域や、南伊豆のほうにも、住人たちを連れ出して旅しようと思っています。


じぶんが死ぬまで楽しく暮らしたい。
その目的を実現させるために作ったギルドハウス十日町。


わが家がそうあり続けるためにも

「かわいい子には旅をさせよ」

という親心みたいな想いが《アルトバウ》にはあります。


また、利回りがいいからといって不動産投資の話をよく聞きますが、先日問題になった「か〇ちゃの馬車」もそうですけど、バブルの教訓がまったく活かされていないじゃないですか。むしろバブルに生まれた負の遺産を処分するための犠牲者がいまだに増えているような。

そういうの、そろそろやめませんか?

ひとは死ぬときに一番お金持ち、と誰かが言っていました。そんなのまったく意味ないじゃないですか。

重要なのは、愛するひとや気の合う仲間たちと、どんなふうに暮らすか。そうした暮らしから生まれる出来事や体験にこそ価値があると思います。ひとりでいるのが好きなら近所づきあいが希薄でも生きていけそうな都会に引きこもっても何も言われないでしょうけど、ひとは一人では生きていけない生き物だなんてことは誰にでもわかっていることだと思います。


投資すべきは動かない無機質な不動産ではなく人的財産でしょう。

持つべきものは死ぬときに余るお金ではなく仲間でしょう。

それも金の切れ目は縁の切れ目みたいなバブル時期の交友関係ではなく。


これから長野県、山形県、群馬県にも増えていくギルドハウス。彼らにもアルトバウを活用してもらいたいな。だからアルトバウとして部屋を提供してもらえれば、都会に住んでいても各地との接点ができ、仲間が増えることでしょう。その縁でたまには田舎のギルドハウスにも遊びに来てもらいたいですね。

単なる観光ではなく、夏休みの作文に出てきそうな「おばあちゃんちに行ってきました」みたいな体験があなたを待っていることでしょう。

ただ、十日町と同じような地域にはそうやって仲間たちがギルドハウスを立ち上げていくけど、都会に同じような場を、というのは考えづらい気がします。だからこそ都会には《アルトバウ》というプロジェクトを置いてみました。


けっきょくアルトバウってどういう仕組みなの?

とか

うちのような部屋はアルトバウの対象になるの?

とか

いろいろツッコミどころがあるかもしれません。べつに東京だけが都会ではありませんよ。札幌、仙台、新潟、金沢、大阪、京都、名古屋、岡山、広島、高松、福岡をはじめ、その周辺だって都会です。

興味がありましたらわたし宛にメールをお送りください。

west2538@gmail.com

お待ちしています。


※2018年2月27日、補足のnoteを書きました。


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西村 治久《ソーシャルな隠居》
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