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住宅取得後の家計をイメージしてみよう【第8回】

■住宅取得で増える支出、減る支出

住宅ローン借入額は『借りれる』ではなく『返せる』で決めよう」の項で書いたように、持ち家には賃貸暮らしの時には発生しなかった費用がいろいろ出てきます(固定資産税、修繕積立金、団信保険料、火災保険料など)。逆に、家賃や管理費・共益費、賃貸契約更新の際に支払う手数料はなくなります。

こうした費用を踏まえて、住宅購入の家計支出をあらかじめシミュレーションしておくと、毎月のローン返済額(借入金)にムリがあるかどうか見極めることができます。

借りる予定の金融機関HPやフラット35サイトのシミュレーション機能などを使い、住宅ローン借入金額を決める前にトライしていただければと思います。

ローンシミュレーションを行ってみた結果、家を買った後は「どうやら貯蓄できないのでは?」となってしまったら、「家計やりくりで何とかなる」などとは思わず、物件予算を下げるか、頭金を増やす。あるいは、思い切って購入時期を数年先までのばして頭金を貯める、親の援助を仰ぐなどを再検討してみてください。

何度も書きますが、住宅ローンを借りたら、最後の最後まで、「あなた」が返すのです。慎重に事を進めましょう!

■共働きなら「夫収入のみ」で家計やりくりにトライ!

一般的に言って、専業主婦世帯より家計に余裕がある共稼ぎ世帯。とはいえ妻の出産や子育てに伴い、フルタイム勤務ができなくなる可能性も否定できません。住宅購入でいったん減った手元資金をまた増やすためにも、しばらくは「夫の収入のみ」で家計を切りもりしてみてはいかがでしょう。

すべてとは言いませんが、夫婦収入合算(※1)で住宅ローンを組もうとしている場合、そもそも年収に対して借入額が高いことも考えられます。

妻が働いているあいだは大丈夫でも、たとえば2人目の出産・子育てで退職したらどうでしょう?世帯収入は大幅に減少し、その後の家計が立ち行かなくなることも考えられますよね。

住宅購入前に予備練習!

マイホームを決めるまでに一度「夫の収入のみ」で暮らせるか試してみましょう。暮らせないまでも、持ち家に住んだ後の家計をよりリアルにイメージできるのでおすすめです!

■社宅や実家暮らしの人は家計激変にご注意を!

「社宅を出なければならなくなり住宅を購入したが、その後、家計やりくりがうまくいかず万年赤字体質で困っている」そんなご相談者がいらっしゃいました。

社宅という恵まれた環境は、意識しないと同じ年収の賃貸暮らしの世帯に比べ、家計支出が“家賃差額分だけ増えてしまう”傾向が強いです。

急には変われないのは人も家計も同じこと。

社宅を出てこれから住宅購入を予定している方は、住宅ローンを支払っているつもりになって、実際に家計収支が赤字にならないかどうかやってみる。数ヶ月試したうえで毎月返済額が決められるとより安心ですね!

また、実家暮らしから結婚等を契機に住宅を購入して新居とする方は、そもそも生活費がどれくらいかかるかつかみきれていません!
可能であれば、新居はまず賃貸として1年ほど暮らしてみる。そうして夫婦二人の生活にかかる生活費を体感してから住宅購入を検討することをおすすめします。

賃貸暮らしから結婚生活をスタートできない場合はせめて、お二人共有の口座を作り、住宅ローンおよび管理費、修繕積立金、駐車場代といった住居関連費用を入金した残りで互いの暮らしが成り立つことを確認するなどして欲しいと思います。

一見遠回りで面倒だと思われるかもしれませんが、念入りに家計シミュレーションしておくことは、将来の家計管理にもきっと役立ちます。

※1 収入合算とは、ご主人だけの年収では金融機関の審査が通らない場合などに配偶者や親などの収入を合算して借入可能額を再算出してもらうこと。

第9回住宅ローンコラムへ続く

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