見出し画像

難解な作品はヒットなんかしてない


 皆さん、こんにちは。コレはシンエヴァンゲリオンの感想なんかじゃないからね!? 木賃ふくよし(芸名)です。

 コレはあくまで、「近頃は難解は作品がウケない」という話題に対しての感想であり、シンエヴァンゲリオンの感想じゃないから!

 違うからね!?

 もうそれは山ほど書いたから!



 もう書かないから!!


 うむ。この点に同意して頂いた方だけ、続きを読んでいただくことにしよう。


 ☑︎同意しました。


 さて。NHKの「プロフェッショナル」で、庵野秀明監督が取り上げられたらしい。ワタクシは未見だが、その中の発言が波紋を起こした。
 「近頃は難解な作品がウケない」というものである。
 番組を観た訳ではないので、前後の文脈が不明なのは悪しからずご了承ください。

 で、「近頃は難解な作品がウケない」という話だが、映画でも漫画でも小説でもいいので、めちゃくちゃ難解かつ大ヒットした作品ってのがあったら、教えて欲しいものである。

 ほとんどないと思うし。


 皆無とは言わんが、実例は少ない。
 ぶっちゃけ、書籍なら思いつくのは「聖書」とか、ヒトラーの「我が闘争」(後半)とか、マルクスの「資本論」とか幾つかの哲学書ぐらいしか思い当たらない。割と売れた「ソフィーの世界」は哲学の入門書だと思ってるので、哲学書に分類させていただく。

 映画は基本的に娯楽作が中心で、ミステリ映画すら、なかなかトップを取れない。
 要は、難しい作品を好む連中がそもそも少数派ってこった。
 1995~2005年ぐらいの10年間は、何の影響とは言わんが、妙な小難しい用語や複雑に見せた物語を並べた作品が流行した。しかしそれは「難解っぽさ」という表層の、いわば「中二病」なだけで、難解な作品が好まれた訳ではないと思える。

 実際に売れた例外どの程度あるのか、色々考えてみたけど、確かに売れたな、ってのは「百年の孤独」とか「薔薇の名前」「失われた時を求めて」ぐらいか。
 あとは、難解って程でもないけど、せいぜい「ダヴィンチコード」とか。特にキリスト教圏外の日本だと難解度が増すかも知れん。
 まあ、難解の方向性にもよるが、難解なら難解なりに結末で解決やカタルシスを得られるものが多いしな。

 で。単に登場人物が多くて覚えられなくて難解パターン。
 「戦争と平和」とかね。正直500人を超える人物を出してくる理由はない。原稿料の為か、リアリティの追求か知らんが、不必要なものは省いて欲しいのが正直なところだ。

 物語の進行が下手過ぎて難解ってパターンもある。
 要は、構成や文章が下手で内容が入ってこない。これらは難解の意味が違う。
 複雑に絡み合ったストーリーでも、面白ければ難解さは気にならないものだし、前述したように、謎が難解なものは結末で解き明かされれば快感でさえある。
 ハッキリ言うが、「相当に物語が複雑であったとしても、見せ方さえ上手なら、本筋はちゃんと追えるし、理解出来るように作られている」ものなのだ。要するに、ポイントを押さえた脚本を書いていれば、登場人物が「何のために何をしているかわからない」なんて事はないのだ。
 で。前述の「中二病」が好きそうな「表層だけの難しさ」は、所詮「中二病が好むキーワード」を散りばめたに過ぎない。実際に難しい訳ではないのだ。だって、中二病は「本当に難しい物を好まない」んだからさ。

 つまり「難解さ」を売りにしてる時点で駄作の可能性大である。

 わかりやすく言うと、

 説明が下手なので理解できない「難解」
 消費者が馬鹿なので理解できない「難解」
 難しいけど、種明かしで理解と納得する「難解」
 解釈の方向性によって解答が変化する「難解」
 作品内での情報量が不足している「難解」
 「中二病」が好む、上っ面の「難解」
 そもそも答えが用意されてない「不可解」は全部別モノ。

