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【保育士留学】短期移住の保育士さんを受け入れてみたら、思わぬ世界が広がった!(島根県/大森さくら保育園)

以前、3ヶ月の期間限定で島根県の保育園に短期移住した高岡さんの記事をご紹介しました。
今回は、実際に保育士留学を受け入れた園の皆さんへのインタビューです。
東京からの保育士さんを受け入れてみたことは、皆さんにとってどんな体験だったのでしょうか?

(インタビュー WeNeed佐々木)


お話を聞いた方々
左:伊藤さん(大森さくら保育園/保育士)
中央:橋田園長(大森さくら保育園/園長)
右:松場奈緒子さん(大森さくら保育園/理事)

保育士留学とは?
保育士さんが短期移住し、違う土地や保育園を体験したり、様々な価値観に触れることで自分を再発見した今回の体験を、ここでは「保育士留学」と呼んでいます。

今回移住を体験した、保育士の高岡さんの体験記はこちら。


今回お話をうかがった大森さくら保育園のある島根県大田市大森町は、子育ての町として特集も組まれています。


短期移住の保育士を受け入れたきっかけ


佐々木:今回求人を出したところ「私も行きたい!」という声をたくさんいただきました。あらためて、どういう経緯で募集に至ったか教えてください。

松場奈緒子さん:産休代替えの保育士を募集していたのですが、地元では短期間のみ働く人がなかなか見つからなくて。
ある日、東京から視察にきた方が「ここの環境はすごくいい!きっとここで働いたら保育士さんたちは元気になる!」と言ってくださったんです。
私たちは保育園留学という取り組みを行なっていたので、都会で働く保育士を取り巻く現状は感じていました。ならば県外にも募集を出してみようと決めました。短期移住の「保育士留学」という形なら、少し保育の現場に疲れてしまった保育士さんにとって、リフレッシュの機会になると思ったんです。
その方から、WeNeedの松尾さんと佐々木さんを紹介してもらい、保育士さんを探してもらったんです。奇跡的にたった2週間で採用が決まった時にはびっくりしましたね。

佐々木:私もびっくりしました(笑)でもそれくらい魅力的な求人だったと思います。実際今回ご紹介した高岡さん(以下:あさみ先生)の受け入れにあたり何か準備はされていたんでしょうか?

橋田園長:いえ…基本的には普段通りにしていました(笑)ただ、見知らぬ島根の町に3ヶ月も暮らすのは不安だろうと思っていたので、できる限り安心してもらおうと思っていました。あと、東京で保育士をして一度悩んで辞めているというのを聞いていたので、3ヶ月の間に、保育って楽しいって思ってもらいたいと思ってました。移住4日目にして「ずっといたいです!」と言ってくれて嬉しかったですね。

実際に彼女と3ヶ月過ごしてみて、1月に来た時より大きくなったなと感じています。彼女にとっては、「たった3ヶ月」ではなく、「大きな3ヶ月」だったんだなと思うんです。

保育士留学を経験した高岡さんと初日に

佐々木:実際に一緒に働いた伊藤さんはいかがでしたか?

伊藤さん:最初、東京から保育士さんが来るときいて、若干の緊張感がありましたね。履歴書もきちっと書かれていたし、私たちがどういうふうにみられるのかな?って。でも東京でしっかり経験している彼女の話を聞いてみたいと思っていました。

外の人が気づかせてくれた「自分達の良さ」

佐々木:実際にどんな気づきがありましたか?

伊藤さん:子どもにかける愛情は、東京でもここ大森町だとしても一緒だということですね。
あさみ先生は東京で保育士をしていたのですが、保育に悩んで一度現場を離れた方でした。子ども達を自由にさせたいのに制約があったり、環境も狭い。自分がやりたいことが形にできない葛藤を感じていたと聞きました。
そんな彼女がここに来て「自分がやりたい保育ってこういうことだったんだ!」と言ってくれたんです。

佐々木:それはどういう保育ですか?

伊藤さん:とにかく子どもを「待つ」ということですね。保育園の方針次第では、それがなかなかできないけれど、大森さくら保育園では1人1人に寄り添うことを大切にしているんです。そして、自然が豊かで環境もいい。
彼女のその言葉から、ここがいい環境なのだと気づけたんです。

佐々木:高岡さんもとても学びになったと言っていました。3ヶ月の間に皆さんがお互いを尊重し、学び合っていたことがとても感じられます。

伊藤さん:それくらい彼女の「学びとろう」という気持ちが強かったんです。例えば私の行動も本当によく観察していて、一つ一つの行動にどんな意味があるのかを読み取ろうとしているのが伝わってきました。自分の意思を持っている人だったので、お互いを尊重しあいながらも想いをぶつけ合うことができました。チーム、組織として、みんなが一緒の方向を向いていくことは、とても難しいと感じています。そもそもみんなが一緒がいいかもわからない。でもこうやって1人でも語り合える人がいると、明日も頑張ってみようと思えるのだということを、彼女が教えてくれました。

