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我がふるさと【短編エッセイ秋編】

私が生まれ育った県は、東北地方にある。自然に囲まれた、農業・林業が主な産業だった。

私が子供の頃、秋の稲刈りの後の田んぼは、格好の遊び場であった。

皆さんは、稲架(はさ)掛け、という稲の干し方をご存じだろうか?
刈り取った稲を棒などにかけて、天日干しにする、伝統的な乾燥方法である。

私と、近所のわらしども(子供達)は、その稲架(はさ)掛けで稲を干し終わった後の、枠組み(材料は材木とヒモ)によじ登り、鉄棒のようにして遊んだ。
5段掛けに、枠組みはとても高く作られていた。
私は男の子よりも高い場所に上り、そこから見える回りの景色を楽しんだ。と、言うか、私が一番!という優越感に浸った。

稲架(はさ)掛けの前には、用の無くなった藁が山のように、こんもりと積み上げられていた。
私は、枠組みからその場所に“ジャンプ“した。
登ってはジャンプ、登ってはジャンプ、と何度も繰り返した。
藁の山は、ふかふかしてとても気持ち良かった。
そしてそこに大の字になって、秋晴れの空を暫く見上げて、空の向こうにある何かに、思いをはせていた。

懐かしい思い出である。

イラスト by すいようびの月

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