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夢か現か 救われた僕 5睡目

5睡目「目覚める貞王神の兆し」

4睡目「守りたくて」続き

"問いを1つ—— 本当にどうなっても構わないのかな?"
薄れゆく意識の中で、誰かのそんな言葉が聞こえた気がした。

"未来永劫、他者との肉体の交わりを禁じられる……つまり異性同性とを問わず、今後キミは一生交尾ができなくなる。それでも構わないというのかな?"

——いや、幻聴なんかじゃない——!
これはきっと神様の声だ。

だとしたら!

(それでも……。どうなっても構わない! もう誰とも交われなくても! 一生童貞でも構わない! だから、彼女たちだけは助けてくださいっ!!)

僕は心の中で強く叫ぶのだった。

"ほう……今一度問うよ……本当にどうなっても構わないのかい?"

(構わないっ!! もう僕の命なんてどうだっていいから、彼女たちだけは助けてくださいっ!!!)

"契約は成立だ——。キミの願いを叶えてあげよう。じゃあ早速……キミの体をいただくとしようかな?"

その声と共に不思議なことが起こった。
少し遠くに、血だらけで倒れている僕の体が見える。
まるで映画でも見ているような感覚だ。
……夢?
でもなんだろう、この不思議な感覚は?

はったりぼんのみんなは、相変わらずこの絶望的な状況に涙を流して震えている。
ひなたんは血だらけの僕を見て、嗚咽しながら呼吸が荒くなっている。
そして何度も僕の名前を叫んでいる。

ああ、たった1人のファンのためにそんなに心配してくれたんだ。
嬉しいな……。

「へへっ、ゴミがくたばったところでそろそろお楽しみタイムといくかぁ!」
リーダーの男はそう言うと、ひなたんのスカートの中に手を入れる。
ひなたんは抵抗しようと必死に手足をバタバタさせるが、男によって押さえつけられてしまう。

その時だった——。
「#$#$,##$##$!」
「なんだようっせぇな!!」
1人の男がそう叫ぶと、声のする方に振り向く。

そこには血まみれで、確実に致死量の血を流しながら起き上がった僕の姿があった。

「なっ!? あいつまだ生きてやがるぞ!! テメェらさっさと黙らせろ!!」
リーダーの男の声に反応して、男のうち1人が僕の心臓にナイフを突き立てた。

「いやあぁぁっ!! こうたんっ!!」
絶叫するひなたんと、血だらけの僕を見ながらニヤリと笑うリーダの男だったが——。

「#$#$,##$#!$##$%? %&&%%**?? ?!?! !!!!」
ナイフを心臓に突き刺されながら、僕は訳のわからない言葉を発し続ける。

「なんだぁ!? コイツ、どうしたんだ!?」
リーダの男を始め、連中はそんな僕の様子に恐怖している。

「%%**!!#$8$99#44!$444?4444……?"!!……あ、あ、あー……あーあーあー」
そして僕は言葉にならない言葉を発し続ける。これは一体……。

「あー、ずぃー、じぇー……すぅ~、聞こえる? 聞こえるかな? ……あれ? 聞こえるかな?……えっと、聞こえてる?」

その声は僕のものとはかけ離れた、美しい響きを含んだ男性の声だった。

「聞こえてるも何も……。な、なんだてめぇ?」
リーダーの男は動揺を隠しきれない様子だ。他の連中も同じような反応だった。

「よし、聞こえているみたいだね。やはり意識に直接語りかけるのと、誰かの肉体を借りてその世界のその国の言葉で話をするというのは違うものだね。久しぶりともなると調整が面倒なものだ。ましてやこんな小さな世界の中の島国の言語だと、ね」

「てめぇは誰だって聞いてるんだよ!! 訳の分からねぇこと………………!!?」
気味の悪い僕に対する恐れを拭うようにリーダーの男が威圧的に言葉を続けようとするも、口をパクパクとするばかりで一向に声が出ない。

