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住宅ローン借入額は「借りれる」ではなく「返せる」で決めよう【第6回】

■返済負担率だけではなく、毎月の住居費と貯蓄をもとに考える

金融機関によって数値は異なりますが、おおむね返済負担率(住宅ローン年間返済額÷額面年収)が20%ほどでしたら金融機関の審査が通ると見込まれます。逆算すると、年収600万円の場合、年間返済額が120万円(=返済負担率20%)。毎月に直すと10万円です。

あなたならこの金額の上限まで住宅ローンを借りますか?

ファイナンシャル・プランナーである筆者の答えは「イエス」でもあり「ノー」でもあります。つまり返済負担率だけでは決められない、というのが答え(ずるい?)。なぜなら、同じ年収の世帯であっても家計支出はそれぞれ違うからです。

借入額はぜひ、毎月の「住居費」と「貯蓄」をもとに考えましょう!

具体的には、今払っている家賃、管理費、駐車場代等「住居費」と、今後も継続予定の学資積立などを除いた毎月の「貯蓄」を足します(ボーナスは確定ではないので計算対象外。生活費をボーナスから補填している場合は、補填額を月々に直して「貯蓄」から差し引きます)。

仮に、その額が10万円(住居費8万円、貯蓄2万円)だとします。
さて住宅ローンはいくら組めるでしょうか?

「10万円を住宅ローンに回せる!」と勘違いされる方がいますが、それは完全に間違いです。

■住宅取得後のランニングコストと予備資金を見積もっておく

①持ち家にかかる住居関連費。加えて、②家電の修理や買い替えなど急な出費に備える予備資金。最後に③住宅ローン毎月返済額を合わせて、前項の金額(10万円=住居費8万円+貯蓄2万円)にする。
これが、安心して最後まで「返せる」ローン借入額算出の土台となります。

住宅ローン以外にかかる、毎月の住居関連費用は次の通り;
1) (マンションの場合)管理費・修繕積立金・駐車場(駐輪場)代
2) 固定資産税(の12分の1)
3) 年払い団信保険料(の12分の1)

1)から3)の合計が3万円とすると、10万円から差し引いた残りは7万円となります。

予備資金として手取り収入の5%は確保しておきたいもの。手取りが24万円だったら、1.2万円は貯蓄に回す。差し引いて残る5.8万円が住宅ローンとして毎月支払い可能な金額となります。

持ち家には、賃貸の時にはかからなかった新たなランニングコストが発生します。返済負担率だけで毎月返済額を決めること、“家賃並み”の住宅ローンの危うさがおわかりいただけるのではないかと思います。

住居関連費を忘れて住宅ローンの借入額をお決めにならないようくれぐれもご注意を!

■ 毎月返済額と借入金額、物件価格の関係

毎月返済額が決まったら、頭金や諸費用に充当する自己資金や金利プラン、借入期間をもとに借入可能額の計算が可能になります。

この段階で試算に使うツールはWEB上でもアプリでもOKです。
金融機関が決まっていれば、金融機関HPで提供されているローンシミュレーターを使います。決まっていなければ、フラット35サイト内にあるローンシミュレーター(「毎月の返済額から借入可能金額を計算」※1)がおすすめです。

一例ですが、毎月返済額5.8万円、金利1.8%、元利均等方式、借入期間35年で試算すると、借入額は「1,806万円」でした。自己資金として、頭金400万円・諸費用150万円の準備ができているとすると、物件予算は「約2,360万円」となります。

はじめに物件ありきではなく、本来は住宅ローン返済に毎月支出可能な額と自己資金から借入額、物件予算が決まるのです。やってはいけないとは言いませんが、適切な物件予算を決めずに住宅展示場やマンションギャラリーに出かけるのは過大な住宅ローン借り入れに結びつく可能性があります。ローン考えものだと思います。

※1 ローンシミュレーション/フラット35サイト
http://www.flat35.com/simulation/index.html

第7回住宅ローンコラム

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