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美術館デートには行かない男

女は文化的なデートがしたいのだ。

現在開催中のロートレック展。

フランスのキャバレー文化などを描いたアール・ヌーヴォーを代表する画家の一人である。
フランスを訪れたことはないのだが、今までにロートレックの絵はいくつか見ており、デザイン性といい人物のキャラクターといい私の好きな世界観である。

映画、音楽、絵など好きな人にロートレック展に行こうよと誘ってみたが、既読になっただけで返事は返ってこなかった。

セックスはするくせに美術館デートには行かない男だ。

最近作った曲に関しても、「別に伝えたいことなんて何もない。ただ雰囲気、その時の気分を歌にしているだけ」だと言う。

そんなことよく面と向かって言うなと思うのである。
デリカシーのなさ。思いやりのなさ。
気になっているくせにプライドのせいで素直になれず、口から出る言葉はひどいことばかり。

ダラダラと関係を続けていても思い出らしい思い出なんてほとんどない。

最近はスクールゾーンのYouTubeに次々と出てくるクソメンを見て、心の平穏を保っている。

結局ロートレック展には別の優しい男と見に行った。
絵を見て時代背景の話や感想を言い合えるのは心が潤う。


今回は「快楽の女王」が気に入った。

この色鮮やかなポスターは、フランス人作家ヴィクトル・ジョゼの物議を醸した小説「喜びの女王」の宣伝に使われた。この小説は、パリの若い娼婦が裕福なユダヤ人銀行家ローゼンフェルド男爵を説得して、自分の会社と引き換えに金で償わせようとする物語である。架空のローゼンフェルド男爵は実在のロスチャイルド男爵をモデルにしており、ジョゼはユダヤ人銀行家は貪欲で不誠実で洗練されていないという1890年代の反ユダヤ主義のステレオタイプを誇張した。この本とポスターはローゼンフェルドとその友人による抗議を引き起こし、彼らはパリの多くの書店の壁からポスターを剥がした。

金持ちをハニートラップにかける娼婦や、上流階級を罵倒するシャンソン歌手、優雅な物腰と美貌であらゆる男を虜にするダンサーなど、キャバレーにはたくさんの物語がある。
早逝してしまったロートレックもまたそんなクレイジーな世界で悦びと哀しみを生きた魅力的な画家である。

夢を与えてくれるキャバレーの世界に浸り、またこうやって現実に戻るのだ。
感情も行ったり来たり。
ゆらゆらと揺れている。


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