キャリアの心配をしてるのは手元の仕事を楽しまないから
noteやらQiitaやらで、キャリア提案とか1on1の記事をよく書くようになったので、キャリアの相談をもしくはキャリアの相談のアテンドをよくされます。
そしてそのほぼメインのテーマが
1.「将来が不安だから、キャリアをちゃんと考えたい」
です。みんな将来(たぶん30代中盤以降)に、豊か(お金と時間に対する不自由さ)が、一般水準以上に収まるか、が不安だということです。
そしてその将来への不安を自信を持って誰かに払拭してもらいたいという様相を呈しておりますね。さらにありていにいえば 「大丈夫」と誰かに言ってほしい、みたいな。
そこについての見解を将来の振り返りのために備忘して置きたいと思います。
2.なぜ不安になるのか?
まずはここからですね。なぜみんな不安を感じているのか、何に対して不安を感じているのか。
自分の力が市場での評価に耐えうるものだと信じられないから
評価が多角的じゃない気がするから、という文脈で出ることも多い気がします。
まあ大枠ここが言語化のスタートなんじゃないかなと思います。会社から当然評価も給与ももらっているはずなので、ある意味それが市場からの評価といえなくも有りませんが、今いる自分の会社からだけの評価では、「本当に他の人からも同じような評価になるのか」 に疑問を感じるということなのでしょう。
「他の人にはできない仕事」をやった経験がないから
「今やってる仕事は他の誰かでもちょっと慣れればできる気がする」「もっと自分にしかできない」と言える仕事をやっておかないと希少性を持つことができないのではないだろうか、というのもあるかも知れません。
30代以降、現場プログラマで徹夜をしたくないから
近年「エンジニアになりたいです」という母集団は急速に増加している一方で、昔ながらの「作っていたら時間を忘れて気づいたら朝だった」という層の割合は確実に少なくなってきている印象です。
「スキルを身に着けてそれを発揮する」「柔軟な働き方」「ITの最前線」など、様々な姿に憧れを持つのは喜ばしいですが、プログラミング無限に楽しい、という属性であるわけでもない自覚もあるわけなので、
「今はいいけど、このままずっとはつらいなあ」 という蓄積がなされていくのかと思います。10年以上は受け入れられないというのが大半であるのは致し方ないことなのかも知れません。
自分なりの価値観や幸せの定義みたいなものを決められないので、お金で換算するから
そもそもという話です。「不安」というのが漠然と生まれるのは、自分の人生における判断軸を持たず、漠然とお金によって将来の幸せを試算しようとしている 所がスタートにありそうな気もします。
かといって、今今で自身がゴールとする金額をもらえているわけでもなく、学歴などと違って 「自分がどのくらい稼げるか」を世の中一律に納得の行く評価をしてくれる指標があるわけでも有りません 。ゆえに 「高望み」も無限に可能 となります。
「誰でも東大を目指す」という目標の分配が偏差値によって行われていたのが学生時代ですが、社会人にとってそういった共通の指標があるわけではないため、 「もっと稼げるのでは」「損をしないためには」という期待と不安が青天井 になっているのかも知れません。
3.自分の仕事に、世の中の人がお金を払ってくれるイメージがあるか
さて、共通の指標がない場合は、一体何を根拠にして自分の市場価値を計測していかなければならないのでしょうか。
それは、
「世の中の人、という解像度ではなく、どういう組織のどういう役割の人が自分にいくらのお金を払ってくれるか」
そいて「その母集団がどのくらいかのある程度定量的な説明」
を把握することによって実現できます。「金を払ってくれる人」の顔がイメージはできますか。
自分の会社内だと 「経営層・採用権限を持つレイヤの権力者」 、他社だと 「クライアント・提携業者の発注権限のある人」 がコレに該当します。
4.価値のある仕事をやろうとする人と、仕事で価値を出そうとする人の違い
「金を払ってくれる人」の顔がイメージできる人は、なぜそれができるかというと、当たり前ですが 「クライアントから信頼を得た経験」があるから です。
そういう意味でいうと、 「採用」で自信がつくのは「経営者」から採用という形で「評価」をしてもらっているから でしょう。
今の組織にいて不安なのは、 半期とか年間とかの評価表彰のタイミングで、やっぱり「経営者」からの「評価」を思った通り得られていないからかも 知れません。「自分はもっとやれることがあるはず」という 不安を転職によって満たす というきっかけに繋がっている人も少なくないかも知れません。
さて、徐々に結論に向けてまとめていくわけですが、つまらない表現で言えば「金を払ってくれる人」の信頼を獲得しなさい、ということになります。
ただ、それで終わってしまうと個人的によく見かける正論自己啓発になってしまうのでもう少し解像度を上げます。
「金を払ってくれる人」というのは、実は単に上司というわけでもない。
もしかするとあなたの上司は「金を払ってくれる」と実感を伴わせてくれる人かというとそうでもないかも知れません。
ピンとくる人をイメージしてみてください。社長・役員・部長?
