見出し画像

眠れません!⑤ 睡眠効率

前回に引き続き、眠れるようになるためのヒント。

■日中の過ごし方

日中運動をして疲れたほうが眠れる、というのは経験的に知っていることだろうと思う。
2010年のスタンフォード大学の研究によると、夜ぐっすり眠る割合を確実に高めるには、日中最低でも150分の有酸素運動、もしくは75分の激しいエクササイズを行う必要があるということだ。

体を使うより頭を使ったほうがよく眠れるという研究もある。
海の近くで1日過ごすと普段より強い眠気を感じることがある。これは、海岸へ行くと普段と違う景色や音に囲まれるので脳が疲労し眠気につながる、と考えられている。同等の運動量で、公会堂の周りを1日歩いた群と観光した群では、観光した群が疲労を感じ、ぐっすり眠れたということだ。
運動するにしても単調な運動より、脳も疲労させたほうが眠りには良いようだ。

また、昼寝は20分くらいで済ませたほうが良い。
眠気は夜やってくるが、午後3時前後にも眠くなることがわかっている。この頃は集中力も低下しているので、昼寝をするなら午後3時ころがよいだろう。

画像3

■お風呂

お風呂は寝る90分前に入るのがよい。温度は40-41℃
これは体温の変化が睡眠に影響するからである。温かいお風呂に浸かると、深部体温が上昇する。お風呂から上がると、深部体温は下がっていく。これが「眠るための準備ができた」という合図になり、眠れるようになる。

■お布団に入るのは眠くなってから

確かベルソムラという薬の発売のときだったと思うが、睡眠関係の講演会で「眠れないときは起きていたほうがよい、眠くもないのに布団に入ると余計に眠れなくなる」という話を聞いた。

前に年齢を重ねてくると、眠れなくなってくると書いた。
だが、年をとると体も言うことを聞かなくなり、色々衰えてくるので早く寝ようとする。

下の2つのグラフは厚生労働省の「e-ヘルスネット」から参照している。
高齢者は睡眠時間が短いのに長く寝床にいることがわかる。

画像1

画像2

これは今回睡眠をまとめるきっかけになった施設での睡眠コントロールの問題点でもある。
夜間はマンパワーが足りないため、早く寝てもらうようにしている。早いところだと19時くらいから寝るようなところもある。
仕方がないとは言え、それでは眠れないし早く目覚めるのもわかる。

実際の睡眠時間を寝床にいる時間で割ったものを「睡眠効率」という。

(睡眠効率) = (睡眠時間) / (寝床にいる時間)

6時間寝床にいて、5時間眠った場合睡眠効率は0.83となる。
睡眠効率は0.9あたりにするのが理想だということだ。

眠れないとき、また、目が覚めてしまってすぐ入眠できないときは何かして過ごしたほうが良い。
ブルーライトは浴びないほうがよいのでテレビをみたり携帯を触るのは良くない。
雑誌や本を読むのも良いが、両手と頭を働かせる楽しくてくつろげる活動をすると良い。睡眠学者のジム・ホーン教授はジグソーパズルや絵を描くことを勧めている。

■睡眠の姿勢と快眠グッズ

王様は仰向けに、賢者は横向きに、金持ちはうつ伏せに寝る

西洋の諺らしい。1970年代には寝相で性格がわかるという調査が行われている。

性格診断は正直こじつけだろうと思うが、仰向けに寝るのは避けたほうがよいようだ。

健康な人でもいびきが増え、睡眠時無呼吸症候群の患者は呼吸が止まりやすくなる。気道が塞がりやすくなるからだ。

横向きに寝るためのグッズもある。

これはちょっと眠るのには邪魔そうな気がする。慣れれば気にならないのかな?

アメリカでは「Night Shift」という、仰向け寝を完治すると起こさないような振動で姿勢を変えさせる製品がある。日本にはまだないようだ。

気道をつぶさないように、噛み合わせを整えるのも良いようだ。
amazonなどでも購入できるが、歯科で自分用のマウスピースをつくるのが効果的だと思う。


色々紹介したが、眠るために頑張ると余計に眠れなくなる気もする。
自分にあった効果的な方法を見つけるのが良いだろう。



ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
なにかヒントを得られれば幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!