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あの日、選ばれなかった君へ。あの日、選ばれなかった私へ。

阿部広太郎さんの「あの日、選ばれなかった君へ」を読んで

阿部さんは、過去の自分=「君」に語りかける。
「選ばれたい」と願っても、もがいても、選ばれなかった君。
打ちのめされた、苦い思い。遠回りにも見える選択。
しかし、その事実が、その時の選択が、未来の自分に意味を成すことを、阿部さんはそっと語りかける。

過去の選択を認めてあげよう。
一つひとつの選択は未来への伏線になる。
そして自分の正解にしていこう。

「あの日、選ばれなかった君へ」P-125

誰しも、「選ばれなかった」経験はあるだろう。
もちろん、私にもある。

水泳部の代表選考で、タッチの差で負けた小学4年生の私。
中学校受験で、第一志望に落ちた小学6年生の私。
今までで1番よく書けたと思ったのに、受賞できなかった読書感想文。
佳作止まりが続く川柳コンクール。

「選ばれなかった」のは学生時代だけではない。
大人になって、就職したって続いていく。
希望とは違う、配属先。
やっと仕事に慣れ、やりがいを見つけたところでの異動。
頑張っただけでは実を結ばない仕事、逃げ出したくなる日々。

思い出すと、胸にじわりと苦いものが広がる。
年を重ね、20年以上の時が過ぎていても、その苦みは鮮度を失わない。

でも、それと同時に思い出す。
悔しさをバネに練習を重ね、次の年には代表権をつかんだ。
第二志望の中学で、一生ものの恩師と友を得た。
書いて書いて書き続けて、掴み取った読書感想文の受賞。

新しい配属先で、のめり込める仕事に出会った。
尊敬する先輩に出会い、仕事への向き合い方を知った。

今の自分があるのは、あの苦い思いがあるからだ。
その答えにたどり着いた時、あらためて阿部さんの言葉が胸に迫る。

過去の選択を認めてあげよう。
一つひとつの選択は未来への伏線になる。
そして自分の正解にしていこう。

「あの日、選ばれなかった君へ」P-125

誰かと関わり、世の中と関わりながら生きていくなら、選ばれない辛さからは逃げられない。
だからこそ、選ばれなかった時に自分が選び取る道には意味がある。
選び取った道を、自分の力で拓いていく。
自分の力で、この道を正解にするのだという強い意志をもつ。

後悔のない人生なんてない。それでも僕たちには明日がある。
選ばれないことがあってもどうってことない。
自分が選んだことを誇ろう。そしてまた進んでいこう。
自分で選んでいくということが自分を青するということだから。
君はもう新しい一歩を踏み出せている。

「あの日、選ばれなかった君へ」P-236

選ばれなかった君へ、選ばれなかった私へ。
あの日、選ばれなかったことは間違いではなかった。
あの日の苦みを忘れずに、これからもあの日の選択を正解にし続けていこう。


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