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住宅ローンの返済期間は教育費と定年を見据え「長め」が吉【第7回】

■資金計画の前にまずライフプランを考えよう

賃貸住宅であれば、家族構成や勤務先が変わっても、ヤドカリのように住み替えることが可能です。ただ、持ち家となるとそうはいきません。多くは“終の棲家”と見定めて住宅を購入するのではないでしょうか。

住宅購入というと、まずお金のことが脳裏をよぎります。

諸費用や頭金をどうするか?
どの金融機関を選ぶか?
住宅ローンのプランは変動金利か?固定金利か?
などですね。

ファイナンシャル・プランナーである筆者としては、「その前にまずライフプランです」と叫びたい!!
「家族とともにどう暮らしていくか」考えてほしい。そう思うのです。

子ども達はいずれ巣立ち、夫(妻)も定年を迎えるでしょう。家の役割や家計収入も長い間には変化します。思い描いたライフプラン通りにすべてが進むわけではありませんが、住宅という大きな買い物をするのなら、まずお子様の教育費のこと、奥様の今後の働き方、自分自身の定年後の暮らしについて、家族で話し合ってみませんか。

■子どもの大学進学を前に金利プランを変更するのも一案です

末子の大学入学が決まるまでに、定年までに住宅ローンを完済する見通しを立てておきたいもの。奥様がフルタイムで働いているとき、お子様が小学生の間など人生の“貯めどき”をしっかり意識し、繰り上げ返済用の貯蓄積立を怠らないよう、先取り貯蓄を心がけましょう。

フラット35のような全期間固定型の住宅ローン以外の場合、融資金利は一定のタイミングで見直されて毎月のローン返済額が変わります。お子様の大学入学前に毎月返済額がアップすることだけは避けたいですよね。

そのための手段として、お子様が中高生になったら、大学在学中に毎月の返済額が変わらないプラン、たとえば、10年固定金利型の返済プランに変更するのも一案です。少し頭金を入れて住宅ローンを借り換える。プラン変更する等検討してみましょう。

あるいは、返済プランは変えず、金利が先々アップしても毎月返済額が負担にならないよう、「返済額軽減型(毎月返済額が下がるやり方)」で繰り上げ返済を行う方法もあります。
毎月返済額が下がれば、その分家計収支が改善されます。教育費の工面もしやすくなるのではないでしょうか?
利息軽減だけにとらわれず、繰り上げ返済の効果的な実行を考えましょう。

早めに住宅ローンを完済したい気持ちは分かりますが、毎月返済額のアップに耐えられそうにないご家庭は無理して返済期間を短くせず、“家計収支バランスを守ること”を最優先に考えましょう。
返済期間が長いことは悪いことばかりではありません。毎月返済額が低く抑えられるため、家計変化に対応しやすいメリットもあるのです。

■定年後の住宅ローンと退職金、どちらを優先すべきか?

以前の回で、「定年までの住宅ローン完済を目指しましょう」と書きましたが、40代住宅購入者の多くが住宅ローン完済は定年後だと思われます。退職後にローンが残った場合、退職金で完済すべきか迷う方が多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、必ずしも住宅ローン完済がよいとは限りません。

定年時の金融資産残高によっては住宅ローン完済で老後資金が足りなくなる可能性大です、定年後の暮らしの自由度を減らさないことを優先しましょう。

なんと言っても現金はオールマイティー!
手元の現金を減らした結果、リフォーム費用や医療費介護費などリタイア後に必要なお金に不自由したのでは本末転倒ですよね。今後の暮らしのゆとりと相談したうえで完済すべきかどうか考えましょう。

公的年金を満額受給するまでの数年間は、手元資金がもっとも目減りしやすい時期です。借金を毛嫌いし、手元不如意になるまで繰り上げ返済(完済)するようなことがないよう気をつけてください。

第8回住宅ローンへ続く

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