「一定の権力をもって人事権を発動できる」「この人の後押しが貰えれば出世ができる、給料が上がる」 という印象のある人ではないでしょうか。
なので、そういった人をターゲットにしたとき、色々な組織で再現性をもって信頼を獲得できるのが市場価値の高い人、と言えるかと思います。
5.どうやって信頼を獲得するか
ターゲットの解像度は上がりました。次はどうやって信頼を獲得するかに付いてを掘り下げてみます。
人によって違う
身も蓋もなくてすみません。ただ、ここを認識することはかなり重要です。評価するのが機械ではなく人である以上は、 不公平さに不満を持つよりも「人によって違う」と理解した上でアクションをとることがやはり合理的 です。
ということは、評価者の評価軸に合わせるしかないわけですが、なんとかして「人によって違う」評価軸はできるだけ明確にしておきたいものです。
「コレは評価されるのか」「評価されないのか」会社ではなく「評価者に直接聞く」のが大事
どんな成果を評価するのかは評価者に直接聞くのが最も早いです。聞きづらいですが、それしか無い。「多分こう思ってるだろう」はだいたい精度60%くらいなものです。
ただし、 事前にそれを理解しやすくできるようにする方法 があります。 それが「一般論」 です。
AWSってこれから必要ですよね?
保守性高く作るのって大事ですよね?
コミュニケーションとれるほうが助かりますよね?
こういう事前知識があると、評価者の思考回路が想定しやすく動きやすくなります。
評価者が知らない判断軸は、こちらが教育して教えてあげるというのも一つの手段
また、こちらから提案するということも可能かもしれません。
「え?そうなの?たしかになあ」となれば、今まで評価されなかった自分の成果は、評価として返ってくる用になるかも知れません。
6.原動力は「俺は価値ある仕事をやっている」ではなく「俺は仕事で価値を出している」
「自分のしごとを評価してくれ」って自信を持って言えるのって、自分の成果物に価値を感じているからですよね。
その源泉は
「価値ある仕事を任せてもらっている」ではなく「自分は仕事で価値を出している」 です。
任せてもらっていること自体が価値ではなく、自分自身が価値を出しているという自覚 を持つことです。
そして仕事で価値を出そうとする事ができるのは、今の仕事を「誰もが知るレベル」より1歩2歩深く知っているからです。
終わり
時間をかけてのめり込み
一喜一憂できる愛着を持ち
他の人ではできない仕事の価値を出し
それを源泉に評価してくれと訴え
答え合わせをして評価軸を知り
自らの動きを見直し
評価され
「俺は世の中に必要とされている人間だ」と胸を張れたとき
「キャリア」という魔物から解き放たれていくんでしょう。
私も50歳になったとき不安を抱えることのないよう。
まだまだ今の仕事にのめり込んで行きたいと思います。
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