「キミはさっきうるさいから僕を殺せと、仲間に命じていたね。フフ、ほんの仕返しだよ。もう治してあげようね」
僕(?)は、いたずらっぽく笑った。

「さて、と。キミたちに問いたい。今まで何人の女性に対してこういうことをしてきたんだい? 正直に教えてくれるかな?」

「は、ははは……。そんなの覚えてねぇし、どうだっていいだろ? お前みたいなキモオタにはわかんねぇよ。みんな、こいつ妙な手品かなんかしただけに違いねぇよ! ビビる必要なんかねぇぜ」
男の1人がそう言うと、他の男たちもそうだと口々に言う。

しかしその瞬間、騒いだ5人ほどの男たちの体がゴキッ! ボキッ!! という音と共に圧壊してしまった。
彼らは声を上げることもなく、殺されたのだ。

「な、なんなんだよ! てめぇ!!」
リーダの男は慌てて懐から拳銃を取り出すと、僕(?)に向けて発砲する。しかし僕(?)は避けようともしない。
そしてそのまま銃弾は胸に吸い込まれた。
しかし、出血はない。
貫通もしていないようだ。
だが——

「う、ぐぁ……っ……な、なんで……」
別の男の心臓に、代わりに銃弾が撃ち込まれていた。

「な、なんなんだよ……お前……」
リーダの男は恐怖に顔を歪ませ、後ずさる。
しかしすぐに壁にぶつかってしまった。

そんな男に対して僕(?)はニッコリと微笑むとこう言った。
「教えてくれないなら結構。その代わり、キミたちには自分たちが乱暴したり、殺したりしたのと同じ回数、別の方法で死んでもらうことにするよ」

僕(?)がそう言うと、先ほど死んだ5人の体が元通りになる。
「ど、どうなってんだ? ……おれ……」
「確か激痛が一瞬走って……それで……」
口々につぶやく男たちだったが、次の瞬間には体がゆっくりと膨らんでいく。

「な、なんだよ……なんなんだよぉ!! これぇ!!」
リーダーの男の体もどんどん膨らんでいく。

「ぐぇっ!! く、苦しい……!!」
「た、助け……!!」
「お、おれ……死ぬのか……?」

そして彼らは全員パーンッ、と大きな音を出して破裂してしまった。
しかし再び彼らの体は再生する。
状況を理解し始めた男たちは、恐怖で顔が青ざめてしまっている。

「い、いつまでこんなことを……続けるんだよ?」
1人の男の問いに対して、僕(?)が、
「話を聞いていなかったのかな? 本当に本能のままに動く獣のようだ……いや、それは獣に対しても失礼だね……。言っただろう、乱暴したり、殺したりしたのと同じ回数ってね」
そう返すと、今度は男たちの体が自然発火して燃え始めた。

「熱いっ! 熱いっ!! あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」
「たすけ、だずげっ……」

男たちが口々に助けを求める中、
「そうやって何人の人がキミたちに助けを乞うたのだろうか。さぁ……もっと罪を償うんだ。そしていつの日か良き魂として転生せよ」
僕(?)はそう冷たく言い放った。

そして男たちの体はどんどん焼け焦げてゆき、ついには完全に灰になってしまった。

「我ながら残酷な処刑方法だ……これじゃあまるでフォーノスだ。……さて、と」
僕(?)はそう言うと、はったりぼんの5人の方を見る。
彼女たちの中にはあまりのことに気絶してしまっている子もいた。

「ごめんね……。助けるキミたちにこんな凄惨な現場を見せてしまって……。続きは別の空間にいる僕の眷属に任せるとしよう……」
すると倒れていた男たちの死体も痕跡も綺麗さっぱり、消えてしまった。

「こ、こうたん? あなたは……こうたんじゃないの? いったい……誰なの?」
ひなたんが呆然としたまま、そう聞いてくる。
他のみんなも僕(?)を見ながら震えていた。

「僕はね、ひなたん……」

僕(?)は優しく微笑みながら言った。

「こうたんだよ」

そう言い終えると同時に、僕(?)からまばゆい光が放たれ、辺り一帯が包まれるのだった。


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