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可憐な悪魔 5

4の続き

* * *
「う、う~ん……」
私はベッドの中で大きな伸びをする。
睡眠薬のおかげでぐっすりと眠れたみたいだ。
心なしか体調もかなり良い気がする。

まぁこしちゃん曰く、治ったと思ってもしばらくは休んだ方がいいとのことだったし、完全に体調が回復したわけではないんだろうけど。

(そうだ、こしちゃんとの旅行、どこ行くか候補決めないとね)
私はそんなことを考えながら、キッチンに向かうとお湯を沸かしてコーヒーを淹れる。
コーヒーを飲みながら、PCを起動して 旅行サイトを調べる。

「あ、ここいいかも……こしちゃんに提案してみよっと」
私は、PCの画面に映る旅行サイトをブックマークに登録すると、こしちゃんにメッセージを送る。

それから数日後、旅行先と日程が決まった。
こしちゃんとの旅行は1ヶ月後だ。
旅行の日程が決まり、それからは目まぐるしく日々が過ぎていった。

そして旅行当日。
行先は、ユニバーサルフィールドの北海道だった。
メインの目的はやっぱりグルメ! 2人でどこのフィールド、そしてその中のどこへ行くか何度も検討を重ねてようやく決まった。

クリスタルヘブンから出ている、ユニバーサルフィールド行きのワープ装置に乗って東京に到着した私たちは、タクシーで空港へと向かった。

「楽しみですね! 北海道っ!」
「そうだね、こしちゃん」

飛行機に乗ってから数時間後、ようやく北海道に到着した。
空港から出てバスに乗車すると、窓の外の景色がどんどん都会的な街並みに変わっていくのがわかった。
そしてバスは札幌駅のバスターミナルに到着した。

荷物を降ろすとすぐにこしちゃんが口を開いた。
「ホテルのチェックインまではだいぶ時間がありますねぇ! まずは、お昼食べましょうよ! いや~早く出てきた甲斐がありましたねぇ! やっぱラーメンかなぁ! リリカさん、ラーメンの後は……」
「こしちゃんはしゃぎ過ぎ(笑)ちょっと落ち着いて~?」
少し興奮気味のこしちゃんを落ち着かせながら、私たちは歩き出した。

美味しいラーメンをお腹いっぱい食べて、少し周辺を散策した後、ホテルにチェックインした。
荷物を降ろした後は再び札幌の街へと繰り出した。
今日は札幌。
明日からはレンタカーを借りて、帯広などの東側に向かう予定だ。

「さぁて! 札幌の旨いもの食いつくすぞぉ!!」
こしちゃんが拳を突き上げる。
「こしちゃん、まだお昼食べたばっかだよ(笑)まぁ気持ちはわかるけど」
私は笑いながらこしちゃんの隣に並んで歩く。
まずは腹ごなしに何か食べに行くことにする。

「こしちゃんは、北海道に来たことあるんだっけ? 私は日本だと東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、盛岡はあるんだけど、北海道は今回が初めてなんだよね~」

「ありますよー! 札幌は修学旅行で1回来たことあるんすよ~。 うまいジンギスカン食べました!」

「へー! そうなんだ」

「北海道は広いんで、全然回れてないんですけどね~。でも、札幌は1回来てますし、リリカさんを満足させてみせますよ!」

「ありがとう。楽しみにしてるね」

こしちゃんと一緒に北海道のグルメを堪能しながら、私たちは札幌の街を歩く。

「こしちゃん、次はどこにする? 私的にはこのスープカレーが食べたいんだけど……」
「いいですね! これは間違いなく美味しいはずですよ!」
2人でスマートフォンを見ながら、どのお店に行くか決める。
「よし!じゃあ行こう!」
私たちはスープカレー屋さんに向かって歩き出した。

「いや~美味しかったですね~! さすがは北海道のスープカレーです」
こしちゃんが満足そうに言う。私も満足だ。
北海道のグルメを堪能した私たちは、ホテルへと戻ってきた。
明日は帯広方面に向かう予定だ。

「明日は、帯広までドライブですからね。今日は早めに寝ましょう!」
こしちゃんが元気よく言う。
「それじゃあ、寝よっか」
私が言うと、こしちゃんは
「はい!」
と言ってベッドに潜り込んだ。
私もそれに続くようにベッドに入る。

隣のベッドに眠るこしちゃんに
「おやすみこしちゃん」
と声をかけて、私は目を瞑った。
「おやすみなさい、リリカさん」

——— 翌日、私たちは朝食を済ませるとホテルのロビーでレンタカーを借りて出発した。
こしちゃんの希望もあってドライブをしながら帯広方面へ向かっていた。
道路は北海道の自然を感じられるような風景が広がっていた。

「リリカさん!見てくださいよ!この道、まっすぐな一本道ですよ!」
「ほんとだ!すごいね!」
2人で北海道の大自然を眺めながらドライブを楽しみながら帯広方面へと向かう。
途中、道の駅に立ち寄ったりしながら、ドライブを満喫する。

「ソフトクリーム! チーズケーキ! ジェラート!!う~ん! 北海道サイコ~♪」
こしちゃんは目をキラキラと輝かせながら、ソフトクリームを頬張っている。
本当に幸せそうだ。
私はこしちゃんを見て微笑みながら、チーズケーキを食べる。

「リリカさん! もうお昼だし、帯広名物の豚丼を食べていきましょう!」
「こしちゃん、やっぱり食いしん坊だねぇ。オッケー、食べに行こうか!」
こしちゃんの一言で私たちは帯広名物の豚丼をお腹いっぱい食べた。

こうして仕事のことや、嫌な夢のことも忘れて北海道旅行を満喫していた私たち。
しかしその日の夜宿泊したホテルで、思い出したくなかった一件を思い出してしまうことになった。
* * *


~続く~

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