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マーケター、クリエイター向け!ChatGPTをクリエイティブに生かす、実用的活用法② -ステッププロンプトのススメ

みなさんこんにちは。
マーケティングディレクター兼データサイエンティストのtohari.です。
前回、マーケターやクリエイターが実業務で使える、ChatGPTの実用的活用法というテーマで「ステッププロンプト」という手法について書きはじめました。
前回はまずステッププロンプトの全体フレームについてご紹介してきましたが、今回はその全体像の中で最も活用意義の高い「リサーチプロンプト」について詳しくご説明していきます。
この記事を読むと、プロのマーケターのリサーチ業務の進め方とその進め方に沿ったChatGPTの使い方がわかり、いわゆる「市場分析」を非常に短時間で的確に行うことができます。
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前回のおさらい(ステッププロンプトとは)

  • ステッププロンプトとは、マーケターやクリエイターが実際に行う作業を体系化し、各作業内容をChatGPTを使いながら段階的に進めていく方法。

  • 段階的に作業を行う理由は、例えば「〇〇サプリメントの検索広告の広告文を10個書いて」といきなり聞いても、回答はしてくれますが、良い答えを得ることはできないため。

  • このフレームワークに沿って作業をすることで、自分なりの手法が確立していない人であっても、非常に短時間で効果的にアウトプット(コンセプト、コピーなど)を出していくことができる。

  • ステッププロンプトは、大きく以下の3つステップで構成される。

    • リサーチプロンプト

    • 検証プロンプト

    • 拡張プロンプト


リサーチプロンプトの目的


リサーチプロンプトは、プランニング・クリエイティブワークの元となるリサーチ作業をChatGPTを有効活用し効果・効率的に進める作業プロセスのことであり、そのために使用されるプロンプトを指します。
 
リサーチプロンプトの目的は2つです。

  1. あなた自身が、商品やその顧客に対する理解を深めること

  2. ChatGPTに最終的な有効なアプトプットアイデアを出してもらうために、ChatGPT自体に前提情報をきちんと与えること


あなた自身が、商品やその顧客に対する理解を深める

当たり前ですが、商品・サービスのマーケテイング施策やクリエイティブを考える際、その商品・サービスに対して一定の理解を得ていなければなりません。例えば広告会社の方であれば、それらはオリエンテーションとして情報が与えられます。事業会社の方であれば広告会社などの外部の専門会社へ委託する際、オリエンテーションとして情報をまとめる必要がある訳ですが、多くの場合、クライアント企業から提供される情報は、マーケターやクリエイターが本当に捉えるべき情報までは書かれていません。

それは商品・サービスが提供するものや顧客が求めるものは重曹的だからです。
例えば比較的単純な例では、高級車を求めるユーザーは、もちろん快適な乗り心地や安全性などを求めたりもしますが、本当に重要なのはその車に乗っている、というステイタス感だったりする訳です。

マーケターやクリエイターはそうした本質を捉え、それを施策やクリエイティブに反映していくことで、より大きな成果を得ることができます。
あなたは自身がそうした深層真理に辿り着くために、一定の情報収集や考察を行う必要があり、その作業をこれから示すプロンプト群を使用することで、非常に短時間に行うことができるようになります。
 

ChatGPT自体に前提情報をきちんと与える

実は、CHatGPTも同じようなもののようです。
単に最終的な答えにつながる質問を投げかけても、良質な答えが得られない、というのはまさにそうで、ChatGPに事前により具体的にコンテキストを与えることで、アウトプットを飛躍的に上げることができるようになります。

ChatGPTに対して、
・商品は何か
・商品は何をしてくれるのか(機能、事実、特徴)
・その商品を使うと何が得られるのか(ベネフィット、結果)
・競合商品との違いは何か(優位性)
といった情報をきちんと与えることで、アウトプットの有効性を上げることができます。
*なので、すべてやりとりは、1つの会話スレッドで展開することが大切です。


リサーチプロンプトの全体フレーム

リサーチプロンプトは、9つの重要な質問によって、対象商品を取り巻くユーザー意識を明らかにしていくものです。

市場・顧客を明らかにする9つの基本プロンプト

①ユーザーの悩み・問題点:
<商品やサービスが解決する事柄>に悩む人々が経験する一般的な問題と一般的でない問題はなんでしょうか?

②問題解決の障壁:
人々がそれらの問題を解決するのを妨げている障害は何ですか?具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で、⚫︎つまで例を挙げてください。

③障害の発生原因(②の深堀質問):
その障害はなぜ発生していますか?その障害の発生原因について、具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で挙げてください。

④問題発生時の重大なリスク:
これらの問題を解決しない場合、誰かが強烈に経験する可能性のある苦痛とは何でしょうか?具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で、⚫︎つまで例を挙げてください。

⑤リスクがもたらす心理的圧力:
もし、まだこれらの問題を解決しようとしていて、それらの痛みを経験している人がいたら、どんな恐怖を感じるでしょうか?具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で、⚫︎つまで例を挙げてください。

⑥ユーザー像:
その問題に悩む人の特徴とは、どのようなものですか?
問題解決の方法:その目標を達成するために、誰かにとって必要なタスクや行動は何か。 具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で、⚫︎つまで例を挙げてください。

