次世代の住まいは、maintainableが最重要かもよ
我が家の食洗機は、ビルトインタイプではなく、製品をキッチン下に配置しただけのものである。
元々は食洗機がビルトインされたシステムキッチンにする予定だったのだが、我が家の狭いキッチンに合うサイズのもので、食洗機をビルトインできるものがなかったのだ。
別に、最初から交換可能な食洗機を狙ったわけでは一切ない。
が、これが期せずして良い選択肢だったのかもと思うことが多くなってきた。ちなみに水道工事のお兄さんには、最初からキッチン下に市販の食洗機を置くことを伝えていたので、その部分の工事だけはお願いしていたが、実際の設置は私が自分でやったので、故障しても交換作業は自分でできるのだ。
この食洗機が壊れても、このサイズに合うものであれば、新品をネットでサクッと購入して、私自身で設置できる。壊れるのは嫌だしコストはかかるけれど、修理の人が手配できなくて待たされることもない。実に自由である。
海外で色々な家に住んでいたが、食洗機やオーブンがビルトインされている物件も、エアコンが天井に埋め込まれている物件もあった。
私は物件を借りているテナント側だったので、故障した場合はエージェンシーを通して大家さんに修理を依頼するのだが、その修理がめっちゃくちゃ大変なのである。
たぶん、すんごいコストもかかっていたと思う。私は払ってないけど。
まず修理のお兄さんがやってきて原因を特定して、その彼が直接大家さんに連絡し、修理を続行するか新品と交換するかなどの判断を仰ぐのだ。
割と高確率で新品と交換という結論に辿り着く。修理するにしても代替品を用意せねばならず、テナント側のクレームを避けたいのかもしれないけれど、程なく新品と交換されるのだが、その設営もめちゃくちゃ大変なのである。
自分の保有物件だったら面倒だなぁ、コストかかるなぁと思ったよ。
まぁお金さえあれば、修理の人を手配して最新機種のモノも入るような国に住んでいたから問題はなかったが、これからの日本は「その修理の人が来るのはいつになるかは分からない」状況になり得るのだ。下手すると一ヶ月後とかもあり得る。
もちろんビルトイン食洗機の交換を自分でやることはできるのだが、それが可能な人ばかりではない。
つまり、今後の住宅は、特殊技能を持つ専門家を呼びつけて修理交換してもらう必要のない、メンテナンスしやすいものであることの重要性が上がるだろうという仮説を立てた。
そもそも、浴室乾燥のシステムについては、昔っから否定的であった。故障して以来一度も使っていない(修理する気もない)という話をあちこちで聞いていたからだ。
同様に床暖房についても、あればめちゃくちゃ快適だけど、故障した時の修理交換コストが膨大すぎて、壊れたらそのまま放置して使わなくなる人も多いと聞く。
かつて愛された中銀カプセルタワービルは、「キューブごと交換という究極の方法論で、ビル全体を維持管理できる」という仮説に基づいて作られたものだったのだが、結局、一度もキューブ交換されなかったらしい(汗)。
…….ってか、電気製品をビルトインするでない!!!!!
豪州では新車を買ったけれど、それ以外の国では「リセールバリューの高い車種と色」の中古車を購入した。中古車になると車検の頻度が上がるが、それ以外に特に問題はなく、人気モデルなので売るときにもちゃんと価格がついた。
中古車を購入して最も困ることは、音響機器などビルトインのシステムが古すぎることだった。
結局、AUX端子にスマホを物理接続して音楽を聴くようになり、元々についていた複数枚投入できるCDプレイヤーを使わなくなったり。
車なんぞ、モノが詰めて無事に目的地まで辿り着けたら良いと思っている私としては、中古だろうとその本質的な機能性には全く不満はなかったのだが(燃費の問題はあったけど)、ビルトインされている機器については、その古さを常に意識させられることとなった。
スマホのアプリ(例えばGoogle Mapなど)をナビに使っていると、車載ナビを使わなくなったりする。地図情報が古すぎたりするのだ。
つまり、日進月歩の傾向の強い電気電子製品はビルトインするなかれ、ということになる。
新築だったり、リノベする場合には、その設備をキレイに配置できるような場所と電源は確保しておくべきだけれど、ビルトインはダメだよ!
乾燥機能付きのバスルームも不要。換気扇があればOKである。衣類乾燥したければ除湿乾燥機を購入して設置すれば良いし、そのための防水仕様の電源タップがどこかにあればいいだけ。
我が家の場合は、IHヒーターもビルトインさせていないので、壊れたら新しく買い替えるだけでOK。
ハウスメーカーさんは提供者の論理で、目の玉飛び出るような高額なキッチンシステムをご提案されるけれど、もっとユーザー目線でメンテナンスしやすいものを提案する必要があるんじゃないかなぁって思うよ。
食洗機をビルトインさせるのではなくて、キッチンの下部に大型のスタンドアロン型の食洗機が置けるような場所を設定し、給水と排水の工事がしやすいように、最初から分岐をしておくだけで、ユーザーが好きな食洗機を配置できるようになる。ビルトインすると決めた段階で、ユーザー側の選択肢は一気に減るという現状に対して、メーカーはなんとも思っていない。
日本のマンション販売も、高い買い物をする割には選択肢が少ない。中国みたいにスケルトン状態で売り出して(当然、販売価格は現在よりも1,000万円以上安くなるはず)、内装は個々人が内装業者さんと相談しつつ決められるようにしないと、いつまでも没個性的なマンションばかりになる。
(ちなみに日本でそうなっていないのは、マンション販売業者さんは、内装部分で儲けを出すというビジネスモデルなんじゃないかと疑っておる!)
逆にリノベの場合には自由設計ができるので、マンションは中古で買うに限るのかもよ。
結論:人材不足が加速するしかない近未来の日本においては、メンテナンスしやすい、プロの人的資源を必要としない、機材の交換だけで対応できる家づくりが求められているのだ!
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