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旅の回顧録☆スパイシーなタンジェ。

私たちはジプシーたちのフラメンコを見学したあと、フェリーでモロッコへ行こうという話になりました。

スペインのアルヘシラス港からジブラルタル海峡を渡ってモロッコのタンジェメッド港まではおよそ1時間です。

既に夜になっていたので私は『イヤだなー』と思いましたが、多数決で強行することになりました。仲間は活動的な人たちだったので、合わせるしかありませんでした。

何やかやとおしゃべりをしていたら、あっという間にモロッコに着きました。気温は暖かったです。

アルヘシラス港が既に暗かったのに、タンジェメット港などマフィアが何かの取引に来るような時刻じゃないかというくらい辺りは闇でした。

私たちは宿の予約などしていませんでしたから、まずは宿探しから始まったのですが何せ暗いので、通り過ぎる人すべてが怪しくみえてしまいました。

男2人に女3人、全員運動神経も良いし、私以外はまさか危険に遭遇するとは誰も考えていなかったようです。

でも、女友だちの一人が言いました。「今すれ違った人、拳銃を持ってたよ」

「ウソやん!いやもう誰ぇ、こんな遅くにモロッコ行こうなんて言ったヤツ」私も口が悪くなります。

幸い港町だからなのか、私の心配をよそにすんなりと宿はみつかりました。

私たちは男組と女組に部屋を分かれて就寝しました。歯磨きは念のため持ってきたミネラルウォーターを使って口をすすぎました。用意されたベッドの布団は、心なしか潮のにおいと湿り気があるように感じられました。

当然ながら初海外旅行中の私はほとんど眠れずに、夜じゅうお腹が空いて仕方なかったです。

ようやく朝になって安心して外に出ると、タンジェの町はスペインとアラブとフランスの文化が融合した、とても魅力的な場所でした。

私たちは、驚くほど美味しいカフェオレとバターたっぷりのクロワッサンをいただきながら、今日の予定について打ち合わせました。

やっぱりショッピングでしょうか。モロッコでは市場のことをスークといいます。

スークには色とりどりのスパイスはもちろん、織物や雑貨が所狭しと並んでいて、夜の様相とはまったく異なっていました。

中でも私が一番驚いたのは、ガラス張りのクーラーに入れられた羊のまるごと脳でした。

一緒にいた女友だちが再び言いました。「白子しらこみたいで美味しいんだよ」

ランチに食べようなどと言い出したのですが、私は心の準備ができなくて、同じテーブルに乗せて欲しくないとお願いしました。

生でみた衝撃があまりにも強くて、日本へ戻ってしばらく白子が食べられなくなるほどでした。

しかしながら、その日のランチは日本のレストランでもなじみのあるタジンやクスクス、モロッコ式サモサ。平らに延べたパンなど、これらもスパイスの使い方が絶妙ですごく美味しかったです。

私が料理をする上でスパイスにハマるきっかけになったのが、このタンジェでの経験です。

今日はスークの様子のわかる写真でもあればよかったのですが、当時はスマホは当然ながら、まだガラケーもデジカメもない頃だったので、撮りそこねてしまいました。

でも、誰も羊の脳はみたくないですよね。きっと何よりスパイシーだと思います。

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