 で、問題は「作品内での情報量が不足しているケース」である。作品本編だけでは到底理解できない作りになっていて、設定資料集や外伝や派生作品などを読まないと把握しようがないって作品は、難解なのではなく、説明不足か、不完全なだけ。

 無論、本筋に関わりない部分がどれほど「謎のまま」終わっても、それは構わない。勇者が魔王を倒した後、世界が平和になったか、次は人間同士で争ったかは知ったこっちゃない。
 本筋に関係ないからである。

 敢えて明かさない部分があることは否定しない。それに、メディアミックス的には正解かも知れん。勝てば官軍、売れれば抜群だ。それもよかろう。
 作品的に、謎なんてのはスパイスでしかなく、主題ではないかも知れん。思わせぶりが悪い訳じゃない。実際にはまるで気がなくとも、自分に気があるかも知れん異性に惹かれるのは仕方のない事だ。

 だが、それらは作品としての「構造」の問題で、難解とは違う。


 例えばミステリで、



 最後の10ページで突然出てきた新キャラが犯人。

 現代劇なのに、トリックが超能力や魔法。

 アリバイが無茶苦茶で、辻褄が合わない。

 犯人への手がかりが提示されていない。


 ってのは「難解」じゃなくて駄作なのである。



 犯人を推理できる材料が揃っているにも関わらず、犯人がわからない、間違えるのが「難解」なのであり、材料を揃えていないのは「理不尽」なだけ。
 これを書くのは本日3回目になるが、全て揃っているのに難解なものは、解けた瞬間に「なるほど!」となるから、そういう意味では難解ではなかったりする。
 ヒントだとは思っていたが、あのヒントはそう言う意味だったのか! と繋がる瞬間が快楽であり、読み返すと全て筋が通るから、難解とは言い難い。

 無論、この例はミステリに限るし、答えが提示されれば面白い訳ではない。主人公の選択が正しかったのかどうかを問う作品や、謎が残るからこそ面白い作品も沢山ある。

 だが、世間で言う難解な作品群に、多く「理不尽」や「説明不足」な作品が含まれている事の方が、個人的には、よほど難解な謎だ。


 ぶっちゃけエv…


 いや、何でもない。この記事は某映画の感想とは関係がない話だ。


 で、正解の推理に至る材料が揃ってても、それが難解であっても、それ自体は面白さには何の関係もない。極端な話、意味不明でも面白いものは面白いし、不条理なギャグ漫画なんてのも難解と言えば難解だが、別にそこに解答は求めてないだろう。
 映画版「裸のランチ」なんてのは難解と言うより、常識が狂った世界の感覚をドラッグ的に楽しむ作品だと思う。
 「2001年 宇宙の旅」なんかは緻密で精巧な映像を楽しむ作品であり、HALの部分を除けば、「ぶっちゃけ意味がわからん」ぐらいで、難解とは違う気がするのだ。

 要するに、難解の定義や消費者の頭脳にもよるけど、そもそも「難解な作品はウケない」のである。


 では試しに、正解に至る材料を全て揃えた短編ミステリをお贈りしよう。


 ※ 登場人物たちは、当人的に本当の事しか言っていない。


 「山口は犯人じゃない」
 「石川が犯人だ」
 「神田にはアリバイがない」
 「山口が犯人だろう」
 「石川は事件現場にいなかった」
 「柿崎が人を殺すのを目撃した」
 「坂口が怪しい」
 「杮崎には完璧なアリバイがある」
 「東堂には動機がある」
 「犯人の顔は黒澤のように見えた」
 「犯人は萩原」
 「萩原は犯人じゃない」


 
 さあ、真犯人は誰だ?


 念のために言っておくが、誰かが嘘をついているから、その矛盾をつく、という類のものではない。



 ※ この記事はすべて無料で読めますが、この完璧なミステリの真犯人が知りたい人は投げ銭(¥100)をお願いします。
 わかった人はDMで答え合わせしてくれてもいいですよ。


ここから先は

144字 / 1画像

¥ 100

(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。