ゲームが人に生きる希望を与えることも:Doubleliftの場合

 2018年4月。eSports、LOLの世界に衝撃のニュースが走った。

当時Team LiquidのプロプレイヤーだったDoublelift(本名は彭亦亮くん、中国系アメリカ人)の実兄が、両親に刃物で襲いかかり、その結果、母は死亡、父は重症を負い、その兄は逮捕された。ガールフレンドと別れたばかりだったらしいが、それが直接の原因なのかどうかなど詳細は分からない。eSports Playerとしてはトップレベルでファンも多いDoubleliftの心中を慮り、RiotGamesや、チームそしてファン達から、続々と支援や温かいメッセージが届いた。

彼の心中は失意のどん底であったはずだが、彼は冷静にTwitterでメッセージを発信した。

私が書きたいのは、この事件のことではない。

彼の数奇な運命は、彼がティーンエイジャーだった頃に遡る。そして、その兄の行動を見て、親として色々と考えさせられることがあった。

そしてアジア系の家族にありがちなことだと、少し心が傷んだ。

彼の母親は移民一世で、典型的な中国人マインドをもつ人だった。幼少の頃からゲームなどせず勉強をしろと迫るのは、東アジアの親の典型的な態度である。特に、儒教的な感覚が色濃く残る中国と韓国のママ達が、「親の言うことは無条件で聞け」と子供に迫るのは日常的な光景である。常日頃から18歳になったら自立しろと言われていた様で、ゲームなんぞせずに仕事につけと言われたが、eSportsのプロプレイヤーなんてものは、その母には仕事とみなされず、家から放り出されて、彼はホームレスとなる。

詳細は省くが、その後、ジャーナリストのTravis Gafford氏が公私にわたり彼をサポートする。自分の家に彼を住まわせ、Professtional Playerとして安定して仕事ができるように全面的にバックアップしたのだ。この辺りのストーリーは、ファン達が最も胸を熱くするところだ。「捨てる神あれば拾う神あり」の典型のような出来事だった。

 Doubleliftくんがゲームに触れるようになったのは、兄が保有していたPCのゲームを時々使っていたことがきっかけだった。兄が数年おきにPCを買うたびに、その古いPCを譲り受けることで、彼はぐんぐんとプレイヤーとしての実力を積み上げていったのだ。つまり、彼にとって実兄は、自分がゲームと出会うきっかけをくれた人でもあり、どちらかと言えば自分を理解してくれないばかりか、常に上からギャーギャー言う母親よりは、兄の方に親近感を抱いていたのではないかと思ったりもする。

ホームレスになった当時の彼は、失意のどん底にいたと言うよりも、ゲームがしたいと言うパッションの方が強かったようで、そこでも延々とゲームについての分析その他の発信を続けていたことで、支援者を引き寄せ、最終的にプロプレイヤーとなり、まだまだ現在も走り続けている。

紛れもなく、彼はゲームによって家から追い出されたけれど、ゲームによって自立が叶い、生きる希望も得たのだ

ゲームをしていなかったら家から追い出されなかったのでは?

そう思う人もいるかもしれない。でもその後の兄の行動を見ると、そういう問題でもない。親は、自分が望むような人になることを子供に強要することがあるが、それは子供にとっても、親自身にとっても、不幸な結果を呼びかねない

子供が興味を持つこと、関心を示すものが、親から見ると不適切で不愉快なものもあるかもしれない。犯罪や他人を傷つけるようなものでない限り、少なくとも頭ごなしに否定するのは教育上良くないのかなと最近思う。

だって子供は、自分とは物理的にも全く違う人間だから。

自分が好きなことを家族に取り上げられたら、大人の私でもブチ切れるがな。

さてさて。彼は、インター校のアジア系の男の子の中に絶対一人はいるようなタイプで、めちゃくちゃ親近感を持っちゃう。目がキラキラだよ。

LOLは、音楽もいいのよねぇ~。以下は個人的なメモw

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