チームづくりにも良い影響が

佐々木:外部から人を受け入れたことで、職員の方の気持ちにも変化があったのでしょうか。

橋田園長
チームづくりに良い影響がありましたね。目まぐるしく変化する社会情勢の中で、私たちも変化することを求められます。保育の形も、都度考えていかないとならない。職員とは話し合っているものの、チームづくりは難しい部分もあります。保育者同士が常に同じ気持ちでいられたらいいのですが、実際はズレが生じることもありました。そこにあさみ先生が来たことで、客観的にうちの園の現状を見て、色々と見直すことができたんです。職員同士ががあらためて話し合い、知識を深めあうことがしやすくなりました。

佐々木:外からきた人が、気づかせてくれるということですね。理事の奈緒子さんからみて、改めて「保育士留学」の取り組みの可能性をどんなところに感じていますか?

松場奈緒子さん:元々、都会の保育園や日本の保育業界への課題には気づいていて、何かできないかというもどかしい気持ちがありました。せっかく保育士の資格を取って働き始めても、まるで消費されてしまうように保育士が若くして辞めていくということが業界全体の課題と感じていました。
あさみ先生も、一度業界を離れてしまった一人。だからこそここにきて、保育士としてちゃんとキャリアが歩めるんだという未来を描いて欲しかった。同時に、仕事だけではなく、ここでの暮らしを体験することで様々なものを吸収して帰ってくれたらいいなという思いがありました。彼女の人生を考えるきっかけにしてほしいなと。地域の行事に誘い、町の人たちを触れ合ってもらったり、うちで一緒に夕飯を食べたり。私の中学生の長男は「あさみ先生、今日ご飯がないらしい」と言って、知らぬまにおやつを差し入れしていたりしましたよ(笑)

そういう暮らしを体験する中で「ここに来て、結婚して子育てしながら保育士を続けてみたいと思えた」と言ってくれました。彼女の人生にとって、お守りのような体験になったのではないかと思います。

笑顔が絶えない皆さん

それだけでない思わぬ出会いが・・・


佐々木:今回、高岡さんの滞在中に私たち(WeNeed)も大森町にお邪魔して、皆さんとお話しする機会がありました!伊藤さんにとってはどんな体験でしたか?

大森さくら保育園の皆さんと、WeNeed松尾と佐々木。
懇親会の様子

伊藤さん:なんとなく私は付き添いみたいな感覚でいったんですが、、、途中から私の話に注目が集まっちゃって(笑)この園にきて1年が経っているのですが、役に立っている自信が持てず、不安な気持ちを話しました。その時WeNeedの松尾さんが色々質問しながら深ぼってくれて「今のままでいいじゃない」と言ってくださったんです。その言葉で心が軽くなって、晴れ晴れとした気持ちになりました。その時「毎日、自分の気持ちをノートに書いてみるといいよ」とアドバイスされ、そこから毎日続けています。普段お話ししないような方々とお話しすることで、視野が広がったと思います。

橋田園長:途中からずっと、伊藤先生の話でしたよね(笑)いい機会でした。伊藤先生はすごく頼りになる人なんですが、どこか自信がなさそうで。外部から来た人に会うと良い刺激になるかなと思って、会食にもきてもらったんです(笑)

松場奈緒子さん:あの日の食卓は、お客さんと職員と主に過ごせて本当に楽しかった。学びだけではなく、幸福感に満ちていたと思うのです。福祉業界はどうしても人間関係が施設の中にこもってしまいがちになる。でも、外からの人、つまり「違う風」を入れてみるということは、そこにいる人たちの関係性が柔らかくなることにつながると思うんです。
外部から違う風を入れてみる。自分自身も違う環境に身を置いてみる。
そうすると、気づかなかったいろんなものが見えてくる。
今回の保育士留学は、園としてもいろんな気づきがあり、とても良いタイミングだったと思います。

ありがとうございました!また会いに行きますね!

今回、外から人を受け入れたことで、自分達の良さに気づいたり、刺激を受けたり、元々ある人間関係がますます深まったという皆さん。

今いる世界も素晴らしい。その上で意識的に多様な人を受け入れていくことで、さらなる豊かさが生まれる。
視野が広がる。
そんなことを、皆さんのお話から感じました。

今回このような形でご縁を繋ぐことができ、私たちも嬉しいです!
今いる環境にモヤモヤする方は、意識的に新しい出会いを求めにいくと、何か見えるものがあるかもしれません。



大森町の魅力をもっと知りたい方はこちら

大森さくら保育園でも実施中。子ども達とご家族向けの体験。保育園留学についてはこちら


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担当 佐々木




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