見出し画像

2023年の健康経営|ストレスチェックを味方につけて職場環境を整えよう

年が改まる1月は、身の回りのものを新しくして気持ちよく仕事を始めたいと考えている方も多くおられるでしょう。一方で、1月は「行く」2月は「逃げる」3月は「去る」といわれるように、年度末へ向けて忙しさが増え始めています。また、寒さが底を迎える季節でもあり、知らず知らずのうちに心身への負荷が大きくなっている時期といえます。

年の初めの健康経営を気持ちよく滑り出すため、このような季節だからこそ押さえておきたいのが、メンタルヘルス対策。特にストレスチェックです。
職場で実効性の高いメンタルヘルス対策を行うにあたり不可欠の要素となるストレスチェック制度について、基本事項を整理しつつ、実施の際の留意点をみていきましょう。

ストレスチェックは法に定められた取組み

「ストレスチェック」というと、ネット上にあふれる占いや性格診断のようなエンターテイメント性の高いものを連想しがちですが、健康管理におけるストレスチェックはそのようなものではなく、労働安全衛生法第66条の10により規定されている制度であり、労働者数が50人以上の職場では実施が義務付けられている大切な検査です。

メンタルヘルス対策の3つの段階とストレスチェック

職場のメンタルヘルス対策は、厚生労働省から「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づいて推進するよう推奨されています。

メンタルヘルス対策には、3つの段階があります。
・一次予防:未然に防ぐ段階
・二次予防:不調が現れた従業員を早めに発見し、適切な措置を行う段階
・三次予防:不調により休職した従業員の職場復帰を支援する段階

ストレスチェックは「一次予防」を主な目的として行われるものです。現在労働者が受けているストレスがどの程度なのかを把握し、労働者本人の気づきを促すとともに、働きやすい職場づくりにつなげていくことにより、メンタルヘルス不調を未然に防ごうというわけです。

労働者にとってのストレスチェックの効果

ストレスチェックを受けることにより、労働者自身にとっては、次のようなメリットがあります。

  • 現在の自分のストレスの高まり具合や、ストレスになっている原因を知ることができる

  • ストレスチェックの実施者からアドバイスを受け、自分でストレスに立ち向かうセルフケアのきっかけとなる

  • 高ストレスの場合は面談を受けてストレス要因の軽減を図ることができる

  • ストレスチェックの結果が職場ごとに分析されて環境改善につながる

事業者にとってのストレスチェックの効果

事業者にとっても、ストレスチェックの結果を活用することにより、労働生産性を上げるなどの効果が期待できます。

  • 労働者がメンタルヘルス不調になり労働生産性を下げることを未然に防止できる

  • 職場の問題点など、メンタルヘルス不調を起こしやすい要因が明らかとなり、具体的な環境改善の検討がしやすくなる

  • 労働者のストレスが軽減され、働きやすい職場へと改善が進むことにより人材確保が容易になり企業価値が高まる

ストレスチェックの進め方

職場のストレスチェックは、ストレスに関する質問票に、労働者自身が回答していき、集計結果をもとに自分のストレスがどの程度なのかを調べる簡単な検査です。

ストレスチェックは、主に以下の流れで行います。

(出典:厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」)


ストレスチェックの結果は本人に通知され、高ストレスの労働者に対しては面接指導を実施して就業上の改善を行います。また、努力義務ではあるものの、個々のチェック結果を集計し、全体での集団分析を行って、職場環境の改善にも努めることにより、効果をさらに高めます。

ストレスチェックの実施ポイント

ストレスチェックは毎年行う

労働者が50人以上いる事業所では、毎年1回この検査をすべての労働者に対して実施することが義務付けられており、毎年、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署へ所定の様式で報告する必要があります。

ここでいう「労働者」は、衛生管理者や産業医の選任義務と同じく、常時使用しているという意味になり、パートタイム労働者や派遣先の派遣労働者も含みます。
それぞれの労働者がストレスチェックの実施義務の対象となるのかについては、「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」で確認してください。

国が推奨する質問項目がある

ストレスチェックの質問票に指定はありませんが、57項目/80項目など、国が推奨する質問があります。以下の内容を盛り込んでおきましょう。
・ストレスの原因に関するもの
・ストレスによる心身の自覚症状に関するもの
・労働者に対する周囲のサポートに関するもの

質問票の回収、面談指導などは医師などの実施者が行う

第三者や人事権のある社員が、記入・入力の終わった質問票の内容を閲覧することは禁じられています。質問票の回収は、医師などの実施者またはその補助をする実施事務従事者が行います。

回収した質問票をもとに、医師などの実施者がストレスの程度を評価して、高ストレスの労働者を選定し、面接指導を行います。
・自覚症状が高い人
・自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポート状況が著しく悪い人

ストレスチェックの結果の活用には、本人の同意がいる

ストレスの程度の評価結果や面接指導の要否については、医師などの実施者から労働者本人に直接通知されます。ストレスチェックの回答結果は、医師などの実施者またはその補助をする実施事務従事者が厳重に保管します。また、面接指導の結果は事業所内で5年間保存する必要があります。

事業者へ労働者個人のストレスチェックの回答結果が自動的に返されるわけではありません。結果を知りたい場合は、労働者へ回答結果を通知した後、本人の同意が必要です。

個人が特定されない集団分析で、ストレスチェックの実施者から部署ごとに集計・分析した結果を受け取ることはできます。積極的に職場改善へ活用しましょう。
ただし、集団規模が10人未満の場合は個人を特定される可能性もあるため、全員の同意が必要です。

ストレスチェックや面接指導で個人情報を扱う実施者には、法律で守秘義務が課され、違反した場合は刑罰の対象となります。管理を適切に行い、社内での共有も最小限にするよう心がけましょう。

一元的システムで情報管理の徹底を

ストレスチェックは、職場のすべての労働者に対して調査を行い、厳密に個人情報を管理しつつ、面接指導や職場環境の改善を促し、所定の様式で報告するという一連の業務を毎年必ず行わなければならないため、一つひとつを手作業で行うと、担当者にとって大きな負担となってしまいます。

ストレスチェックに関わるすべての関係者が負担なく各自の行動に集中する環境をつくるには、労働者が抵抗なく回答でき、データが適切に管理される一元管理システムが有効です。

WellGoでは、健康管理アプリの基本機能にストレスチェックがあり、追加料金不要で毎年のストレスチェックを実施できます。国の推奨する57問/80問の項目にも対応しており、安心してご利用いただけます。

パソコンの画面上の操作で実施でき、スマートフォンアプリでも手軽に入力できるため、調査への回答や面接相談への抵抗も少なくすみ、実施率の向上につながります。情報管理を徹底した中での集団分析も可能です。

ストレスチェックの分析結果を勤怠データなど労務関係のデータと連携させることにより、ストレスチェック制度を毎年の義務から職場の環境改善に積極的に活用できる経営戦略の仕組みへと変えていきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?