⑦問題解決の方法:
その目標を達成するために、誰かにとって必要なタスクや行動は何か。 具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で、⚫︎つまで例を挙げてください。

⑧問題解決によって得られる変化・便益:
もし誰かがその問題を解決し、その痛みを和らげ、その恐怖を和らげたら、最終的にどんな目標を達成できるのでしょうか?具体的に、詳しく、 鮮明に、独自の視点で、⚫︎つまで例を挙げてください。

⑨問題解決によって得られる心理的充足感:
その行動や作業を行い、目標を達成した場合、その人はどのような欲求を満たすことになりますか?具体的に、詳しく、鮮明に、独自の視点で、5つまで例を挙げてください。
 

この9つの質問はどれも非常に重要です。
いづれも市場を読み解くための重要な視点で構成されていますので、必ず一通り行うことをお勧めします。

その上で、ChatGPTの回答に不明瞭な点があれば、その部分に対して追加的な質問を各自で加えるようにしてください。
 
*ちなみに、ChatGPTが各質問/プロンプトに答えるのを待ってから次の質問を実行しますが、すべて1つの会話スレッド(1つのセッション)で展開することを忘れないでください。
*またChatGPTが出力を完了せずに停止した場合は、次のようにプロンプトを出します:「そのまま続けて」

得た回答のまとめ方

実際に上記プロンプトを使ってみるとわかりますが、各質問ごとに多くの回答情報をChatGPTから得られます。そのままですと情報を処理しきれないので、以下の<問題構造map>に情報を落とし込んで、要素を簡略化しながら構造的に捉えるようにしてみてください。

問題構造map


リサーチプロンプトの実行例

以下は実際に筆者が行った例になります。
設定は、「Googleアナリティクス4の導入支援サービスのプロモーションとして無料セミナーを検討中のマーケティング会社」です。

問題構造map使用例

このように、Googleアナリティクス4の導入や運用に悩む企業の悩みとは何か、その企業はどんな企業でその問題が解決されない場合の重大な問題や解決され場合の直接的・間接的なメリットは何かなど、網羅的に洗い出すことができています。
ここまでわずか1時間足らずの作業です。

筆者はこの後、複数のターゲットユーザー候補が出ているので、
・どの企業を優先ターゲットとすべきか
・その理由は何か

など、ターゲットを絞り込む質問を追加してみました。

さらに
・そのような企業の抱える一番大きな悩みは何か
・そのような企業が求めるサービスとはどのようなものか

といったサービスメニューにつながるような質問も行い、サービスの提供方法を考えるヒントも取得してみました。
 
このように基本となる9つの質問の回答結果を受けて、気になる点が自然出てくると思いますので、そこはご自身の判断で適宜追加質問をしてみてください。
 

ここまでが、リサーチプロンプトの基本作業になります。

通常これら作業は、アシスタントを使って行うことも多いのですが、アシスタントに頼らずとも、それよりも短い時間でそれよりも多面的に情報収集することができました。
本当に驚きです。
 
 
ちなみにこの結果から実際にGA4の導入・支援サービスのプロモーションを行うとしたら、
・ターゲット:中小企業・スタートアップ企業(EC事業者)
・コンセプト:GA4導入をきっかけとした、データ活用組織の作り方
という企画を思いつきました。
 
それは主に回答の中の「コミュニケーション強化(組織的体制)」という点からヒントを得たのですが、
・今年7月にUAでのデータ取得停止が迫っている中でまだ導入が進んでいない企業とは、その分野のリテラシーがあまり高くない企業であること
・そのような企業の多くはデータ解析担当は1人で、十分なデータ活用もしきれていない状態にある
・その一方、データ活用ニーズはそれなりに高く、GA4はあくまで直前に迫ったきっかけであり、本質的にはそうした組織づくりを求める企業が多いのではないか
・ただ導入方法だけを紹介するセミナーであれば、他にも多く存在する
・筆者であればGA4以外のデータ活用についても得意としている
などが理由になっています。

このように市場・顧客の視点の情報だけでは、どうすれば良いかという答えはまだ導き出せません。
そこに競合や自社の視点を加えつつ、どうするかはその上で人が考えていく必要があります。
最後は主観的に考えることが大切だと思います。
 
それともう1つの注意点は、ChatGPTの出す情報はどこまで正しいのか、という点です。

これについても現実的な検証は困難ですので、回答内容によって自身で判断していくしかないと思います。
つまり、回答に対して納得度があるかどうかで、その情報を信用するかどうかを決める、ということです。
 
ChatGPTはあくまで人を補助するツールという範疇の中でうまく使いこなすことが重要だと思います(少なくとも今のところは)。
 
 

最後に

いかがでしたでしょうか。
ステッププロンプトという手法は、プランニング業務の基本にそったChatGPTの活用方法です。

今回はリサーチプロンプトの内容を事例を交えながらご紹介させていただきましたが、基本となる9つのプロンプトを活用することで、誰もが一定のリサーチ業務を短時間で行うことができます。

それにより、マーケター・クリエイターの皆さんの考える力を大きくボトムアップしてくれるはずです。
 
ぜひ、皆さんの実際の業務の中で使ってみてください。
そしてもしできましたら、その活用結果についてコメント頂けますと幸いです。
 
 

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