悲劇の原因は誰にあるのか?Ⅱ
強い処罰感情
今回のハマスの急襲によるイスラエル側の犠牲者は1,400人を超えた。世界屈指の戦闘能力を有するイスラエル軍であるが、多くの死者を出す結果となっている。イスラエル軍が誇るアイアンドームも想定を超えるガザからのミサイルにより、市街地にミサイルが落下することを許している。
そのような状況でイスラエル国民の中には、ハマスに対する強い処罰感情が芽生えている。また、今回の攻撃を許したネタニヤフ首相にとってもこのままでは自身の沽券にも関わる。今後、地上侵攻は確実視されており、ハマス幹部の殺害を含めたハマスの殲滅を目指すのは間違いない。
変わる潮流
ハマスによる攻撃から約2週間が経過したが、国際世論に変化が出始めている。当初、欧米を中心にハマスの攻撃を強く非難すると共にイスラエルの反撃を無条件で肯定していた。ところが、ガザ市民に対するイスラエル側の対応に「戦争犯罪」との指摘や過去の軍事作戦などもあり、対ハマスの殲滅作戦に関しては容認する一方、ガザ市民に対する対応については配慮を求めている。
また、ハマスが人質を取ったのはイスラエル人に限らず世界各国の人々を人質にしている。彼らの奪還のために各国は情報収集に躍起になっている訳だが、その観点からもイスラエルがガザ地区に対して地上侵攻した場合、人質の人命確保が困難になることを危惧し両手を挙げてイスラエル政権の対応を肯定する雰囲気は無くなりつつある。
分断のアメリカ
ハマスによるイスラエル攻撃に対する対応をめぐり、アメリカ社会の分断がここでも顕になっている。レスリー。ウェクスナー氏とアビゲイル・ウェクスナー氏が運営するウェクスナー財団はハーバード大学監督理事会宛に書簡を提出し、同大学への支援を打ち切ると発表した。発端は同大学の一部学生団体がイスラエルのみを非難する声明を発表したことに端を発する。同財団は同大学が当初、沈黙を保ったことについて「唖然としうんざりしている」として支援の打ち切りに踏み切った。支援打ち切りの動きは他の大学でも発生している。
また、就職にも影響が広がっている。ニューヨーク大学の学生弁護士協会会長が「イスラエル政権が全面的な責任を負っている」と主張したことを受け、業界屈指の弁護士事務所であるウェストン・アンド・ストローンがSNS上で同大学の学生の内定取り消しを発表した。
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