よはく喫茶
夜中に、無性にコーヒーが飲みたくなった。
こんな時間だが、一人静かに淹れることに。
特にこだわりはないけれど、最近は実家から貰ってきたドリップコーヒーばかり。
袋を開けた瞬間に漂う、あの風味がたまらなく好きだ。
あの香りだけで、私の嗅覚及び味覚までも至福を感じられるくらい。
そうそう、それでは久しぶりに綴ろうかな。
コーヒーが冷めないうちに...。
最近、ここに還ってくる余裕がなくなっていた。
ずっとずっと探していた、
自分のやりたいことが少しづつ見えてきて、
もがきながらもそれに向かって動き出して、
そうこうしているうちにせわしなくなり、
なんだか日々に余裕がなくなっていた。
やっぱり私には、「余白」が必要なのだと思う。
自分の感性を巡らせ、心にすっと空いたスペースに美しいかけらが置かれていくような。
世界の輝きを、まるで五歳児のように掬いとることができるような。
そんな人生の「余白」がないと、駄目なのかも。
「余白」
それは目に見えないものを感じ取ることができる瞬間であり、
目に見えないなにかを自由に解釈することができる瞬間でもある。
ふと見上げた空の隙間だって、
コーヒーを飲みながら物思いに耽る時間だって、
誰かとの会話の中の沈黙だって、
この文章の、行間だって。
そうした中で、自分にとって真に大切なもの、忘れかけていたもの、はたまた新たな発見と、出会うのだと思う。
時に余白に傷つけられることもあるかもしれない。
でもきっと、余白に背中押されることも多い。
真っ白でなくていい。
ほんの少し、余ってくれていればいいのだ。
その束の間の「余白」を、存分に楽しめる人でありたい。
その束の間の「余白」で、ちゃんと自分の感性をもってなにかを感じ取り、再現性のない言葉を綴れる人でありたい。
そろそろ、
コーヒーが冷めてしまうのでここらで。
猫舌の私にはちょうど良いが。