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僕と契約してぼっち旅行者になってよ!

今年もうだるような暑さだった夏が過ぎ、どうやら世間は秋に向けて動き出しているようだ。私は暑がりなので夏は用事がなければ基本的に外に出たくない。できるものなら一日中家で引きこもってエアコンの風にあたりながら昔のアニメでも見ながら寒い寒いと言いながら鍋を食べていたい。そんなことだから私はたいてい季節が変わっていることに気づくのが遅い。今年もそれは例外ではなく、先ほどスーパーに買い物に出たところ非常に気持ちの良い風に吹かれて驚いた。またそれと共に近所のスーパーとはいえ半袖半ズボンで外に出ている自分に恥ずかしくもなった。

私は秋になると無性に旅に出たくなる。おそらく地獄のような夏を耐え、秋という最強の季節を前にしたその解放感に扉のそとに飛び出ていきたくなるのだろう。今年もご多分に漏れずその気分になっているのだが、今年は特にその思いが強い。コロナウイルスによる我慢の末にやっと開けた緊急事態宣言。まるで一つの窮地を脱したかのような達成感に満ち溢れている。そして私は今年大学3年生で、来年の教員採用試験が終わり就職先が決まるまできっと自由な旅なんて行く暇はない。行くなら今なのである。

しかしきっと私は今年も旅には出ない。いや出られないのである。なぜか。ユーザー名を見直してほしい。私はそう、人間失格大学生なのである。当然一人で旅に出る勇気なんてない。そんなものがあればとっくの昔に旅に出ている。前の記事でも書いたが私は一人でおめおめ定食屋にもはいれない馬鹿チキン野郎である。そんな私が大学生は自由だ!とかいって青春18きっぷを使い、鈍行で地方の温泉に入り、その土地の名産を食べることができるだろうか、いやできない(反語)。というか、最近の観光地はあまりにもインスタ映えに全振りしすぎではないだろうか。どう考えてもカップルか女子旅にしか向けてないようなPRをする観光地が多すぎる。そのせいで男1人旅などという時代に合ってない行動をとるものは、たまにいる鋼のメンタルを持つ旅行ブロガーを省いてほとんど淘汰されてしまった。そんなことないよ!男の一人旅もいいじゃん!という人もいるだろう。では想像してもらいたい。京都の宇治抹茶の名店で、宇治抹茶パフェや宇治抹茶かき氷を幸せそうにほおばっているカップルの陰に隠れて、店の角でバックパックにキャップを被った小太りの男性が額に汗してお抹茶をすすっている姿を。目も当てられない。もはやなにかの社会風刺のようですらある。まあこれは少しオーバーだが、それくらい一人旅は異端となってしまっている、ような気がする。

まあ正直被害妄想である。周りは思っている以上に自分のことなんて見ていない。だれがどこで何を食べようと、何をしようと自由である。やりたいようにすればいい。そんなことを考えながら、私はまた1度、エアコンの設定温度をさげた。


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