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90年代ヨーロッパ一人旅①

私は、1990年代初めに、半年間のイギリス語学留学を経験した。
そしてそのあと、ヨーロッパに一人旅に出ることにした。
理由は、おそらく、これが人生で最初で最後のヨーロッパ滞在になるだろうと思ったので、他の国も観光しておきたいと思ったからである。
私は、1カ月のユーレイルパスを買い、トーマスクックの時刻表と地球の歩き方のガイドブックを持って、出発することを計画した。

ホストファミリー宅出発前

ランゲージスクールが終わったのが12月上旬。ホームステイしていたホストファミリーから

「クリスマスホリデーには私の兄弟家族が遠くから来て暫く滞在するのよ。楽しみだわ。」

と、遠回しに、《もう私の家にはあなたを置いておけないわよ》、という感じで言われた。
私は、旅はホリデーシーズン(クリスマスとニュ―イヤー)を避けたかったので、暫くの滞在先をどうしたものかと考えた。

語学学校で仲の良かったカンボジア系フランス人の友達に相談してみた。

「私の家に暫く滞在してもいいよ。」

という思いがけない答えが返ってきた。
私はお言葉に甘える事にして、12月下旬に海を越えてフランスに渡った。

イギリスの、ラムズゲイトという港町からフェリーに乗り、ほんの数時間でフランスの片田舎の港町(今となっては町の名前は忘れてしまった。)に到着した。そのあと最寄駅でローカル電車(パリ行き)を待った…。
だが電車は直ぐには来なかった。
田舎なので近くには当時カフェもなにもなく、ただひたすら、駅の入り口にボォーっと立って待つしかなかった…。
延々と待った…。
やっと電車が来てパリまで移動できたのは、3、4時間ほどあとの事だった。

パリ近郊(友達宅)滞在

画像はイメージです(AIで作ってみました)


友達(Sさん)と待ち合わせした場所で落ち合った。Sさんの彼氏(K君)の運転で車で迎えに来てくれていた。私達は再会を喜び(1か月ぶり)、そこから早速移動した先は、K君のお家だった。彼はパリ郊外に家族と住んでいた。そこに暫く泊めてもらった。友達のSさんも一緒だ。

K君の家族は、みんなアットホームで、私に親切にしてくれた。彼らはクリスマスを祝う習慣こそ無かったが、私は、K君の兄弟の結婚式に参加させて貰ったり、その為の洋服をパリまで買いに連れて行って貰ったり、SさんとK君の友達の、ベトナム系フランス人のお家に遊びに行くのに、お供したりと、とても貴重な体験をさせてもらった。

ニューイヤーズイブは、みんなでパリの中華レストランに点心料理を食べに行き、その後はSさんとK君の友達の家のハウスパーティーに車で向かった。到着すると既に大勢の人が集まって踊っていた。私が驚いたことは、
普通の一軒家なのに、音楽を超大音量でかけて、深夜から朝方までパーティーが行われていた事。近所から苦情が来ないのだろうか?と思った。
私は、古く控えめな人間だったので、パーティーというものには全く慣れていなかった。

貴重な体験と言えば、カンボジアの家庭料理をフランスで楽しめた事。ご飯と野菜炒めの普通の食卓でも、ソースが独特で、すっぱ辛い、今までに食べた事のない味で、癖になりそうだった。ベトナム料理の生春巻きを、家庭で食べたのも初めてだった。感動するおいしさだった。

治安の面では、パリは当時(1991年)でも地下鉄の駅の周辺は酔っ払いが座っていたりして、怖いなあと思った。
パリ中心街は、車がどこでも渋滞していて、その割にスピードを出して皆、平気で運転しているので、道路を渡るときは普通よりももっと注意を払った。
K君のお家に、よくご飯を食べに遊びに来ていたK君の友達がいた。彼はいつも自転車で来ていて、片方の車輪を外して、それをカバンの様に持ち歩いていたのには、私はとてもビックリした。たぶん盗難防止の対策だったのだろう。

旅継続への決断

ユーレイルパスは有効期限が1カ月のものを購入していた。フランスに入国して2週間ほど過ぎた頃、私は重い腰を上げて一人旅を本格的に始めることにした。
あと2週間でどこの国をどれだけ周れるだろう…。不安と心細さで一杯だったが、自分で決めた事なので先へ進むしかなかった。私の旅は、プランがあって無いようなものであった。

まずフランスのお隣の国、ベルギーに行くことにした。
目的地は首都のブリュッセル。
パリ郊外の駅で、ブリュッセル行きの電車のプラットホームを見つけるのにちょっと手間取ったが、無事乗車。
国境を越えてベルギーに入っていったのであった。

《つづく》


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